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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
二章 新居編

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お風呂イベント?

のぼせたデュナンを居室のベッドに寝かせた。


一息ついた時、一階からキャッキャウフフする声が聞こえてきた。


これは、いわゆる定番のお風呂イベントだ。

皆の関係性を理解するチャンスでもある。

決してやましい気持ちなんてない。


俺は背筋を伸ばし、体を捻りストレッチをする。

さぁ、我がラッキースケベよ!

この五体を駆け巡れ!

今こそ、その真価を発揮するのだ。


――湯気に包まれた脱衣所。

濡れた髪、火照った肌、無防備な素肌たち。

そんな幻視が一瞬、脳裏をよぎる。


堂々たる歩みで、かつ大胆に階段を降り、大浴場へ向かう。さあかん! 女の園へ――


飛び込む度胸のない俺は、廊下から脱衣所前の木扉に耳を当てる。


脱衣所から大浴場までは直通だ。

脱衣所に入った時点で俺の存在がバレる。


ならば、せめて音だけでも聞きたい……。

こんなことしているから、俺は嫌われるのか…、いやそれでも、この欲望には抗えない。


さあ、我がラッキースケベよ!

我が耳に最大限の恩恵を与えよ!


心なしか音がよく聞こえる気がする。


「リザリーさんって、憎たらしいぐらい胸が大きいわね〜」


「こ、こら、ミザリア! 妾の胸を揉むでない!」


「姉様だって、負けてませんわ!」


「カサンドラ、止めないかっ! ……あっ!」

非常にいい展開だ……!

この絶景を視界に収められないのが悔やまれる。


「皆さん、羨ましいです……」

ボソッとネコショウの声が漏れ聞こえる。


その後も盛り上がり、ガールズトークに発展する。


「ねぇねぇ、アグリアスはリョウカとどこまで進んでるのよ」


「み、ミザリア!? 別に何も進んで無いわよ!」


「あんたら、二人とも初心ね〜」


「ね、姉様にあんな変態男は相応しくありませんわ!」


「リョウカさんはそんな方ではありません」


「ネコショウ、意地になるでない。

あいつの顔を見てみろ!

歩く下心のような顔をしているではないか……」


リザリーさん、歩く下心はさすがに酷すぎるよ。


その後も、俺の褒め二割、陰口八割でお風呂イベントは終了した。


こんなことなら聞くんじゃ無かった……。



「ふぅ〜、久々の風呂は気持ちよかった」

アグリアスと他の女性陣もお風呂から上がり、

談話室に集まる。


「リョウカ! どうした? 何を泣いているんだ」


「どうせ俺なんか……気持ち悪い変態野郎さ……」

心の傷が深い。


学校で女子が自分の陰口を話している場面に出くわしたような、そんな気分だ。


「な、なんだ、コイツは……気色の悪い」

リザリーさんが俺の泣き顔に引いている。


「ははーん」

ミザリアが何かを察したように声を漏らす。

「まったく、しょうがない子ね……」


ミザリアは俺の頭を抱え、自分の胸にうずめる。


「ちょっと、ミザリアさん何をなさいますの?

そんなことしたら、汚れてしまいますわ!」


俺の陰口を話していたせいか、

想像以上に女性陣の言葉の切れ味が鋭い。

いくら変態とはいえ、こんなの辛すぎる。


カサンドラさん、それ以上言わないで!

オーバーキルなのよ!

俺のライフはゼロなのよ!


「ほらほら、泣かないの……いい子、いい子……」

俺の頭を、ミザリアの手が優しく撫でる。


……考えるのを、やめた。

今だけは、この温度に甘えさせてほしい。


ああっ――俺に新たなる扉が開かれた……。

「ばぶっ!」

本能に従い、ミザリアに飛びついた。


しかし、ミザリアは紙一重でかわし、

俺の体は勢いのまま床へと転がる。


この瞬間、ミザリアの回避能力が

俺のラッキースケベを上回ったのだ。


そのまま意識が遠のいていく。

最後に見たのは、

心配そうに覗き込むネコショウの顔……

そこで視界がアイリスアウトした。

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