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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
一章 王都編

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優勝?

熱魔法が解けたにも関わらず、コルデオの会場は熱気と歓声で満ちていた。


興奮だけが、場に居座っている。


「さぁ! 残るは決勝戦のみとなりました!

まず初めに、三試合すべて一撃で相手を沈めた謎の格闘家――ジェーン・リーヤ選手!

嘘か誠か、過去にドラゴンをワンパンしたという伝説が!」


観客席の空気が、今までとは明らかに違っていた。

期待ではない。“警戒”に近いざわめきだ。


「対するは……変態!

それでは最終試合、はじめッ!」


ただの変態呼びは聞かなかったことにした。

もはや訂正する気力もない。


それどころじゃない。

目の前の相手の“圧”が今までと桁違いに重い。


ホットパンツに黒髪のお団子。

あどけなさを残した顔立ちなのに、気配だけで分かる。


たぶん――今までのどの相手より強い。


身体が、無意識に距離を取ろうとしている。


ジェーンは開幕と同時に、すっと片手を上げた。

……なんだその構え。まさか秘奥義――。


「降参します!」

……はい?

会場全体がぴたりと固まる。


時間が、一拍遅れて止まった。


「えっ、ジェーンさん? 降参って負けって意味で合ってます?」

メアリーが素で聞き返す。 


「はい。この人の戦い方……ずっと見てましたが……生理的に無理です。

触りたくも、触られたくもないです」


それだけ言って、颯爽とリングアウトした。 


恐怖でも、怠慢でもない。

明確な“拒絶”だった。


「衝撃の展開ですが、優勝者は……変態野郎です!」

一瞬の静寂のあと、会場はブーイングの嵐。


いや俺悪くないよな!?

“生理的に無理”は普通に傷つくぞ!?

理屈じゃない分、いちばん効く。


なんだろう……なんでだ……勝ったのに負けた気がする。



「優勝した変態野郎さんに、エアリー王女様よりトロフィーと“天頂てんちょうの星”の称号が授けられます!」


メアリーの掛け声と共に、エアリー王女がスカートの端をつまみ、可愛らしく歩み寄ってくる。


「冒険者さん。またお会いしましたね」

上品な微笑みがまぶしい。


……か、可愛い……!!

疲れ切った精神に、直撃だった。


脳内で鐘が鳴った瞬間――

「貴様ァァァ! うちの娘に何かしてみろ……ぶっ殺すぞォ!」


王様、その言葉もう完全にフラグです。


「あっ――」

エアリーがメアリーからトロフィーを受け取り、こちらへ渡そうとした瞬間。


スカートの裾を踏み、前のめりに――

ふわりと甘い香り。

柔らかい衝撃が、唇に走る。


エアリー王女が俺を押し倒す形で――唇が重なった。


狙ってない。誓って、狙ってない。


王女は真っ赤になり、震えながら自分の口を押さえる。

「わ、わたし……っ」

そのまま走り去った。


静寂。


誰も、フォローしない。


そして王様の背後に立ち上るドス黒いオーラ。

終わった……俺の人生。

わりと本気で。


気付けば兵士に取り押さえられ、会場では即座に処刑台が組まれる。


誰も止めなかった。

それが、答えだった。


天頂トーナメント優勝者がそのまま死刑送りは前代未聞らしい。


「いや待ってください王様! 今の完全に事故でして――!」


「申し開き無用!

娘を傷物にしおって……万死に値するわ!

貴様には吊るし首と斬首の刑で二回死んでもらう!

せめてもの情けだ。“天頂の星”の称号だけは墓場まで持っていくといい!」


情けの方向性ズレてません!?

いや、情けはあるだけマシなのか?


案の定というか、予想通りというか――

吊るし首では縄が途中で千切れ、

斬首では“心地よい刺激”とともに刃が折れて飛んでいった。


いつものやつだ。そろそろ驚く気もなくなってきた。

一応は死刑執行済みとして俺は解放された。

また一人に戻った気がした。



謎の喪失感を抱えながら、アグリアスの家へ帰る。

――アグリアス、大丈夫かな。


笑えない夜が、あとを引く。


「ただいまー……」

明かりのない部屋は静まり返っていた。

寝室……いやベッドそもそも無いからな、ここ。


「うにゃあん!」

うおっ! ネコショウが胸に飛び込んでくる。


生きててよかったと、心底思った。

「…お前、待っててくれたのか…。

アグリアスの居場所、わかる?」


「うにゃ!」

YESかNOかわからんが、ネコショウが家を飛び出して走り出す。


「ついていけってことか!」

少し走ると、こじんまりとした可愛らしい平屋が現れる。

 

緑の屋根に植物の飾り。

持ち主の趣向が窺える。


そのとき――

「ぐふふふふ……お姉様の下着姿……ぐふふふふ……」

開いた窓から卑しい声。


口調は異なるが聞き覚えがありすぎる。


誰かは察したが、念のためそっと覗く。

そこには、寝苦しそうに下着姿で寝ているアグリアス。


そして――

その胸元に頬ずりしながら、同じく下着姿のカサンドラ。


「何やってんのお前……」

ツッコミに反応してカサンドラがこちらを見る。


「きゃあああああああ!!」

町中に悲鳴が響き渡った。

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