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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
八章 静養編

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作戦開始?

今夜は静かだった。

いや、降りしきる雨音だけが響いていた。


皆、軽食だけ済ませて早めに寝床に着く。


――三人用の就寝用テントでアリスと寝ていると、外から物音が聞こえる。


「リョウカ……起きてるか?」


「……寝てる」


「入るぞ……」

アグリアスは俺のボケを華麗にスルーしてテント内に入ってきた。


鎧を外し、白い寝巻きに身を包む彼女はいつもより、弱々しく感じた。


「どうした? 眠れないのか?」


「ああ……、アリスは熟睡してるな」

アグリアスは少しだけ距離を空けて俺の隣に座る。


「なんで、ついてきたんだか……でも、こいつの能力は切り札になる。

血徒に恐怖とやらがどれだけ効くかわからないけど……」


「確か、目を見たらやばいだったな」


「ああ、俺には効かなかったけど、酒場のメアリーとエアリー陛下には効果は絶大だったよ」

アリスの話では恐怖に耐えきれなくなり、いずれ自害するらしい。


「リョウカ……」

アグリアスが俺の話を遮る。


俺は彼女の方を向き言葉を待つ。


「カサンドラのこと……私は分かっているようで、何も知らなかったのだな」


突然、カサンドラの話が出て少し驚いたが、

アグリアスはあの日からずっと悩んでいたんだと思う。


「そうだな。俺も何も知らなかったよ……でも、あいつの選択を間違ってたなんて否定はできない」


「俺も……もし、誰かのせいでアグリアスが死ぬと分かっていたら、

自分がどうしていたかは……」

そこまで話したところで、アグリアスが俺の唇に人差し指を当てる。


「それ以上は言うな……」

彼女の目から涙が溢れる。

泣き声は雨音にかき消されていく。


酷いことを言ってしまった。


彼女も俺と同じだ。


俺は、自分が原因でアグリアスとカサンドラを引き裂いたと思っている。


アグリアスもまた、自分の選択が俺とカサンドラを遠ざけたと考えているのかもしれない。


俺がこの世界に転生さえしなければと、

今になって、そう思う。


俺の因果に巻き込まれ、カサンドラは命を落とした。


だが、そう言い切ることは彼女の選択を、命を賭してまで、守りたかった気持ちを否定する気がした。


「アグリアス。明日は決着をつけよう」


これまでの因果とこれからの未来のために。

そう心に誓ってアグリアスの手を握る。


アグリアスは泣きながら頷いた。


アリスはこんな中でもぐっすり眠り続けている。

タチアナのイビキのせいで騒音の中でも眠れるようになったのだと思うと少し頬が緩んだ。



明朝と共に各自、配置につく。


「リョウカ……昨日はすまなかったな」

アグリアスは照れくさそうに頬を掻く。


「別にいいさ。でも、悪いと思うなら……

無事に生きて帰ったら一緒にお風呂に入ろうな」


「な……貴様はこんな時でさえ、頭の中はピンク色なのか?」


「俺らしいだろ?」


「まあそうだが……生きて帰ったら考えてやらなくもない」


特大級のフラグが立ったものの、

二人の間の緊張は緩んだ。


「そういえば……皆様にお伝えしそびれていましたが、テウザ山の主は血徒によって贄にされました」

捕食者ハウンドが俺の隣に立ってボソッと呟く。


「えっ! あの巨大な亀だよな?」


「ええ……ひっくり返っていたとはいえ、あれを仕留めたようです。ですので、どうか油断なさらぬよう……ご武運を祈ります」

捕食者ハウンドは忠告を残して配置につく。


血徒が厄介なのは今に始まったことじゃねえ。

どうせやることは変わらないんだ。

俺は改めて気合を入れる。



時間と共に、捕食者ハウンドの指示でテウザ山周囲を黒狼ブラックダイアウルフが奇襲をかける。


数分おいて、テウザ山西口の麓からステラとネコショウ率いる陽動部隊が騎士団と共に山道に攻め込む。


本命である山頂の奇襲は俺、アグリアス、

デュナン、ジェーン、アリス、セピアで担当する。


「さあ、みんな行くよ!」


デュナンの風魔法で皆、上空を舞う。


「僕とセピアは退魔の剣で上空の魔法陣を壊せないか試してみるよ!」

デュナンはセピアをお姫抱っこで抱える。


「おい、デュナン。どさくさに紛れてなにしてんだよ!」

普段攻められることが多いから、俺はここぞとばかりにデュナンを非難する。


「あれ、リョウカくん嫉妬かい?

言ってくれればいつでも抱えるのに……」


「いや、遠慮しておきます」

俺はきっぱりと断る。


「抱えて飛んだ方が速いんだよ」

デュナンの言葉にセピアが被せる。

「――そうよ、リョウさんは余計なことは言わなくていいの! 

デュナンさん、私、怖いわ。もっとしっかり抱きしめてくださる?」


セピアは猫なで声でデュナンに抱きつく。


こいつ、俺以上にたちが悪い。


「ほら、遊んでないで行くぞ!」

アグリアスの指示で、山頂に降り立つ。


俺、アグリアス、ジェーン、アリスは先に山頂に降り立つ。


目の前には苔むした小さな古城が建っていた。

暗い石レンガに蔦が絡みついていた。


「やけに年季の入った城だな。こんなのテウザ山にあったか?」


「ないですね! はっ!」


ジェーンは容赦なく、拳を放つ!

ドンッ!

激しい土煙と共に古城の大半が瓦解する。


「こういうのって入り口から、順番に攻略するもんじゃないのか? RPGの鉄板だろうが」


「なんだ、そのアールピージーというのは?」

アグリアスは首を傾げる。


「てきしゅー! てきしゅー!」

アリスが土煙の中を指さす。


「来ますよ!」

ジェーンが拳を構える。


パリンッ!

硝子が割れるような音と共に空が明るくなる。


「よし、デュナンとセピアは上手くいったみたいだな!」


俺の掛け声にアグリアスが頷く。


「さぁ、皆、ここからが本番だ!」


次第に土煙が収まると俺たちの前に、三人の人影が現れた。

八章最終話になります。

次話から九章、二部のラストに突入します。


少し、九章の全体を見直して続きを執筆します。

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