妄想であってくれ!!
目を覚ますと、聖書で見た事のある少女がいた。
しかも、私の夫とか夢だろうと思いつつ少女の手を取る。
感覚がある、鮮明な夢だなと寝起きの頭で思っていた。
「もう、ノアったら…」
その声で夢では無いことに気がつく。
何故だかわからないが、夢じゃないそう思ったんだ。
「えっ!?夫!?俺が!?」
びっくりしながら、テュフォラに何回も確認する。
確認する度に、照れながら
「もう、そうですよ。私の夫であるノア」
ノアの頭はパンクしそうだった。
ノアには許嫁であるネイサンが居る。
今回の儀式だって、ネイサンとの結婚前にやろうということになったから儀式の規定の18歳ではなく17歳にしたのだから。
「えっと、俺には許嫁のネイサンが…」
ネイサンという名前を聞くと、テュフォラが頬を膨らませ
「嫁の前で他の女の子の話をするのですか?」
と一言。
これには機嫌を害してしまったかと少し反省をする。
だけれどおかしい。ネイサンと結婚するはずが、聖書に書かれている人と結婚することになっているのだ。
「えっと、俺の嫁…?よくわからないんだけど」
「ノアは私と子供の頃約束してくれたではないですか!!」
約束と聞き1個だけ当てはまるものがあった。
ノアが5歳の頃、ベルソスの端でうずくまっていた少女とよく遊んでいたこと
その女の子は自分のことをテュフォと名乗っていたこと
結婚して欲しいと言われ、それに対しいいよと返事をしたこと
「もしかして!テュフォ?」
テュフォと婚約したと親に言ったことがあるが、ベルソスにテュフォなんて少女は居ないと言われその後、ネイサンとの婚約が決まったからすっかり忘れていた。
「はい、私はテュフォこと神のテュフォラです。」
久しぶりの再会に感動しテュフォラにハグをする。
テュフォラは頬を赤くし、抱きしめ返す。
「もう会えないかと思ってたよ。」
「私もですわ。あ、そうだわ。ノアのご両親に挨拶しないといけないわ。」
微笑みながらそう言う彼女に
「ねぇ、今2人はどこにいるの?」
と聞いたら不敵な笑みを浮かべながら。
「ノアのご両親は監禁されてますわ。教会の地下にね。」
悪気のない目をしている。
その言葉にノアは部屋を出て行った。
テュフォラは
「せっかちですわね。」
と言いながら、ノアに着いて行ったのであった。
ノアは教会まで走った。走り続けた。
そして、長に止められたのだった。
「ノア、テュフォラ様と何故居ない?」
「俺の両親を監禁してるんだってな、あとネイサンとネイサンの両親も居ないよな。」
「してますよ。だって、君の両親のネイサンとネイサンのご両親は…テュフォラ様との結婚に反対されていらっしゃったからのぉ。」
その目は本気だった。
「テュフォラ様の言う事は絶対。教会でも習っただろう?」
「君のご両親と許嫁の人たちはね。それを破ったんだよ。本当は断頭台送りにしたかったんだけど…可哀想だから結婚式まで待ってやるよ。」




