表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/21

0.2 それは始まりの話

「動くな!」


 部屋に突然入ってきたゴブリンの兵士が少女に槍を向ける。

 少女は、何も言わず、向けられている槍をじっと見つめていた。

 俺の方に数人のゴブリンがやってきて少女との間に壁を作る。


「一緒に来てもらおう」


 ゴブリンが少女の手を取ろうとした途端、それは開いた


「呼んだか。エレラ」


 と言って少女の背後に現れた門からデュラハンが出てくる。

 どこかでみたことあるような。


「うん。ここにいる生物全部、冥府に連れてってあげて」


 まずい。まずいまずいまずい!

 少女が完全に怒っている。


「ま、魔王様を逃がせ!」


 ゴブリンたちに囲まれそのまま窓の方へと追いやられる。


「ちょ、まて………」


 開いている窓から飛び降りそうになった途端、それは起きた。

 ゴブリンに槍を向けられていた少女が俺を抱きしめて窓の外へと連れ去った。


「馬鹿な生物…………」


 少女が指を鳴らした途端、城のすべての生命がその場で一斉に倒れこむ。

 少女は、ちょっとご機嫌が戻ったのか俺を思いっきり抱きしめてきた。

 だが、俺は、そんな少女から離れたくてもがく。


「暴れないでよ」


 少女がもがいてる俺に言う。

 ただ、俺は確認したかった。

 すべての生物が、今までのすべてを失ったことを


「なぁ」


 俺は、暗い声で言う。


「どお? 邪魔なの全て消してみたけど」


 今までの苦労が、頭の中で流れ出す。

 そしてそれは動く。


『スキル【災厄】が発動しました』


 頭の中に壊れたはずのシステムが復活したアナウンスが流れだす。

 どこかを失った感覚とそれに似合う対価が、体中にあふれ出す。


「なんで殺した。なぜ俺のすべてをお前は一瞬で奪っちまうんだ」


 怒りがこみあげてくる気がした。

 城内に倒れこむ魔族を見た途端、背筋に刺激が走る。


「分かったから、黙ってて。あの野郎がまだ生きてたなんて」


 少女はしょんぼりと落ち込んだ表情で、城内のほうへと右手で指刺す。

 すると、城内の方へとなにかか飛んでいった。

 

「なにをした!」

「別に、ただ魂を戻しただけ」


 少女がそう言った途端、倒れていた魔族たちが起き上がり始める。

 抜かれた魂が、元に戻ったのだろう


「これでよかったんでしょ?」


 と少女が聞いてきた。

 俺は何も言わず、そのまま黙り込む。

 少女に背中から抱きしめられるも、俺は黙り込んだ。


「それじゃあ行きましょうか」


と少女はいうと自ら自分の唇を俺の唇に重ねた。

 なぜ少女がそんなことをしたのかわからなかった。

 だが、これだけはわかった。

 以前にもしたことがある。

 俺から離そうとすると、少女にせがまれなすがままキスしてしまった。

 少女から唇を話すと満足そうに微笑む。


「なぜ、キスしたんだよ」

「そ、それは………」


 少女がその場で黙り込む。

 聞かなかったことにして、城の方へと帰ろうとする。

 だが、少女に止められてしまった。


「戻っちゃダメ。本当に殺したいの?」

 

 その言葉に俺は、先ほどのアナウンスが本物であることがわかった。

 スキルの効果としての災厄。

 それは、俺の周りに起きるため、俺が城に戻った途端、皆その場で死ぬことが確定する。

 だから、少女は止めたのだろう。

 大事なものを壊さないためにも。


「で、でもさ………」

「創造神はまだ生きているて言ったら?」


 少女が言った言葉に体中電気が走る。

 

「ちょ、ちょっと待て、なぜ創造神が生きてんだ! エレラが倒したはずだろ」


 と俺は言う。

 少女は、コクと頷く。


「とどめが甘かったみたい。そのためスキルのシステムは一時的に利用できなくなった。でも再起動した。その意味は、創造神がいきてるの」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ