5 お城建ててしまいました
そういって、少女は、城の中へと入っていった。
俺もそのあとに続いて中に入ることにしたのだが、内装は、なかった。
「ごめんなさい。外見は知っていたので作れたのですが、内装は知らなくて、作れませんでした」
目の前で、少女が落ち込んでいる。
各部屋の続く扉や明かりすらない。
暗い、まだ外の方が明るい。
だが、そんな中、少女の姿はわかる。
「大丈夫。内装なんてこれから作ればいいじゃないか」
と落ち込んでいる少女に言い聞かせた。
内装なんて、季節によって変わっていることが多かったため、どこにおいてかもわからなくなるのが日常茶飯事だった。
貧乏だが、それぐらいの楽しみは必要だったのだと俺は思う。
「そうでしょうか………」
「ああ、まずは明かりを探さないと」
「明かりならこの子たちにお願いすれば大丈夫です」
少女が、指を立てると、その真上に、青い炎が踊っていた。
「ひ、人魂………」
あまりの目の前に人魂が現れてびっくりしてしまった。
でも、今思うと少女は、そもそも冥府の神様だ。これぐらいできて当然の事なのだろう。
「よろしくね~」
少女が手を振ると、人魂が何十倍にも増えて、あちこちにある柱や、壁、などの上にとまっていた。
人魂て一応魂だよなぁ。永遠に明かりとして使うのはまずい気がするが………。
「平気ですよ?」
また少女に心を読まれてしまった。
というより、今この状況でも、少女には心の声が聞こえているのだろう。
「そ、そうですか」
まるで魔王の城のようだ。
内装がないのが余計不気味な雰囲気を醸し出している。
伐採した木で家具でも作ればなんとかなるのでないだろうか。
「伐採した木で家具作ろうと思う」
と言って、城を出ようとすると左腕を掴まれて動けなくなってしまった。
まるで、床に足が引っ付いたように。
「わ、私もご一緒してもいいですか?」
「いや当たり前だろ。エレラがいないと俺が死ぬ」
少し照れながら思ったことを言う。
少女がいなかったらと思うと何もせずに灰になった村でスキルによって死んでいた。
「死んでもらうとお仕事増えてしまうので困ります」
死に導いてあげようかとか言っていた最初とは、真逆のことを言っている。
てか、少女がここにずっといて冥府は大丈夫なのだろうか。
思い込んでいると、少女が「大丈夫です」と小さい声で言っていた。
「とりあえずスキル発動する前に、作業しないとな」
「ですね。発動してもこの城は崩壊することはないので安心してください」
スキルでさえも、崩壊することもない城て最強すぎるだろう。
後から、壁とか作るのだろうか。
とりあえず、家具の素材となる伐採した木を加工するため、外に出ることにした。
城の前には、加工された木材が乾燥された状態できれいに山となっておかれていた
少女がやってくれたのだろうか。
「ありがとうございます」
少女は、何もいないはずの場所で、お礼を言っていた。
俺には見えないだけで、少女には見えるのだろう。
「助かります」
少女の横に立ってお辞儀してお礼を言う。
何かに頭を触られた感触があり、一瞬でその感触が消えてしまった。
やはり何かいたのだろうか。
「見えていました?」
きょとんとした少女が横にいた俺に聞いてきた。
「いや、見えていないけど伐採したはずのものが加工までされているなんておかしいと思ったから。それでエレラが何かにお礼してるから、なんとなく、神様か霊でもいるんだろうなて思って、お礼を言っただけだ」
「一応魔神になった人間の霊でした」
神様だったのかぁ。人間が神様の領域まで行くのて、そうとういだいなひとだったのだろう。改めて感謝しておかないと。
「さてと、始めるか」
「はい!」
右足となった剣を元に戻そうとして、少女に怒られてしまうも、少女が出した小型のナイフで、長い木材でも、すぐにまっすぐに切れることがわかり、そのまま作業が進んだ。
「とりあえずこんなもんか」
均等な長さに切り落とした木材が、二山並んでいた。
ここからどうするのかと思っていると、少女が釘とハンマーを持ってきた。
「次はこれ」
「ああ、ありがと」
木材に釘を打ち付け、机と椅子を作る。
後は、装飾で何かをつけよう取ると、いつの間にか、職人が作ったような机と椅子が置かれていた。
「助けてもらってばっかりだな」
と申し訳なさそうにしながら、出来上がった椅子に座る。
「感謝すること忘れないようにしないといけないね」
そういって、少女は別の椅子を俺の横に持ってきて座っていた。
ひとまず、完成。だが、ほかにも必要なものは、ベッドだ。
かたい床で夜を明かすわけにもいかない。
だが、肝心の布団をどうやって作るのかを悩んでいた。
「ベッド作らないと………」
と一言つぶやいて、イメージしながらベッドを作り始める。
ベッドの枠はできたものの、肝心の布団が作れなかった。
「布団どうするのですか?」
悩んでいた矢先に、少女が聞いてきた。
「思いつかないんだ。布なんてそもそもどう作ればいいのかわからないし、作れたとしても、夜が寒くて寝れないかもしれない」
「それは困りましたね」
少女も考えているのか何も話さなくなってしまう。
布以外に考えられるのは、動物とか皮だ。しかし、この森には、動物やモンスター入るのだろうか。
「あ、モンスター倒しに行きましょう!」
「思ったが、狩るための道具がない」
「ありますけど?」
少女がまた暗闇のよくわからない多次元的なようなものから、弓と矢と片手剣、両手剣を取り出した。ほんとなんでも出てくるため、一回中に入りたい。
「一回入ったことありますけど、中は無。何もありませんでした」
また心を読まれてしまった。
何もない無、今の俺では考えられない。
椅子から立ち上がろうとすると、体力が限界に達したのか俺は少女のほうへと倒れこみ、そのまま眠りについてしまった。