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0.05 エレラの父親

 少女がツンデレだったらこんな感じだったんだろうなぁ………。


「ふふふ、ツンデレではなくヤンデレのほうよ?」


 少女の母親は、俺の心を読んだのだろう。

 シンクで洗っていた包丁を片手に持ってこっちに笑顔を見せてきた。

 あのおっさん、終わったなこれ。


「なんのこと?」


 少女は、俺の心を読んでなかったのかきょとんと首を少し曲げていた。

 少し見える、少女のうなじがいい感じに白く輝いている。


「ん? ママね。あの浮気者を殺したいほど愛してるの」


 さすがに親子だとしてもその発言に少女も少し引いている様子だった。

 まぁ無理もない。今にでもあのおっさんのとこに向かおうとしているのだから。

 必死に止める少女をみてなぜか和む俺。

 すると、玄関の方から誰かが入ってくる音が聞こえてきた。


「ただいま………」


 鈍い声が部屋の中に伝わってくる。

 玄関の方を見ると、そこにはその場で土下座している少女の父親がいた。

 俺は、その様子をソファーからじっと見つめる。

 家族の輪に勝手に入り込むのはよくないだろう。


「良いですか! あなたてひとは………」


 こっちまで少女の母親の怒鳴り声が聞こえてくる。

 見ていた新聞を机の上に置き、ぼーっと天井を見上げる。

 暇だ………。


「なにしてるの?」


 少女の顔が俺の目の前に現れる。

 玄関の方へといったはずの少女がいたため、少し驚いている。


「暇だからぼーとしてるだけだ。そっちこそあれ止めなくていいのか?」


 俺は、玄関の方を指差していう。

 だが、少女は首を横に振る。


「いいの。浮気したパパが悪いんだし………私は関係ないよ………」


 少し最後辺りの言葉の元気がなくなっていた。

 ソファーに寝ころぶのをやめる。

 すると、少女が俺の膝に座ってきた。


「お、おい………」

「いいでしょ?」

「あ、ああ」


 まだ少女の母親の怒鳴り声が聞こえる中、少女の笑顔に負けてしまう俺だった。

 あの笑顔は反則だ。


「そういえば、パパにさっき聞いたんだけど、スキルのことやっぱり難しいてさ」

「だろうな………」

「いっそパパを殺せば早く済むのに………」


 ダメなとこが似ているのがたまに痛い。

 だが、俺のことを思っていることには変わりなかった。


「ひぃー‼」


 少女の言葉に合わせておっさんの悲鳴が聞こえてきた。

 少女の母親が包丁でもつきつけたのだろうか?


「とりあえず今は、この世界でできることを探さないとな」

「え? 何もしなくていいよ?」


 スキルが発動しない神界においてやるべきことはないかと思っていたが、少女にきっちり断られてしまった。

 暇で暇で仕方ないのだが………。


「そんなに暇なら私の仕事、手伝ってくれるかしら?」


 少女に暇であることを読まれてしまう。

 まぁいいことなのかもしれない。

 そういえば、少女のことかわいいて思っていたとき、ほとんど筒抜けになっているんだろうか………。


「あっ、えっと………その………はぅ………」


 反応からして筒抜けの様だ。

 まぁ反応がかわいいので良しとしよう。 

 そういえば、説教の声が止まったような。

 少女から目線を外し、玄関の方へと目線をむける。

 そこには、顔面あざだらけの少女の父親と、すっきりした笑顔でこっちを見つめる少女の母親がいた。


「あら、バレちゃったみたい」


 少女の母親が言った途端、少女が何もなかったかのように、俺から離れていく。

 まぁ仕方ないか。

 少女の母親の後ろに顔面ボコボコにされたおっさんを引きずっていた。

 

「大丈夫ですか?」


 ひきずられているおっさんの近くによる。

 意識はある。


「へ、平気だ。このくらい、儂が悪いんだ」

「ふふふ、この人は本気で殺すとなると惑星事態壊さないといけませんから、大丈夫ですよ」


 なんかすごいこと言っていて頭が追い付かない。

 ただ、少女の母親の顔が笑顔だったが、その笑顔がすごく怖かったのは言うまでもない。


「パパ。大丈夫?」


 少女が俺の隣に来ておっさんに近寄る。

 すると、さっきまでのボコボコだった顔が、いつの間にか元に戻っていた。

 どうしてなのかわからない。

 ただ、少女が来たことが関係あるのだろう、多分。


「すまん。話は明日にしてくれ」


 そういうとおっさんは、その場から立ち上がり家の奥へと消えていった。

 少女の母親は、そのおっさんについていき、途中でこっちに振り替えるとこっちにウィンクをしてそのままおっさんと同じように奥へと消えていった。

 なんだったんだ………いまのウィンクは………。


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