0.03 エレラ
彼の寝顔を見ていると部屋の扉が開く音がした。
廊下からママが部屋に入ってきた。
「もう寝てしまったの?」
「うん。結構疲れてたみたい」
ママが、彼の寝顔を見て言ってきた。
事前に彼と一緒に寝ることは伝えてあったために、なにも誤解を生まなくすんでいる。
まぁ、ママならもうやったの?とかきいてきそうだけど。
「そう。災厄なんて彼には重すぎるスキルをどうして彼が………肉体を代償する代わりに一時的に創造神すら超える世界構築を行うことができるスキルをなぜ………」
ママが彼の顔を見ながら言う
ギールは、災厄のスキルの本当の力を知らない。
三千年前、彼は私と出会った間もない時にスキルによって一時的に神となり果てた。
その彼は、三千年が経ちいつの間にか復活を果たし魔王となっていた。
まだ、初期段階の代償だがいずれは肉体を代償に捧げ世界を変えてしまうだろう。
「本当はここで殺してしまうのがベストなのよね」
ママが手のひらから雷光放っているのをこっちに近づけてくる。
だめ、やっとやっとみつけたのに………。
いつの間にか、ママの手を掴んでいた。
「ママ、やめて………」
「殺しても意味がないのはあの日味わっているもの、今更殺すつもりなんてないわ」
ままは、いつの間にか雷光を消し去り、真逆の手で彼の頭を撫でた。
その様子は、まるで疲れている息子を癒しているかのように。
「とりあえず、もう寝なさいよ。彼のスキルの事は任せて頂戴」
そういってママは、部屋から出て行ってしまった。
ほっと心を撫でおろす。
なにもしらない無防備な寝顔を見せる彼の口を私の口でふさぐ。
唇を離し彼の大きな背中を抱き枕にして私は眠りにつく。
いつか、彼のスキルが無くなることを願いながら。




