0.01初めてのお風呂
そこには、鏡がついたシンクが置かれており、その隣にはブーブーとなっている異質のものがあった。
服を脱ぎ、曇った扉の向こうへ向かう。
そこには、ユニットバスが置かれていた。
「これが風呂………」
湯が張った浴槽に指を入れる。
あったかい。
その時、脱衣所から音がして、風呂場の扉が開いた。
「使い方わからないと思ったから来てみたけど………」
バスタオル姿の少女が風呂場の扉を開けた。
少女の姿を見て、正面へ振り向く。。
だが、桶に浴槽からお湯を掬い全裸の俺にかけてきた。
「ちょ、なにを………」
いきなりかけられたことに驚く。
だが、振り返った瞬間、少女の白く雪のようなはだとあるかないかわからないほど隠れている胸が見えそうになり、すぐに正面を向く。
「かけ湯。湯を汚さないための一種の決まり事ね」
真面目に少女が答えてくる。
脳裏に少女のバスタオル姿が写り、何言っているのか理解できない。
「なるほど」
湯船に入ろうとすると、少女に腕を掴まれる。
目線を少し少女の方へずらすとバスタオルに俺の手を掴んでいないほうの手で掴んでいた。
「さき、頭と体洗わないと」
「先なのか」
コクっと少女が小さくうなずく。
だが、どれがどうなって水が出るのかどれが石鹸なのかすらわからなかった。
すると、白くて美しい手が俺の前に出てきて蛇口をひねる。
頭の上からお湯が出始め、それを浴びる。
「じっとしてて」
少女が透明な容器のふたを押しつけ、その中の液体が少女の手に出てくる。
それを俺の頭に付け、洗い始める。
床には白い泡とお湯が網がついた穴に流れていった。
「あとは体かな」
その言葉に体が反応する。
少女が俺の体を洗おうとしたとき、少女の手を止めた。
「俺がやるから」
「そう。右のやつだから」
そういうと、そのまま湯船に入った。
まぁ入っていったのはいいが、こっちをじっと見つめてくる。
特に下半身。
「あんまり見ないでくれ」
照れながら俺は言う。
少女は、気付いてないと思っていたのか、湯船に頭をつけブクブクと泡を吹いていた。
タオルに言われた通りに洗剤をつけ、体にこすりつける。
かなりいいにおいがする。
「こんなもんか」
身体に着いた泡を流し終わる。
湯船の方を見つめると、まだ泡を吹いた少女が入っていた。
俺は、少女と背中合わせになるように入る。
「あ~きくぅ~」
つい、言葉が出てしまう。
いいぐらいの温度のお湯。
無理すれば三人は入れる、浴槽に俺達は入っていた。
「なぁ、エレラ」
「………」
何も反応がない。
だが、湯船から顔上げたのか、水がしたたり落ちる音が聞こえ、背中に髪が触れた。
「どう? すごいでしょお風呂て」
少女がかなり自慢げに話しかけてきた。
ふふんと鼻が伸びているような感じがして仕方ない。
ただ、実際すごいのは事実だ。
「ああ、その通りだ。あれでもなんで城に浴槽ないんだ?」
触れていた少女の背中がぴくっと反応する。
まずいことを聞いたらしい。
少女が立てた城の中には浴槽がなかった。
少女なら魔法でいつでもお湯を張れるのではないかと。
「そ………それは………」
控えめな声が背中から聞こえてくる。
すると、脱衣所の扉があく音が聞こえてきた。
足音が風呂場の扉の方へ近づいてくる。
「それはエレラたら、お風呂入らずに本ばっかり見ているのよ」
風呂の扉の向こう側から少女の母親の声が聞こえてきた。
そこ声に対して、少女の背中がまたぴくっと動く。
「それより、エレラなんで一緒に入っているのかしら?」
扉の向こう側からスゴ威圧を感じる。
まぁそうだろう。
自分の家の風呂で男女が一緒に湯に漬かっているのだから。
「まぁ、どうせギールくんに水道の使い方でも教えてたのでしょ? それで寒くなってお湯に漬かってるんじゃなくて?」
完全に詠まれていたようだ。
まぁ少女の母親なのだから、それぐらいできて当然なのだろう。
「そうね。でもわたしはいつも彼とお風呂入っているわ!」
少女が大声で口から出まかせを言う。
城に風呂はないのだが………。
一緒に寝ているが、一緒に風呂に入ったことはない。
「ふーん。またお説教かしら?」
少女が俺の背中に抱き着いてくる。
直に色々と当たっているので、その感触が伝わってくる。
そして、少女の体が振るていることも。
「俺から言っておきます」
と俺は言う。
すると、あきれたような声で返事が返ってきた。
「無理しなくていいのに………わかりました。後はお願いしますね。あ、そうそう。着替え洗濯機の上に置いておくので使ってください」
と言い残し、脱衣所から気配が消えた。
ほっとしたのか、背中で氷のように解けている少女を見つめる。
「ありがとう………助かったわ」
「いつもの御返しだ」
ご機嫌になったのだろう。
俺を抱きしめる力がさらに増す。
それに伴い、当たっているとこがさらに面積が膨らんでいき、ちいさいが柔らかい感触が広がっていく。
さすがに気づいてほしい。
「なぁ、色々当たってるんだが」
「え? きゃ!」
かわいい悲鳴と共に柔らかい感触が無くなり、お湯から上がる音が聞こえてくる。
そのまま風呂場の扉が開く音が聞こえてきた。
無意識だったのだろう。
いつも、服を着たままだからあんまり気にしていないのだと思いたい。
「全く、収まれよ」
なにが治まれとは言わんが、立っていて仕方なかった。
収まり、脱衣所から少女の気配が無くなったことを確認し、湯船から出る。
だが、湯船から出た途端頭がくらくらし始める。