スキル入手と追放
この世界の人間の中には稀に、成人をを迎えるとスキルを入手することが出来る特別な者がいる。それは運であり、努力であり才能や遺伝などで様々なスキルを入手することが出来る。
そしてなんとなく、平凡で退屈な日々を送っていた俺もその中のひとりであった。
「なんだと……!?」
この村では成人になると【鑑定】持ちの大人がステータスにスキルが刻まれているのか鑑定してくれるのだが、やけに驚いている。
「どうしたんですか!?なにかスキルが発現していたんでしょうか?」
尋常ではない様子に、気になったので聞いてみる。
「どうして人間のお前に……?お前には確かにスキルが発現していたよ、【吸血】のスキルが!!」
周りにいた大人たちがざわめく。
「どうして人の子に魔族のスキルが!?」
「魔族のスキルは人間には使えないはずじゃないの?」
そんな声が聞こえてくる。
「確かお前は、幼い頃に母親を亡くしていたな?」
「……そうですけど。」
確かに俺の両親はいない。だがそれとこの話になんの関係があるのだろうか。
「お前の母親はお前がそのスキルで、【吸血】で吸い殺したんじゃないのか……?」
その発言で周囲の大人たちがさらにざわめきだす。
「なんてこと言うんですか!?育ててくれたお母さんを殺したりなんてしません!」
俺は否定するが、周りに聞いてくれる人はいない。それもそのはずだ。俺は母が残してくれた家でひっそりと、必要最低限しか人と関わらずに過ごしてきたのだから。
「あの子、いつも一人でいたよね?」
「それも魔族だとバレないためのカモフラージュだったんじゃ?」
それは違う。小さい頃は寂しい時もあったが、慣れてくると一人でいるほうが気が楽だっただけだ。
こんな時に友達がいないことが仇になるとは……
「違います。僕は魔族ではありません!どこにでもいる普通の人間なんです!」
「普通の人間に【吸血】なんてスキル発現するわけがないだろう!」
それはそうだ。こんなスキルが発現した人間なんて聞いたことがない。
「今までよくも村の皆を騙してくれたな!?このままここで殺されたくなければ今すぐ村を出ていけ!」
擁護してくれる親や友達もいない。もしかするとこれはダメかもしれない。
俺の人生はこんなことで詰んでしまうのだろうか。自分の味方になってくれる人を作らず【吸血】なんていう運の悪いスキルを発現させてしまったせいで。
「……わかりました。」
こうして【吸血】というスキルを持っただけで何もやってこなかった俺は村を追放されたのだった。
ユウキ
L.v1
種族【人間】
体力 10
力 5
耐久 3
敏捷 4
魔力 0
スキル 【吸血】