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龍の涙が降る頃に  作者: 夜祢亜
1/2

あの時の君はいつまでも・前編

それは、俺の前世の記憶。


アマガエルが泣き龍も泣く節目。


俺は大事なことを思い出した。


……


それは、今から何百、何千もの昔のことであった。


その日も龍は泣いていた。


「たっく、梅雨は嫌だよなぁ……教科書は濡れるし……草履は腐るし」


その中を雨具を着込み帰っていた最中であった。


水溜まりを蹴りながら……泥道を歩く。


すると、


「ん?あれは……女の子?」


そこには、貧相な自分の服装より高位の位の紫と白の衣を纏った少女が横たわっていた。


「おい、大丈夫か?」

「ん、んん」


意識は無いようだ……俺は彼女を背負い自宅へ向かった。


藁で作られたその建築物は今の現代社会からすると、古めかしいが時代とすれば縄文、弥生だろうか……


取り敢えず、茣蓙の上に寝かせ……火を焚く。


服も脱がせ、下着姿の彼女を見て息子が反応しそうになったが妹の裸を見られているせいで余り気にならなかった。


「ん、んん……ここは」


黄金色の髪を持つ少女は目を覚ましたようだ。


「大丈夫か?」

「お前、何者……って、えぇ?!」


自分が下着姿なのに気付いたみたいだ。


「この、へんた……クシュン」

「お前が雨に濡れてたからな……そこにある」

「……瀕死のところ助けてもらい感謝する」


顔を赤らめながら彼女はそう言った……無理もない俺も下着姿だからな?


「名前は?」

「諏訪子……洩矢諏訪子」

「聞いたことない名前だな……歳は?」

「……覚えてない。だが、お前より歳上だ!!」

「ちっちゃい……あいた!!」


理不尽である


「年上には敬語だ!!」

「とても、素晴らしく幼い容姿をしておりますね♪」

「コラ!!人のコンプレックスを言うな!!」


そう言うと諏訪子があたりを見渡す。


「そう言えば帽子は?」

「えっ?知らないよ?そんなもの」

「嘘だ!!」

「ホントだって」

「まぁ、倒れてた私を助ける位だから……見落とすことは無いのか……」


ん……諏訪子は考え込む。


「あの御柱め」

「何言ってるかさっぱり何だか……」


すると、彼女は教えてくれた。


自分は神様だと言うこと。

異国の神の軍勢が攻めてきたこと。

劣勢で命からがら天界から逃げてきたこと。


「現人神?」

「そうだよ」

「へぇー」

「感想それだけ?」

「いや、神様は居るんだなぁって」

「現に目の前にいるだろ」


あぁ、だから美女って言うか神々しいのか……


「だけど、帽子がなきゃ、チカラを使えないんだ……無力な神を笑えばいいさ」

「なんだ、ただの幼女じゃんww」


(ぽくっ!?)

また、殴られた。


「殴るなよ」

「お前が悪い」


ww


二人して笑う。


「そう言えば、お前さん……家族は?」


空気が重くなる。


「いないんだ、従姉妹しか」

「なぜ」

「戦争だよ」


更に重くなる。


「なんか、悪かったね……聞いて」

「いいよ、俺は気にしない」

「嘘だろ?」

「ホントだよ」


実は嘘だ……未だに過去を引きづっている。

時々、虚しくなって枕を涙で濡らしてる。


「そう言えば、さ……諏訪子ってどんな神様なの?」

「私?私は…」


その話で盛り上がり……一晩をすごした。



…………翌日


私は眠気眼を振り切りながら意識を覚醒する。


「……もぅ、朝。天気は曇りね」


干してある服に着替えていると彼が目を覚ました。


「ん?諏訪子。おはよう。昨晩はお楽しみでしたねw」

「話しながら、ごはん食べただけだけどね!!」

「怒ってる?」

「怒ってないよ」


(なでなで)


「気安く触るな!!」

彼女から頭突きを額に喰らう。


「いった……」

「助けてもらったとはいえ、神を撫でるなんて無礼だぞ」

「すみません」


たくっ……と、彼女は着替えを済ませる。


「じゃあ、私は情報でも集めるか……」

「ここに住む気か!?」

「ありがたく思えよ少年。完全美少女と共に屋根の下……ムフフがアハハでしょ?」

「……」

何も言い返せない、仕方ない。


「じゃあ、帽子見つかるまでよろしくね?○○○」


彼女は家を後にした。


…………


そうして、15日くらい過ぎたか……諏訪子が出掛けた後、俺はいつもの様に身支度を済ませ村を出ようとした。


「……怪しい」

「ん?……あっ、そこの君」


変な帽子を被った彼女は俺を指差した。


「洩矢って、娘……知らないかい?」

「知らないけど(嘘だ)」

「そう、ありがとう」


そう言って、彼女は村を出ていった。

「さて、学び舎に行きますか……」


俺は片道2時間かかる学舎に向かった。


…………お昼時


俺は、いつもの紫陽花の咲いてる華に囲まれながら食事をしていた。


「(もぐもぐ)」

「やぁ、少年」

「諏訪子?!」


急な登場に食べ物を喉に詰まらせる。


「ほら、水だ」

「ありがとう。ってか、何でいるの?」

「神が散歩してて悪いか?」

「確かに……って、ならねぇーよ」


ふふふっ、彼女は不敵に笑った。

俺は何か少しドキッとしてしまった……2度目だ。


「ところで、捜し物見つかったか?」

「ないんだそれが……コレぽっちも」

「それは、どんな帽子なんだよ?」


麦わら帽子で頭に中が黒い水晶が二個付いたもの……


「ん?」

「どうした?」

「いや、その帽子見たよ」

「どこで?!」


彼女に出て行った後、諏訪子を探している人物が被っていた事を教えた。


「あ・い・つ」

「知ってるのか?」

「私が言ってた異国の神の長よ」

「アイツが……」

「名は神奈子。八坂神奈子」

「何でまた、そんな奴に追われてるんだ?」


彼女は生の渋柿を食べような顔する。


「私が同盟を結ばなかったからだよ」


彼女は重く暗い顔でこう言った。


……諏訪子は元々この辺一体を見守っていた神様である日突如、彼女の所に軍を引いて交渉に来たそうだ。


「神様が一致団結すれば、信仰が薄くてもなくなることは無い……だから。同盟を結ぼうじゃないか?」


しかし、それなら……神奈子1柱で来ればいいもの、軍勢で来たから土地がめちゃくちゃになり、それにブチ切れたみたい。


「それで、攻撃を仕掛けて返り討ちにその途中で大事な帽子も落とすと……災難だな」

「奴が持ってるのか……これは……ん?」


彼女の姿が少し薄くなった気がした。


「ちょ、おい」

「信仰が奪われてる……これは、不味い」

「どういう事だ?!」


絶望の色に染まった彼女の口からこう告げられた。



「この世、理から消える……」


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