43 あとがきに現在のステータス
クルベルトワから、
ダメージ+1の魔剣。補強皮鎧6。武器折りの盾。
眠り耐性の護符(等級1・HP3)。
サブ・リーダーの魔術師サビョンデイルから
初級・中級の治癒薬。眠り耐性の護符(等級1・HP3)。
瀕死時完全復活の護符(等級4・HP2)。
痔癒しの護符(等級5・1日一回・5HP)。
皮鎧もいい品だが、これは諦めて景品にした。
女戦士たちから、
初級・中級の治癒薬。最大等級20を含めた数個の蘇生薬。
このうち、使えるものは金に換えるより自分らで使おうということになった。
そうしたほうが全体としての生存率は上がるからである。
また魔道具はそこまで換金性が高くなく、こちらから売ると買いたたかれる。
こうしたやり方は探索者ではよくある。
というかゲームの時の運用がそうだった。パーティの共有物のような各自の所有物のような曖昧な所有形態。
それがあるべき理想として慣習になってるのだろう。
これ裏にプレイヤーがいるから上手くいくんであって、リアルでやると結構拗れてるけどな。
俺「この補強鎧は、魔道具じゃないけど、締めなおして誰か使ったほうがよさそうだな」
ビルト「これは前線の女子のどちらかだね。両手武器をふるう時の多い、エスタさんではどうだろうか」
エスタ「あたしよりチリリのが、敵真正面が多いけど」
チリリ「私は少し打たれ強くなっているから、まだましよ。あなたが身につけたほうがいいわ」
俺「これは魔剣。ちょっとだけ打撃が良くなっている」
事前情報だと「当たりやすくなった魔剣」だった気がするが、そういう効能はない。
クルベルトワのチームに魔道具鑑定能力の持ち主がいないか低くて、誤解したまま使っていたのかもしれない。
あるいは商人口に騙されたか。
ジーネ「ビルトソークがいいかも。一番当ててるように思うよ」
エスタ「一撃を強めるならウヒョウもありなんじゃないか?」
チリリ「打撃力が一人に集中するより、分散していたほうがよくない?」
俺「じゃあやっぱりビルトか」
ビルト「これはありがたい。代わりにこの剣を差し出すよ」
チリリは、エスタとウヒョウを見比べた。
二人は今、女戦士の使ってた槍を持っている。
彼ら二人は、クルベルトワの持っていた『武器折りの盾』に受けられて、武器を失ったのである。
チリリ「どちらか、もらう?」
エスタ「あたしは槍のが慣れてる」
ウヒョウ「では俺が。いままで、手に入る武器はどれでも使ってきたんだ」
実に貧乏冒険者らしい言葉である。
俺「痔を治す護符あるけど、売るか?」
エスタ「待った! 今いるというわけじゃないが、あったほうがいい」
俺「エスタ痔だっけ?」(そういえば直腸内舐めたとき)
エスタ「違うけど! 今は! でもいつなるかわからない病気だろ!」
俺「じゃあ渡しとくわ。大事に保管しておいてくれ」
ジーネ「どう使うの?」
俺「結縁して身に着けておくだけだよ。
痔になっていると一日一回、勝手に判定して、発動したら病状が一段階よくなる」
ジーネ「判定? 段階?」
俺「病気には段階がある。軽症・中等症・重症、みたいな。病気により段階数は違うけど」
エスタ「待った! 結縁って?」
俺「霊格の枠を魔道具に割り当てて。 あ」
エスタ「ないんだけど! あたし!」
なんかすまん。絶望を与えてしまった。
ウヒョウ「君は魔道具の鑑定持ちか?」
空気を読まずに質問が入る。
俺「まあね。斥候だし」
不思議そうにしてるので、そう答えて納得させた。
なんか脇でビルトソークが首をひねってるが、別にいいだろう。
俺「眠り耐性の護符ふたつ。どっちも【眠りの雲】などの対象になると自動発動する。3回使うと壊れる」
チリリ「難しいわね。一つはジーネに持ってもらって、あとひとつは誰でもいいかな」
ビルト「資金があれば全員持ってもよいものだな」
エスタ「なんか考えてくれそうだし、マショルカでどうだ?」
俺が持つことになった。
俺「瀕死時完全復活の護符。結縁した持ち主が瀕死になると判定があり、発動すれば全快させる。あと2回判定できる。
これが発動していたら、魔術師が復活していたな」
プレイヤーが関わらないなら、そこまで発動率高くないが。
しかしこれが発動し、女戦士たちが壁&回復役になっていたら、魔術師を崩せず完全に我が方の負けだったな。
ジーネ「これはチリリが持ってよ。さっきみたいなことあるんだから」
チリリ「私たちのチームで最後までたっているべきはあなたでしょ。残りはあなたの術が発動するための壁なのよ」
ジーネ「その壁に壊れてほしくないの」
エスタ「ジーネの心の安定のためにも、チリリが持てよ。リーダーなんだし」
チリリ「あなたでもいいじゃない」
エスタ「痔を治せないあたしになにか?」
チリリ「あ、ごめん」
チリリが持つことになった。
俺「武器折りの盾。武器攻撃を受けると、たまにその武器を壊す」
等級4の盾だが、ダイス目が5以上なら攻撃した武器のHP-3。
これだと、安売りの武器なら一発で壊れてしまう。
そして実際二人の武器が壊されている。
ビルト「これもチリリさんじゃないか? 僕も前に立つが、避けてしまう方が多いし」
エスタ「あたしも両手持ちに切り替えるのが多いもん」
俺「こんなものか。
ただ、リーダーとサブの装備には、壊れた護符の残滓のようなものがあったのが気になる」
立ち上がって現在のパーティメンバー+ズロイのおっさんを見渡す。
俺「いや、なんでまだおっさんいるの?」
ズロイ「そういうなって。さっきお前さんが生き延びるかで賭け事して、うちのチームからも身ぐるみはいじゃったのよ。居づらいんだわ」
チリリ「そういう時は奢ればいいと思うわ」
ズロイ「こういう時には勝ち逃げして、銭が尽きたら素知らぬ顔で戻る、ってのがうちのチームの伝統よ」
やな伝統である。
ビルト「壊れたものが何かはわかるのか?」
俺「さすがにわからん」
『壊れたアイテム』としか見えてこない。
ジーネ「戦闘中に何か効果出して、壊れたのかな」
チリリ「なにかそれらしきもの、あった?」
俺「発動に失敗しても傷んでいくからな」
ウヒョウ「では効果なしで壊れたんだろう、その護符は」
エスタ「二つ同時に?」
ビルト「ひょっとしたら、専用化した魔道具だったのかもしれないけどな」
チリリ「専用化?」
ビルト「魔道具によっては、結縁しないと使えず、しているとその人にしか使えないというものがある。
こういうのは装備中に使用者が死ぬと、壊れてしまう」
ゲーム的には重要な仕組みだ。
このルールがないと、装備持ち相手の戦闘を行うたび、PCが遺品略奪してアッという間に強化されてしまうからだ。
強い相手を倒しても、装備は不思議な力で消滅してしまえばよい。
それなら気にせず強い敵を出せるからね。
チリリ「この武器折りの盾は大丈夫なの?」
俺「それは専用化されるわけじゃないけど、結縁は必要で、しないとただの盾になる。1点枠があれば、結縁して武器折りが使える。
どうする?」
そういえば、チリリの枠は1点しか空きがないんだな。
チリリ「 … この盾を使うわ。その方が戦闘で役に立てるし」
解説を読む限り、素手や牙の攻撃にも対処できて、攻撃者のHPを削るようなので、魔物相手にも意味はある。
けど、対人戦のが向いてる魔道具ではある。
ズロイ「わしの予想では、魔術師のしていたのは、霊格を増やすナンカだな」
おっさんが腕組みして、偉そうに口をはさんできた。
ウヒョウ「霊格って増えるのか?」
エスタ「魔道具で?」
驚いて皆がおっさんの顔を見る。おっさん満足そうにニヤリと笑う。
ズロイ「ずいぶん前に魔術師のほうの知り合いがこの辺に来てたことがあって、その時に『あいつは腕は立つが霊格が3しかない』という話を聞いたんだ。
あの頃の実力は、まあそんなもんだった。
ところがそのあと、急に手数を増やしたって話になった。
恩寵で霊格が伸びることはある。だが、一度にたくさんは聞いたことがない。
なら大金積んで魔道具を買ったはずだぞ」
ジーネ「そんな魔道具あるの?」
ズロイ「知らん。でも知らん魔道具なんていくらもあるからな」
俺「まあそれはそうだが」
どんな魔道具だってあり得るのである。
エスタ「どれがそれなんだ?」
俺「あるとしたらこの灰だろうな。該当する能力のはないから」
エスタ「なんでそれ残してくれないんだよー」
そりゃそんな品、出してもいいけど、バランス崩壊の原因にならないよう、専用化必須、所有者変更不可にするね。
魔道具を結縁の必要度で分けると、おおまか次のようになるだろう。
・必要なし。普通しない。
治癒薬のような消耗品。
・必要なしだが、するやつはいる。
ビルドの魔剣とか、今までチリリの使っていた盾とか。
・しなくても使えるが、一部機能に制限かかる。
チリリの武器折りの盾。
・しないと使えない。最後にした人とつながる。
たいがいの護符。
・しないと使えない。さらに枠を割り振ると専用化できる。
・しないと使えない。自動的に専用化される。解除すると人に譲れる。
・しないと使えない。自動的に専用化される。解除で壊れる。
強力な魔道具なんて大体最後である。
これでどんな究極兵器もだせるぞー。ほんまクソゲー。
なお2番目に「必要なしだが、するやつはいる」というのがあるが、これは「その魔道具自体に何か効果があるわけではないけど、しておく意味はある」からである。
たとえば失せもの探しの魔術に「結縁したもののある方向がわかる」などある。
このような結縁は、実は魔道具に限らず、一般的な品、なんなら昼飯のサンドイッチを対象にもできるのだが、霊格の枠に加えて、ある程度の精神集中の時間と疲労を要するので、貴重品以外は普通しない。
あと結縁は、別に神様からもらう恩寵ではないので、自由に解除できる。
チリリ「彼らが手に出来たのだから、私たちも手に入れられるのではないかしら?」
小首をかしげて可愛く考えている。
チリリやエスタにとって、霊格を増やせる魔道具というのは美味しい。
エスタ「そうだな! 頑張って稼ぐか」
(カリテイモからの戦利品の可能性も… いや、いうのはやめておこう)と思う俺。
エスタ「でもどこで買ったんだ?」
肝心なことに気づいた彼女が、とりあえずズロイのおっさんの面を見る。
ズロイ「ここがそう、なんて確信もって言えるわけないぞ!
ただ連中が付き合ってるソーギンドって商人は、腕が立つと聞いたなあ」
俺「腕が立つとは?」
ズロイ「コネがあちこちあるようで、頼んだ品は何でも取り寄せるとかいうぞ」
ウヒョウ「試しにその人物に尋ねてみたらいいだろう。もっともすぐ買える金額とも思えないが」
ビルト「そういえば戦闘前に周りから、最近彼らの装備が悪くなったような言葉があったな。
その高額な魔道具と交換したんだろう」
ウヒョウ「いや、魔道具で霊格が伸びても、すぐそれを満たす恩寵が得られるわけではないと思うが…?」
ズロイ「魔術師が新技付けだしたのは随分前だぞ。
装備が悪くなったのは今月入ってからだな」
今更だが、この世界の暦は1年=12月=360日である。
ゲームではありがちだが。
今日は2月9日。
エスタ「なんだ、ほんとに最近じゃん」
ズロイ「うん」
ジーネ「魔術師の装備の灰とリーダーの灰、量や色がそっくりだけど、同じものだったのかな? リーダーも霊格少なかったの?」
ズロイ「あいつは平均じゃないかなあ?」
チリリ「以前は魔術師のためにそういう、霊格上げの魔道具を買って、今はリーダーのために買った直後だったとか?」
ビルト「ふむ。それはあり得るか。いづれにせよ灰になってしまえば調べても意味ないが…」
エスタ「霊格の追加には興味あるんだよっ」
ビルト「そうか。すまん」
痔主だものな。
今のところ沈静化しているようだが、再発の可能性はあるのだろう。
なおジーネの【完全治癒】はHPを戻すだけの術なので、状態異常【痔】は癒せない。
痔癒しの護符を身に着けられるようになれば安心だ。
『現在のメンバーの装備・特技』
マショルカ: 24-16-13
戦士+斥候
HP17=10+(3,4)
物理追加打撃+2 魔術抵抗 魔術師見習い 投擲 【賭け治癒5】
【手から唐揚げ1(呪い)】【指先通話3】
片手槍 盾4 皮鎧2 眠り耐性の護符(等級1・HP3)
ジーネ:23-13-47
魔術師 書家
【雷撃6】【眠りの雲9の5】【完全治癒6】【ホコリ巻き4】
皮鎧2
チリリ:24-14-4
戦士
【喰いしばり5】
HP13=10+3
武器折りの盾4(武器折り発動5、HP5) 皮鎧2 棍棒=片手フレイル
眠り耐性の護符(等級1・HP3) 瀕死時完全復活の護符(等級4・HP2)。
エスタ:24-15-3
戦士
【豪打+19の6】 【豪打+4の4】
盾4C+1(HP2) 補強鎧6 片手槍
痔癒しの護符(等級5・1日一回・5HP)。
状態異常:性病2号・4号 痔
ビルトソーク・ヨルバイン:26-18-28
男戦士 牧夫・牧夫・牧夫・農夫・魔術師
物理追加打撃+1
半金属鎧8 盾4 魔剣(打撃4、HP4)
薬:喰いしばり 嫌われ者
ウヒョウ:24-17-09
男戦士
HP=24=10+(1+1+1+5+6)
【豪打4の4】【豪打4の2】
盾5 ビルドの持っていた拵え良い剣(HP7=6) 皮鎧2
各自に治癒薬と蘇生薬:初級治癒薬20 中級治癒薬7
蘇生薬6(強度:3・3・3・5・6・9)