表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

2話

妄想が止まらん!!

「んーー、やっぱり俺の服だとナナにとってでかいんじゃないか?」


全裸少女の正体がペットの猫、ナナだということに無理矢理納得した俺は、全裸だと色々と倫理的にマズイと思い、服を着させることを最優先事項とした。


その際、ナナと背丈が近い俺の弟の服をちょっと弟の部屋から拝借して着させた。


そういえば俺の名前を言ってなかったな。


俺の名前は清水遥。

家族構成は母の清水恵理、父の清水康介、

長男の清水隆之、次男の俺、末っ子に清水慧人だ。


ちなみに両親は今沖縄へ旅行中、長男の康介は1人暮し、俺と同様現在夏休み中の末っ子の慧人は祖父の家に1週間程宿泊中だ。


お父さん側の祖父母は慧人を溺愛していて俺に、夏休みの間どうか1週間だけでも慧人をうちに居させて貰えないだろうかと懇願してきた。


その旨を慧人に伝えたところ、最初はハッキリと拒否されてしまった。


理由を聞いた所、「兄さんと離れたくないから」とハッキリ言われてしまった。




____慧人は端的に言うとブラコンだ。それもかなり重度の。


家でも外でも常に俺にベッタリな慧人。


その容姿も相まって、よく慧人の中学校や俺の高校の女子の間で意味深なネタにされてるらしい。




……詳細は知りたくないです。



まぁこんな感じの家族構成なんだが、少女と化したナナの体躯に合いそうなのは中学2年生男子にしては小柄な慧人の服がピッタリだった。


なので慧人の服をナナに着させようとすると、


「いーーやーーだーー!!!ご主人様の服がいいーー!!!!」


と、猛反発を食らってしまった。


俺の服だとサイズが合わないと思うぞ、と言ったのだが、


「いいもん!!ナナ、ご主人様の服じゃないと着ないもん!!」


このように駄々をこねられてしまった。


そして仕方なく俺の服を着させた所である。




____って俺は一体誰に語ってんだ。


自分の頭に若干の気味悪さと目の前の少女の行動に思わず引いてしまう。


「スーーー、ハーーー。スーーー、ハーーー」


俺の服の襟元を握り、自分の鼻まで持っていき、ものすごく匂いを嗅いでいる。


「あぁ〜幸せだなぁ〜、ご主人様に抱きしめられてるみたいだし、めっちゃいい匂いするし……。

マタタビなんか比じゃないくらいっ、スーー、癖になる匂いっ、ハーー」



恍惚の表情を浮かべながら俺の服の匂いを嗅ぐその姿はまるで……オブラートに包んで言うと、ヤバイ奴に見える。


でも、ここまで俺に懐いているのはしょうがないのかもしれない。


捨て猫だったナナを拾ったのは俺だったからだ。


だからなのか家族の中でも特段俺に懐いてくれている。


懐いてくれるのは飼い主冥利に尽きるのだが、人間の姿でこんなことされるとちょっと怖いな……というかどことなく危険な感じがする。


現に今、ナナの表情は完全にヤク__じゃなくてヤバイ奴のそれになっている。


俺の服を着せるのはやめよう。


「ナナ、やっぱ俺の服じゃなくて今は弟の服を着ような。そして一緒にナナの服を買いに行こう」


当然、ナナは反発してくる。


「いやだいやだ!ご主人様の服がいいーー!ご主人様の服じゃないのは着ないの!!」

「お願いだ、ナナ」


しっかり目を見てお願いする。


「で、でも……」


目を見ていると次第にナナの頬が赤くなっていき、弱々しくなっていく。


よし、後一息だ!

ここで俺は必殺技を使う。


ナナを抱き寄せ、頭に手を伸ばす。


「ッ!!!」


その手で頭を撫ではじめる。


猫の時のナナはこれをすると、すごく幸せそうな表情になることを俺は知っている。


人間になったナナにこれをするのはどことなく抵抗があったが、同じナナなら別になんの問題もないっかと思い切ってやってみた。


すると効果は抜群だったらしい。


しっぽは嬉しそうに動いていて、耳もピクピク嬉しそうに動いていた。


「お願い……な?」

「……うん、わかった…。その代わり…いっぱいなでてくれる…?」

「もちろんだとも。弟の服に着替えてくれたらいっぱい撫でてあげるよ」


そう答えるとものすごい勢いで弟の服に着替えはじめるナナ。


そして瞬き1つしたらそこには弟の服に着替えたナナがいた。


なんちゅうスピードや……。



「なでてなでて!」


そう言ってナナは俺に抱きつく。


「やっぱかわいいなぁ〜ナナは」

「えへへ、ご主人様〜」


ナナは俺の胸に顔を埋めながら俺の頭撫でを堪能しているようだった。



人間になってもナナは甘えん坊でとてもかわいい。


ペットとしての愛らしさもあるけど、人間のナナは俺にとって、妹のような愛らしさもあった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ