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短編闇鍋

異世界転移5つのお約束を実行した結果

作者: トカゲ
掲載日:2016/03/30

神様「あ、何の説明も無しに異世界に転移させてしもうた。」

 1【アイテムを購入する】


 「ここはどこだ?」


 朝になって目を覚ましたら、そこは全く知らない街の中だった。

 レンガ造りの家と石畳で舗装された道、遠くには王様が住んでいそうな城が見える。

 車もバイクも走っていない代わりに、何故か馬車が道を走っていた。

 どんな田舎だよ、まったく。ファンタジーかよ。


 歩く人々も多種多様な姿をしている。エルフにドワーフにワーウルフ………

 おい、最期のやつは町に居て大丈夫な種族なのか? 何か涎たらしまくりなんだけど。


 もしかしてこれはドッキリなのか? いや、ただのニートである俺にこんな壮大なドッキリを仕掛ける意味が分からない。


 「まさか、異世界転移ってやつ?」


 いやいや、ないない。それはない。

 多分これは夢なんだろう。そうに違いない。

 流石にこのまま裸足で歩くのはキツイので、近くの店で靴を買う事にした。


 「すいません、靴はありますか?」

 「あるよ。800ゴールドだ。」


 金取るのかよ。あたりまえだよ。

 だけど俺、金なんて持ってないよ。

 いや、これは夢なんだから、もしかしたらポケットに入っているかもしれない。


「お金持ってません」


 はい、お金ありませんでした!


 「じゃあ帰れ」


 冷やかしかと思われたのか店から追い出されてしまった。

 チクショウ、どうすりゃいいんだよ。


 俺が途方に暮れていると


 ―――スキル 超過速を使用しますか?


 突然、俺の頭の中に言葉が浮かんできた。

 これはあれか、ライトノベルとかに良くあるチートスキルってやつか!

 大好物ですよ、こういうの!



 2【スキルを使う】


 無双だ、スキル無双の時間だ、ヒャッハー!


 俺は早速スキルを使ってみる事にした。

 スキルの使い方がなぜか分る。これもチート効果ってやつか!


 「いくぜ!」


 超過速を使った瞬間、辺りの時間の流れがゆっくりになったような気がした。

 いや、これは気のせいじゃないな。本当にゆっくりになっている。

 このスキルがあれば弾丸すら避ける事ができそうだぜ。


 「さてと、どうしようかな?」


 まぁ、そんなのは決まっているよね。

 無一文の俺を容赦なく放り出した店主にお礼をしないといけないよなぁ!


 そういう訳で俺は店主へのささやかなお礼として店の商品を持てるだけ持って逃げる事にした。


 ふふふ、商品が盗まれているのに気付けても、この状態の俺を捕まえる事はできまい。

 ざまーみろ! 俺はこのスキルで成り上がってやるぜ!



 3【冒険者登録に行く】


 盗んだ商品を売って作った金で宿泊した翌日、俺は冒険者ギルドの前にいた。

 やっぱりギルド登録ってやつは、異世界チートのお約束だからな。

 ギルドに登録して、チート使って有名になって、やがてはハーレムとか夢見ちゃう、そんな年頃なの。


 ワクワクしながらギルドの扉を開けると、そこには昨日の店の店主と、衛兵っぽい人が仁王立ちしているのが見えた。

 あぁ、何かヤバイ雰囲気な気がしないでもない。


 「衛兵さん、アイツです! アイツが店の商品を盗んだ男です!」

 「ちょっとキミ、話を聞かせて貰えないかな?」


 これヤバイやつだ。牢屋行きルートな空気が濃厚だ。

 俺は咄嗟に超過速を使ってその場から離れた。



 4【奴隷商に行く】


 あれから1か月が過ぎた。

 もう、この世界が俺の夢なんかじゃなくて、現実だという事は理解している。

 どういう理由かは知らないが、俺は異世界に来てしまったようだ。


 今の俺はギルドの冒険者や街の衛兵に狙われる犯罪者だ。

 最近は俺が店に入ろうとしただけで通報される。


 「どうしてこうなったんだろう。」


 スラムの壁に寄りかかりながら嘆く。

 いや、理由は分かってるんだ。


 生きていく為にあれからも俺は盗みを続けた。

 しょうがないじゃないか、犯罪者の俺にはそれしか金を得る手段が無かったんだから。


 結果はこの通り、スラムの掃きだめの一員さ。

 俺は衛兵に捕まらないようにスラムの奥へ奥へと進んでいく。


 「あれは……」


 そして、スラムの最奥にそれはあった。

 奴隷を扱う店、通称【奴隷商】だ。


 犯罪者として追われる日々、盗んだ商品を横流ししている中で掴んだ噂で、存在は知っていたけど、こんなところにあったのか。

 俺はフードで顔を隠し、奴隷商の門を潜る。


 そこはまるでオークション会場のようだった。

 出されるのは美しい女性、たくましい男性など様々だ。

 俺は奴隷の女性達を見て、下半身が熱くなるのを感じた。


 「奴隷なんて駄目だ。助け出さないと。」


 きっとみんな不当な理由で奴隷になったに違いない。

 俺が助けないと。

 助けたお礼にエロい事をしてもらわないと!



 5【奴隷を助け出す】


 俺は超過速を使って奴隷が押し込められている檻まで近づいた。

 隙を見て奴隷商たちを殴って気絶させた後、奴隷たちに質問する。


 「なあ、キミ達は自由になりたいか?」


 俺の問いに奴隷たちは静かに頷いた。

 それを見た俺はさっそく牢屋を開けて奴隷たちを外に出した。

 女性だけを開放して不満が出ないように、男奴隷も解放する。

 俺はあくまで正義の味方なのだ。


 俺たちはそのまま街を出て森に逃げ込んだ。

 これでしばらくは大丈夫のはずだ。


 安心して一息つくと、いきなり後ろから頭を何か固い物で殴られた。

 モンスターか? それなら俺がみんなを守らないと!

 そう思って振り向くと、そこには大小様々な石で武装した奴隷達の姿が。


 その後の記憶が俺にはない。

 気付くと俺は1人で森に転がっていた。

 周りには街の衛兵が槍を構えてこちらを睨んでいる。


 どうしてこうなった。

 俺は空を睨みながら神様を恨んだ。


神様「ごめんなー。」

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[一言] 超過速ゆえのスピードたいーほ
2016/03/30 12:01 退会済み
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