運命の歯車第1章始まりの終わり2
出来るだけ急ぎ準備を整えて一向につながらない携帯型連絡端末を片手に予定の場所に到着現在の時刻は12時10分本来の予定よりも10分遅刻だが待ち合わせ場所に彼女(決して男女関係の意味合いではない)の姿がない。
「珍しいなお堅いあいつが遅刻するなんて」
そして未だにつながる気配のないこの携帯型連絡端末から流れる音声は最初の電話から変わらずに現在通話不能という意味合いのガイダンスが聞こえるだけである。
「なんかあったのか?」
誰も答えることはないがそう聞いてしまうのは例えよくわからない腐れ縁であったとしても何かあれば気になる存在であるとそう暗に示されているようで自分でもよくわからない不安があふれてくる。
「そこの君、少しいいかな?」
待ちぼうけをくらいながら携帯型連絡端末にインストールされているゲームで時間をつぶそうかと思っていたところに突然声をかけられ携帯型連絡端末を危うく落としそうになりながらも声の主へと振り返る。
「えっとどちら様ですか?」
そこには自分とは一生関わり合いがないような見た目20代半ばから20代後半と思われる女性がいた。
なぜ一生関わり合いがないようかといえばファッションに詳しくない素人の自分から見ても明らかに豪華としか言いようがない服装でまるでどこかの貴族のご令嬢だと名乗られても疑いの余地がないほどの美女がいるのだから。
「そんなに警戒しなくても大丈夫よ、いきなり取って食おうだなんて考えてないから」
と、その見た目からは想像しがたいことをこちらの警戒心を煽るように口走りながら笑顔で自身の腰に吊るされていた剣をまるで呼吸するかのように抜きおもむろにこちらへと向けた。
「え?」
あまりにも突然のことで頭がよく状況を理解できていない。しかしそんなこちらの困惑などお構いなしにその女性は
「私の名前は雪白 渚(ゆきしろなぎさ)よろしくね」
とのんきに自己紹介を始める始末だまったくもって理解不能、今日自分は腐れ縁ともいえる桐火(きりか)
の頼みでこの場所に来ただけだというのになぜこんな状況に陥っているのか。
「突然のことで理解できてないって感じね、まあいいわそのうち嫌でも理解することになるから
でも男の子が女の子に誘われたデートに遅刻するのはお姉さん関心しないかな、それとこれ城 桐火(きずき きりか)ちゃんからのラブレターね」
「ちょ、ちょっと待ってください一体何がどうなっているんですか?それに桐火からのラブレターってあなたは桐火の知り合いなんですか?」
「んー知り合いとは少し違うかな?どちらかと言えば上司と部下かしらね?」
上司と部下?ますます理解が出来なくなってきた。
だが取り合えず少し本来の働きを取り戻しつつある頭で状況を整理すると
「えーっとつまり僕はどうすれば?」
(うん、どうやら全く整理できてないな)
そんなことを内心で思いつつ相手の答えを待ち
「そうねえ、まあ私があなたの立場ならとりあえずこのラブレターの中身を確認してそれからかしらね」
そう言いながら雪白渚と名乗った女性はこちらにラブレターを向けてひらひらさせている。
どのみちここに来たのは桐火との約束があったからなのだから確かに桐火からの手紙を読むというのはあながち間違いではないのだろうが。
「あのーその前にこの剣?をしまっていただいても?」
そう桐火からの手紙を受取ろうにも目の前の女性はこちらに剣を突き付けたままなのだ。
「あら、ごめんなさいついいつもの癖で身構えてしまったわね」
明らかに異常なことをこれまた口走りながら雪白さんは剣を鞘へと収め
「あ、ちなみに私は居合術も得意だから桐火ちゃんからのラブレターを取るふりしてお姉さんに悪戯しようなんて駄目よ?そうなったらお姉さん迷わず貴方にお仕置きしちゃうからね?」
一体自分はこの人の中でどのような評価がされているのか初対面でありながらましてやこんな非日常的な状態でそんなことを考える余裕すら全くないというのに。
「そんなことしませんよ!!!」
とりあえず強く否定しながら桐火からの手紙へと手を伸ばした。
でも俺はまだ知らないこの手紙を受け取ったその時からいやもしかしたら城桐火という女性に知り合った時から俺の人生は大きく変わり始めていたのかもしれない。
さて、投稿3話目となりましたが未だに主人公の名前が出てきません!
予定では次話で出てくる予定ですが予定は未定なのでわかりません。
登場人物の名前にはルビを振っていますがそれ以外でもルビを振った方がいいところなどありましたらコメントなどで報告お願いいたします。
しばらくは毎日0時更新となりますのでよろしくお願いします。




