二話
題名が思いつかない〜( 涙 )
「………う………」
目を覚ますと、目の前は見慣れない壁。
昨日何があった?詳しくは覚えてない………が、一つ覚えているのは、ひかりを庇ってからの記憶がないって事。
とりあえず起き上がることにした…が。
「ぐぅっ?!」
お腹に強い激痛が走る。
もう一度寝っ転がって、お腹を確認すると、包帯が巻いてあった。腹を怪我したらしい。
………正確には、右肩から、左の腰まで、斜めに切り傷が入っているのだが。
どうやら、思いっ切り引っかかれたらしい。
これは………って?
「………ちょっと待て。なんで私死んでないの?!」
そこだ。触ってみたところ、おそらくかなり深いはず。それに、シャドウは、人を瞬殺させるほどの力を持ってる。
でも自分は?筋肉マッチョとかだったら、少しは分かるかもだが………
なんで自分は死んでない?
なんで生きている?
訳がわからん。
そして、周りを見回す。此処は何処だ。
特に変わったものはない。簡単な部屋だ。
机に椅子、今寝ているベット。そして洋服ダンス…
部屋自体は、今となってはなかなか無い洋風な雰囲気だ。
もう訳がわからん………
そう考えているとドアが開いた。
誰が…?と思ったら、一人の少年だった。
ドアをそっ…と閉めて、ポテポテとこっちに来る。
そして何をするかと思えば、自分の手を持って、にぎにぎと揉み始めた。
最初はよくわからなかったが、もしかして、温でも取ろうとしているのだろうか?
そう思った。何故なら、少年の手がとても冷たいのだ。
それに、私の手を握って、ホッとした表情で揉んでいる。
因みに、かなり気持ちい。ては小さいし、何よりこの子自身が可愛い。
自分は横向きになってから、掛け布団を上げた。
そして、指を曲げて、『ここどうぞ』とアピールしてみた。
すると、何故かパァッち明るくなり、靴を脱ぎ捨てて、中に入ってきた。
掛け布団をかけてあげれば…
ほっこりした表情で枕を抱きしめています。可愛いです。はい。
「あったか〜い………」
自分の前で始めで喋った。声も可愛いですよ。
この子は天使?それともマスコットですか?
まるで天国に来たかの様な気分を味わう中、乱入者が現れた。
「れん。探しました…よ…?あ〜。寝てしまいましたか。」
一応丁寧な口調の男性………女性?分からないが、誰かが来た。
と言うかこの子、《レン》って言うのか。
………ん?そう言えば、あの顔何処かで…
「………貴方、もしかして《リンネ》?」
「おや。知っていましたか。そうですよ。私はリンネ。シャドウ・ハンターの…リーダー…組織の社長みたいな物ですかね。たぶん。」
本物だった。彼?彼女?を一言で言うなら、美形美人。
整った顔立ち、背筋を伸ばして立つその姿。成る程。女子のファンが増えるわけだ。
まぁ、男でもファンはいるらしいが。
にしても、話を戻すが、此処は何処なんだ。
レンくんというショタっこは居るし、美形美人の有名人リンネは居るし………
「貴方には説明することが山ほどあります。取り敢えず起き…あぁ…レンが邪魔でしたね。」
「起き上がれませんね。」
さっきまで枕を抱いていたが、今は自分の腕を抱いていた。
リンネは、ため息をついてあと、ゆっくりと剥がそうとした…が外れなかった。
取り敢えず持ち上げてもらって、自分は起き上が………あれ?
「………さっき、起きようとしたらかなりの激痛が走った筈なのに………」
「レンは特殊なんですよ。近くに居るだけで、傷の治りが早くなるんです。
まぁ、シャドウから受けた傷限定ですが。」
「凄いな…」
取り敢えず起き上がって、腕から無理やりはがす。
「ふぎゃ〜!」
………何今の。パタパタと抵抗するレンくん。
何この子。めちゃくちゃ可愛いんですけど。
余りにも暴れるため、レンくんの前で両手を広げてみる。
レンくんは、食いつかんと言わんばかりに飛び込んできた。
「………すみません」
「可愛いからいいです。」
そう言って抱き上げて、取り敢えずソファに座る。
レンくんに枕を渡して、取り敢えず落ち着いてもらう。
あと今度湯たんぽ買ってあげよう。
「で、早速ですが、お名前は?」
「《佐藤 あかり》です。」
「あかりさんですか………あかりさんは、シャドウに攻撃された時の事、覚えてますか?」
「あまり覚えてません。友達を庇って…攻撃を受けたってことはわかってるつもりですが。」
「そうですね。あっそのお友達は大丈夫ですので、気にしなくていいですよ」
「それはまず一安心です。」
「そして、本題ですね。
貴方は、シャドウ・ハンターに慣れます。」
………は?
今なんて言った?急すぎて頭の中に入ってこないよ?
「私が………シャドウ・ハンター?いきなりどうしたんですか?」
「シャドウ・ハンターになれる者は特別な人間。
正直言って、何故シャドウに対抗出来るのか。
原理も余りわかっていません。一言で言えば、謎の存在です。」
確かに、何を調べても、有力な情報はほとんど無かった。
シャドウについてもだ。
「しかし、誰かがシャドウ・ハンターになったという事だけは分かるのです。
まぁ言い換えれば、それしか判らないのですが。」
本人達にも殆ど分からないのか………
そんな物を世間に流すわけには行かないよね。
「まぁ、そんな存在だと、研究者が欲しがるわけで…
ここに所属しているシャドウ・ハンターには、他の組織に渡らぬように、保証が付いています。
そして、手を出した場合の組織への対応も出来ます。
しかし、所属していないハンターは、保障が無いのです。即ち取り扱い自由。
そんな存在に組織が食らいつかないわけが無いのです。
シャドウについて調べるために、レプリカを収穫できる存在。そして、ハンターについて調べるためのサンプルでも有りますから。」
確かに危険だ。それは所属するのが良い対応だが………
「入ったらどうなる。」
「………貴方に戦う意思があるなら、シャドウ・ハンターとして、活動してもらいます。
無いなら、保護という形になりますね。」
「保護…?」
「はい。まぁ保護された子は、この屋敷から出る事はできません。
家族と会う事も…。」
「…………………」
「外に出て、暴走しないための処置です。
まぁ、一部の子は使用人になってたりしますけど………まぁそこは自由です。」
「………ハンターになっても制限はあるんですよね。」
「それなりに。まぁ、どちらかといえば、保護の方が安全なんですよね。此処にシャドウは現れませんし。
わざわざ危険に飛び込む危険も有りませんし。」
確かに安全かもしれない。
しかし、もし自分がシャドウ・ハンターに慣れたら…?
もし自分がシャドウと対抗出来る、特別な存在になれたら…?
平凡とはほど遠い世界が広がるはず。
その世界の中に、自分が存在できるとすれば…?
そんなの…
そんなの………
絶対面白いに決まってる!
「やります。シャドウ・ハンターになります。」
「………もしそれが、死に飛び込むような行為だとしても?」
「一度決めた事を曲げる事は自分のプライドに反します。
それに何より、シャドウの事を知りたいから。」
「………………最終確認です。貴方はハンターになりますか?」
「なります!!!!!絶対!!」
これが、全ての始まり。