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ジーザスクライスト  作者: 或田いち
小林とティガー
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インザルーム

 

 本題に戻るとそのトラの自己紹介の仕方が、まず一度名を名乗ってから、後にイニシャルを一文字ずつ繰り返すと言うやり方で、一時期無駄にgが一つ多いと変にこだわっていたこともある。


 でもこれも、今となってよくよく考えてみれば何一つ間違ってなんかいない。






 僕は、今、一人の男と向き合っている。


 部屋の真ん中に座り込んでこっちを静かに見据えるそいつは、見方によっては10代にも20代にも見えたが、とりあえず自分より歳上ではないことはわかった。


「よろしく、そしておかえり」


 自らを「ISSA」と名乗ったそいつに対して疑問しか浮かばないのは当然である。まずなぜ日本人なのに名前が英語表記なのか、なぜ人の家に勝手に上がって寛いでいるのか、何に対するよろしくなのか、どうやって家の鍵を開けたのかなど、以下省略。


 次いで、そのISSAと名乗った男が肌艶のよい、目鼻立ちの整った、自他共に認める「美形」の類いであった為、一見して自分に向けられる屈託のない笑みに悪巧みなど皆目窺えない気がして、最終的にどう対応していいかわからなくなった。

 もし仮に僕が裁判官で犯罪者が皆美形なら、一瞬は判決に躊躇してしまうかもしれない、と言う。つまり、ホモだとかバイだとかの理屈を省いたところで、二枚目に弱いのだ、僕は。


 誰だって人は自分の持たない魅力に、惹かれる。


「何を、やってるんだおまえは」


 だから、他人より教養は少し自信のある僕も、絞り出した問いかけがこんなものになってしまったのだと思う。


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