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一度は誰もが夢を見る
真昼から会社を出て仰ぐ空は、学生時代、無断で学校をサボった時と感覚としては似ていた。
これがまだ10代なら、きっと僕も僕なりに歓喜と興奮を思う存分露にして、横断歩道も信号無視して駆け巡るほどだったろう。
しかし、成長してしまった手前色々知った中途半端な20代半ば、僕が取った行動と言えば、職場に大量の仕事を山積みに残し、営業回りのサラリーマン達の合間を縫って、白昼堂々鞄を宙に投げ捨てる程度だった。
後々になって、覚悟と勢いでこなした事のはずなのに、不安が胸を埋め尽くす。
ざわざわとたぎるそれは当時から、アマゾン川で言う底無し沼のように僕を引きずり込んだものだが、それとは裏腹、今の僕は溌剌としていた。
清々しいのは、「我」を貫き通したからだろうか。
不思議と、後悔はしていない。