表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジーザスクライスト  作者: 或田いち
drive in with my car
15/16

こころのかたわら

 

「そしたら毎日同じ恰好なんかしてたらおかしいでしょ。今日が昨日の延長線上になる」

「普通はそうなんだけどな」

「だから俺の見た目はコロコロ変わる。と言うか生まれ変わってるから二度同じ今日はない。


 快活で、円満」


 ふくよかな妊婦がパンをむさぼるようにホクホクと頬を膨らませて、ISSAは背もたれに凭れる。

 僕は隣を見る。


「だから毎日見た目が変わると」

「そゆこと」

「髪の毛も服装も人格も?」

「人格まではね。俺自身は生まれた時から自分の性格好きだからね」


 急に理屈に欠陥が生じるところ、やっぱりこいつは偏屈だ。


「若い頃に髪を遊びすぎると将来禿げる」

「その時はその時、スキンヘッドを満喫するよ」


 話が可笑しくて、笑いながら指を指す。


「つむじ曲がりめ」

「それ、俺の異名だよ。つむじ曲がりのISSA。


 鳥目の朔とつむじ曲がりのISSA、なんかいいな」


 ヤだよそんなコンビ名、とぼやくが、僕自身、既にISSAといて楽しさを見出だしてしまっている以上、何とも言えなかった。

 一頻り笑い終えて、僕は運転しながら考える。




――本当にこいつを降ろすのか?


 自分の中の自分が問い掛けてくる。でも仮にISSAが罪人だとしたら、その道のプロだから、人との上辺交流は得意、と言うのも十分あり得る。

 隣で笑うISSAを横目で見ても、かといって人を騙している目には見えない。


――じゃあどうしろって言うんだ。



 運転中にも関わらず、ギュッと固く目を瞑る。車は既に地形も詳しくない見知らぬ隣町に到達していて、県道を逸れた道路は、仕掛けるのに十分のシチュエーションだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ