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ジーザスクライスト  作者: 或田いち
drive in with my car
13/16

取るに足らないある話

 

「あの部屋にはもう長らく住んでるの?」


 次にISSAは、外を眺めながらそんなことを訊いてきた。


「いや。3ヶ月前に脱サラして、最近になって仕事始めて、気分転換も兼ねて、引越しを」

「気分転換だってさ。今流行りの首切りってやつ?」

「それよく言われるけど違うんだ

 脱サラは自分から試みたんだよ」


 僕はもう、何一つ自分の情報を包み隠せていなかった。隠そうと言う意識も薄れたのは、鳥目であることを知られてからだ。

 この男の澄んだ目に真正面から見られたら、隠したところで何もかも見透かされる気がして、正直もう嘘を吐く気力も、気にもなれなかった。


 それに、脱サラして気分転換で引越しをした、それを述べただけで何だと言うのだ。


 こんな有りがちな事柄、情報の悪用手口も思い浮かばない。




 ウインカーを出して、円を描くように、緩くハンドルを回して左折する。

 片側二車線の一般道を走行しながら、僕は横目で、ISSAを見た。


「次はおまえの番だ」


 顔はそのままに、ISSAも目線を向ける。


「俺のことは洗いざらい話した。次はおまえ…ISSAのことを、詳しく説明してもらおうか」

「俺には朔ほど面白いエピソードなんてないよ」

 平気で空惚ける。

 僕が黙ってハンドルを操作していると、隣からどうとも取れる声色が


「ホントに無いんだけどな」


 と鼻を啜った。


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