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ジーザスクライスト  作者: 或田いち
drive in with my car
10/16

昨日の翌日

 

「ところで、今からどこへ行くつもり?」

「この世の夜明けまで」


 適当にお茶を濁し、ハンドルを回す。なるべく赤信号に引っ掛からないようすり抜けて、一刻も早く、どこまでも行ってしまいたかった。





「呼び方がわからない」


 出来うる限り避けていても、逃れられないことは現に多々ある。

 赤信号で止まった車内で、ISSAは独り言のように呟いた。


「何?」

「名前だよ。あんたのことは何て呼んだらいい」


 確かに、呼び掛けられる度に「あんた」だの何だのと言われるのは、少々忍びない。

 ナメられた暁には、「おまえ」と呼び掛けられそうで、この顔にそう呼ばれたら僕は堪えれそうになかった。


「さくでいいよ」

「サク?」


 イントネーションが可笑しくて、一瞬口角を緩める。


「朔の日の、朔」


 そう教えたら、ISSAは納得したようで、そして再び前を向いて「朔ね」と呟いた。

 身元もわからない正体不明の人間に、自分を晒す必要はない。このあだ名がまさかここで役立つとは思わなかったが、瞼に春水さんの厚化粧を思い浮かべ、ありがとうと呟いた。




 朔。僕がそう人から呼ばれるようになったのは、厚化粧のカウンターレディー、春水さんがはじまりだった。

 僕が普通の人とは違うらしいことを知ったのが多分、小学校に上がってすぐくらいだったから、一目見ただけでは、僕の変質に気付く人はそういないらしい。


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