くんれんばにぃ
「あん? 剣を使いたい?」
王都が視界に映らなくなるほどに離れ、一旦休憩して木にもたれ掛かっている拳太にバニエットは告げた。
「は、はい! 私だって、戦いたいんです! お役に立ちたいですし……」
恐らくバニエットは花崎大樹との戦いの時に言ったあの言葉を実行したくてこのようなことを言ったのだろう
だがここで困ったことが一つ、拳太は剣が使えないのだ。
一応、授業で剣道をしたことがあるので構えと基本の振りはやったが殆どうろ覚えだ。
だからと言って拳太の得意な素手での喧嘩は幾つか武道を取り入れているとはいえほぼ我流なのでそうそう身に付かないし、バニエットに腕力があるとは思わなかった。
「……あ、あれならいけるかもな」
とそこで、拳太は喧嘩をするとき鉄パイプやナイフぐらいならよく使っていたのを思い出してそれを交えて教えることにした。
それならきっと小柄なバニエットにもなんとかなるだろう
「よし、じゃあ早速バニィの望み通りにしてやるぜ
つってもオレも剣はよく分かんねーから期待すんなよ?」
「あ、はい! ありがとうございます!」
ピョンピョンと跳び跳ねて嬉しそうにはしゃぐバニエットを横目に拳太は少し顔がひきつった
(剣を教えるって言ってあんなに大喜びする女の子なんて初めてだぜ……)
「ケンタ様? どうかしました?」
「いや、なんでもねーよ」
それから、バニエットの懸命な努力により、短期間である程度の戦闘をこなせる程に成長したのである