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用務員さんは勇者じゃありませんので  作者: 棚花尋平
第三章 船を待つ日々/後月
87/144

85-骨と檻

 

 とめどなく降り積もる雪が月のない夜を灰色にかえた。

 『氷精の嘆き(ギファ・ラ・クリマ)』と呼ばれる年に数度の大雪。

 いつものマルノヴァならば人々は家に篭り、しゃらしゃらと雪の降り積もる音を聞きながら床につくはずであった。

 しかし今は、街のいたるところで怒号と悲鳴、乾いた破砕音が飛び交っていた。


 ――骨。

 突如、人骨や獣骨、ありとあらゆる骨が港や水路から這い上がり、地下墓所カタコンベから溢れ出で、裏路地から、民家の屋根裏から姿を見せた。

 突然発生した骸骨を、街に居残っていた人々は恐怖した。

 護衛もなしに街の外に出るわけにもいかず、さりとて骸骨は恐ろしい。

 だが人々の混乱など意に介さず、骨の群れはある一点を目指し、街を突き進んだ。




 白月の八十九日、深夜零時の僅か前。

 飛竜騎兵の巡回や精霊魔法士の精霊索敵すらも届かないマルノヴァの遥か上空に、巨大なボーンワイバーンの上に佇む骸骨の姿があった。

 怪盗スケルトンこと、ジーバ・ロシャナフ。

 他人種には虚ろにも見えるその暗い眼窩は、雲の隙間から見えるマルノヴァを見下ろしていた。

  

 まるで子供の玩具のようにも見えるマルノヴァに、絶え間なく雪が降り積もっていた。

 街壁を縁取るように警戒の灯りが連なり、国営商会のある港側には見張りの灯りが密集し、マルノヴァ湾には中小の無数の船も警戒している。

 しかし中央広場を挟んで反対側は見張りの灯りのほかに、避難もせずに街に残った住民が物見遊山に徹夜しているであろう家の明かりがあった。


「警告はした。ケイグバードは、水平線の彼方にある砂漠の蜃気楼ではないと知れ」

 予告を無視し、逃げなかった者に容赦などしない。

 ジーバは密かに何度も足を運んだマルノヴァの街を思い出す。

 

 港には船が停泊し、船乗りや人夫たちの威勢の良い声や怒号が飛び交っていた。

 港から中心部に向かうと、路地のどこからか弦楽器の音が流れ、立ち並ぶ市場には新鮮な野菜や魚が並んでいた。

 肉や魚介の焼ける匂いが広場から漂い、そこに旬の果実の強い酸味の香りも混じっている。

 路地に入れば、赤熱した剣を鍛える鍛冶師の鎚の音がどこからともなく響き、かしましい女たちの笑い声がそここに聞こえた。


 違うのは人々の姿形と精霊魔法の有無だけ。

 奪われる前のケイグバードの日常が重なった。

 感傷が胸をよぎる。

 だがすぐに、憎悪と怒りが枯れ草につけた火のように感傷を飲み込んだ。

 

 いつもの日常が炎に包まれた。

 大地は裂け、隆起し、無数の雷が人々を貫いた。

 青天の霹靂であった。

 奴等はある日、海を渡ってサウランを訪れた。

 幾度か国交交渉を続けていたある日、十数隻の大型船を引き連れて現れ、一方的な宣告をした後、船からケイグバードを焼き払った。

 精霊魔法も自覚的な命精魔法も知らなかったケイグバードの民に精霊魔法を防ぐことなど出来なかった。


 そして呆気なく、ケイグバードは奪われた。

 骨人種を中心にしたケイグバードの民の抵抗運動、北部の国々とレシハームのパワーバランス、そして月の女神の付き人(マルゥナ・ニュゥム)の尽力でかろうじて停戦、自治区が設置された。

 しかしレシハームは停戦合意から半世紀経った今も、テロへの報復と称して攻撃を続け、骨人種の自治区の七割を奪った。


 レシハームは卑劣で、狡猾であった。

 精霊魔法の使えない骨人種はハイスケルトンという魔獣扱いで弾圧されていたが、精霊魔法を使うことができるようになった元ケイグバードの民の扱いは違った。

 レシハームの言う『選ばれた者』ということでレシハームに逆らわない限りは、種族や部族ごとに与えられた自治区で幅広い自治が認められた。

 それでもケイグバードの元住民たちは決して骨人種への弾圧に積極的に手を貸すことはなかったが、ごく一部の者たちは抵抗を続ける骨人種を疎ましく思い始めていた。

 ケイグバードの民の世代が変わりつつあった。

 

 ならば抵抗運動をやめれば、怪盗スケルトンとしての活動をやめればレシハームの攻撃はやむか。

 そんなことはなかった。

 しようとしまいと、レシハームの攻撃はやまなかった。

 レシハームは自作自演で襲撃を装い、それを骨人種のテロだと騙って報復行動に出た。中には骨人種によるテロ行為もあったが、半分以上はレシハームの自作自演だった。

 サウラン大陸に植民地を持つ北部の国々はそれを黙認した。


 力を示さなければ誰も耳を貸さない。

 だからジーバは予告状を出して、存在を誇示した。


 ジーバは顔を上げ、骨人種の体色に良く似た白月を見つめる。

 白月から生まれ、白月に還っていく。

 屍となり、風化し、風化した骨粉が風に乗って、白月に還るのだ。

 ゆえに月は欠け、満ちる。

 古い、言い伝えだった。

 ジーバの父も母も、祖父母も友も、白月にいる。

 寒々とした夜空にぽっかりと浮かんだ満ちた月は、故人が集った証拠であった。

「いつか逝く。とりわけ、今日の話は面白い土産話になろう。楽しみにしていてくれ。――行くか」

 ジーバの声にガジアジは骨翼を畳み、灰色の雲に飛び込んだ。


 マルノヴァには二つの目立つ建物がある。

 ひときわ高いのが、古めかしいゴシック建築風のサンドラ教教会。尖塔の先にはサンドラ教の象徴である、大地に突き立つ聖剣を掲げていた。


 もう一つは、厳めしい砦のようも見える国営商会。大小の立方体を重ねた凸型の建物の屋上には、黄色と緑の二色を背景にした飛竜騎士の描かれた国旗と、鮮やかな青を背景にして飛竜に曳かせた帆船が紋章化された街旗が突き立っていた。


 ガジアジは迷うことなく、二本の旗が突き立つ国営商会に向かって、降下した。




 白月の九十日、深夜零時。

 マルノヴァの上空に敷き詰められた灰色の雲から、突如、巨大なボーンワイバーンが飛び出した。

 通常の飛竜の倍以上はあろうかという巨体は、骨翼を一つ、大きく羽ばたく。

 すると音もなく加速し、待ち構えていた飛竜騎兵の間をあっという間に抜けた。

 あまりの迫力と質量に訓練を積んだはずの飛竜が動揺していた。

 飛竜騎兵は動揺した飛竜を宥め、反転してなんとか追い縋るも、差は縮まらない。


 骸骨が仁王立ちする巨大なボーンワイバーンの急降下。

 巡視隊と憲兵、強制依頼で集められた旧冒険者三種で構成されるマルノヴァの防衛隊は、その姿に聖女が記したと伝わる『魔王討伐記録』の魔王を連想し、慄いた。

 サンドラ教徒としての根源的な恐怖であった。

「相手はハイスケルトンとボーンワイバーンに過ぎない。たかだか高位魔獣、決して魔王ではないっ!」

 指揮官が防衛隊を鼓舞した。


 迫る、ガジアジ。

 防衛隊はじりじりと合図を待っていた。そして――。

 射程距離に入った瞬間、カンッと鐘の音が鳴り響く。

 引き絞られた弓のように張り詰めた防衛隊の緊張が、解放される。


 雷撃や氷槍、火球、魔力の矢、ボルト、矢が一斉に発射され、分厚い弾幕となってガジアジを迎え撃った。


 だが、ガジアジは向かってくる弾幕に大きく顎を開く。

 口元にちらちらと揺らめく赤い光――。

 

 波打つ炎が、灰夜を赤く染め上げた。


 大波のようなそれは圧倒的な炎量でもって、弾幕を正面から燃やし尽くす。

 放射され続ける炎はそのまま街に降り注ぐ。


 だが炎はマルノヴァの目前で阻まれる。


 まるで、街を覆う盾があるかのように、不可視の障壁が炎を完全に受け止め、霧散させた。

 ユーリフランツが開発した拠点防衛用の自律魔法具、バジリオ式広域複合障壁『エーベの祈り』であった。

 障壁の展開には人力で多量の魔力を注ぎ続ける必要があるため、非常時にしか発動することは出来ないが、机上の想定ではドラゴンブレスすらも防ぐことができると言われていた。

 外側からのあらゆる攻撃を防ぎながら、内側からの迎撃を可能にした画期的な自律魔法具であった。


 急降下していたガジアジは顎骨を閉じると叩きつけるように骨翼で羽ばたき、障壁ギリギリで急上昇する。その間にいくつか腕の良い射手や魔法士の攻撃が当たるも、ガジアジの強固な骨を貫くほどの威力はなかった。


 しかしそこに、飛竜騎兵が襲いかかる。

 抜き去られて傷ついた誇りを取り戻すかのように、十騎の飛竜騎兵が長尺の馬上槍ランスを構え、パラソレと呼ばれる突撃陣形を成して、急襲した。

 殺った。

 急上昇の鼻を捉えたその瞬間、誰もがそう思ったが、ガジアジは急制動を掛けながらのけ反り、一瞬、飛竜騎兵の一団と腹合わせになる。

 ガジアジはその巨体には似つかわしくない敏捷さでもって、飛竜騎兵の折り返しよりも早く背面宙返りを終えると、飛竜騎兵の背後をとり、まるで小魚を食らう鯨のように襲いかかった。


 飛竜騎兵とてエリートである。

 十騎は即座に陣を解いて、八方に散り、ガジアジをやり過ごす。

 飛竜騎兵を喰らい損ねたガジアジの頭上に、新たな十騎が『一斉行使』による中級雷精魔法『雷波』を放った。

 放ったその瞬間、紫電の波が駆け抜けようとする前に、ガジアジは『雷波』に向けて顎骨を開く――。


 『雷波』が、ガジアジの目前で弾け散った。


 全てを散らし切れたわけではなかったが、雷の残滓程度がガジアジを傷つけることはなかった。

 同時に二十騎の飛竜が動揺し、大きく身じろぎする。

 跨っていた騎兵たちもびりびりとした空気の波を全身に感じて身を竦ませるが、振り落とされてはたまらないと飛竜を宥めにかかった。

 雷精と飛竜はガジアジが放った無音の咆哮に怯んでしまった。

 

 生前、ガジアジはケイグバードとサウラン砂漠の間にある岩山に君臨する飛竜の王であった。

 飛竜というカテゴリーの中で最強と言われるサウラン大陸の固有種、紅蓮飛竜(アフティン)、アルバウムでは紅蓮飛竜(ブラッド・ワイバーン)とも呼ばれ、恐れられた存在だった。最大全長は基本種の飛竜や亜種の緑鬣飛竜よりも一回り大きく、飛竜種の中で唯一、ブレスを放つこともできた。

 ガジアジはそんな紅蓮飛竜の中でも雪白の親と同じ、異常個体で、同種の個体よりさらに大きく、強大な力を誇っていた。

 何度も威力偵察を繰り返し、周到に用意したレシハームによって討伐されたが、逆にいえば周到に準備されなければ討伐すらされなかったということでもある。

 ジーバの『死霊交渉(マァズモゥダ)』により骨の身となったことで、尾の毒こそ失ったが、強制依頼で集めただけの防衛隊などガジアジにとっては烏合の衆であった。

 

 しかし――。

 ガジアジは対空砲火を縫い、飛竜騎兵とドッグファイトを繰り広げ、その合間に何度も火炎を浴びせたが、街を覆う『エーベの祈り』を突破できなかった。

 だが、この光景はいつものことである。どこの国でも大きな街には広域障壁があるのだ。

「さて、次――」

 突然、ジーバの視界が暗転した。



 

 凸型の突起部分にあたる三階大広間、その屋上にアキカワとバニスがいた。

 近接戦闘の出来ないアキカワは寒々しい屋上に追いやられたが、リュージの嫌がらせばかりが理由ではない。

 蔵人のことがあるからといって、怪盗スケルトンを見過ごすわけにはいかなかった。召喚者のためとも言えるが、目の前で無辜の市民や彼らの暮らす街が破壊されるのを関係ないと無視することもできなかった。

 

 国営商会の外はマルノヴァの管轄であり、アキカワはいないものとして扱われている。どれだけアキカワが手柄を立てても手柄はマルノヴァのものとなるが、手柄を気にしないのであれば好きに動けるということでもあった。


 アキカワは懐から取り出した片眼鏡(モノクル)を右目につけ、万年筆を空に向ける。その手首には白い数珠のようなものが嵌められていた。

 アキカワの視線の先にあるのは、対空砲火と飛竜騎兵をあしらう巨大なボーンワイバーンである。


「――美しき銀色の、蜘蛛の糸」


 アキカワが日本語で囁くと、その指先が一瞬だけ白く輝いた。

「……やはり皆目見当がつかんな」

 アキカワの背後で腕を組んで立つバニスが、アキカワの背を見つめていた。

「……私も厳密に原理を知っているわけではありません。結果を知っているだけですよ」

「やはり、私にはつかえんか」

「もし使えるとすれば、ハヤトさんくらいでしょうね」

 アキカワの視線の先で、巨大なボーンワイバーンから人骨がふらりと落下した。

 その頭蓋骨には黒い穴がぽっかりと空いていた。


 アキカワはガジアジに跨る怪盗スケルトンを光精魔法で狙撃した。

 集束式中級光精魔法『光線(レーザー)』と呼ばれるが、おそらくレーザーの原理どころかイメージすらないこの世界の人間では使用が不可能な魔法である。

 光精魔法はアンデット以外に対して殺傷能力のある魔法ではない。せいぜいが強い光で相手の視界を奪う、上手くいけば失明させることができるというものである。

 日本の科学知識とイメージ、光精への高い親和力と光精親和力の一点強化、そしてアキカワの加護が、『光線レーザー』と呼ばれるこの魔法を可能にした。


 アキカワは老眼鏡の役割も果たす望遠魔法具の片眼鏡(モノクル)で遠くにいる敵を捕捉し、日本にいた頃から使っている高級万年筆を魔法発動体に改造した。

 イメージをより明確に伝えるために日本語の、それもなじみのある文言を詠唱に用い、この世界にはないレーザーというイメージを光精に伝え、同時に魔力を限界まで渡す。

 そこで『集束式』を用いて中級光精魔法を発動し、光の速度で万物を貫く『光線』を発射したのだ。


 同じことをしたとしても、同じ召喚者ですら『光線』を放つことは出来なかった。

 アキカワは光精に『指線ライン』をつなげることで使用する光精を固定化し、同一の光精との友好度とでも呼べるものを極限まで高めた。

 同一の精霊で精霊魔法を行使し続ければ、精霊が気を利かせてくれることがある。気を利かせてくれるというのは友好度のようなもので、意志伝達の円滑化、魔力消費が減少し、威力も向上した。

 レーザーという概念を光精が理解していなくても、高度な意思伝達によりそのメージを光精が再現してくれるのだ。


 『指線』を光精につなげるためには、見ることも触ることもできない精霊がどこにいるか明確に知る必要があったが、それは『精霊の最愛(ボニー)』を持つハヤトに頼んで解決した。


 同時に使用できる『指線ライン』は手の指の数と同じ十本。その内の五本を手首に嵌めた白い数珠、三等精霊球の中にいる光精とつないであった。

 中級精霊魔法を行使するためには光精が十以上必要であるが、二年以上使い続けた光精がいるのならば十分な威力である。

 魔力量の関係で一日に三度しか使用することは出来ないが、戦闘を苦手とするアキカワの唯一の武器であった。


 アキカワは落下する骸骨から視線を切りかけ、ハッとして屋上から身を乗り出す。

 容易過ぎた。

 怪盗スケルトンの骨は強固であり、自律魔法のエキスパートでもある。

 いかに初見の光精魔法とはいえ、一撃で頭蓋骨を貫通するなどありえなかった。

 アキカワは片眼鏡に魔力を込め、落下した人骨が障壁に弾かれる様を見て、さらに街を見渡した。

 特に変わった様子はない。

「……どうかしたか?」

 無言で街を凝視するアキカワにバニスが声をかけた。

「いや、気のせいで――」

 アキカワは喉を詰まらせた。


 街から骨が湧き出していた。




 落下していた。

 だが、落ちているのはジーバではない。ジーバに似せて削った人骨である。

 ジーバは『昼月の新月(ミャシャ・ナバルニィ)』という一時的に透明になる自律魔法を用いてマルノヴァの街に潜入し、地下墓所で五日も前から潜伏していた。

 そこから、用意した人骨を『忌み子の亡骸コープス・フラグメント』という自律魔法で遠隔操作し、『二対の碧眼ブルー・ブルー・アイズ』という自律魔法でその人骨の視界を得て、ガジアジの上からマルノヴァを見ていたのだ。


 うず高く人骨の積まれた薄暗い地下墓所。

 骨人種にとっておあつらえ向きな場所であった。

 骨に紛れ、自律魔法を用いれば、何度か探索に来た巡視隊や旧冒険者三種たちをやり過ごすことができた。

 サンドラ教では死者のアンデット化を防止するため、死体は聖精魔法を付与した炎で焼かれる。しかし骨がボロボロになるほどの火力で焼くことは出来ない為、焼け残った骨の多くは地下墓所に安置されていた。

 ジーバの足元に積もっているのは名も無き市民の人骨である。富める者の遺骨は地下墓所の別の飾られた棺石の中に安置されていた。


「追跡にしろ、狙撃にしろ、厄介な勇者だ」

 ジーバはそう言いながら薄暗い地下墓所で、纏った布をはためかせる。

 強く、緩やかに。

 まるで、踊っているかのように。

 纏った布が撓まぬように、重ならないように。

 そして歌うように、詠唱する。


死は(dDeath)永久の(ZuZu)(non-)離に(eternal)非ず(Separation)(EEven)てた(after)後も(you have)同志の(died,)遺志(bequest)(of)共に(comrades)(together,)(corpse)隣に(next to.)背徳(pPlaying)(with)戯れ(immoraly,)冒涜(dance)(and)踊り(blasphemy,)悪徳(entertain)(the)抱こうとも(unscrplus,)(The)(dead)(will)(not)(betray.)(tThe)(pupil)違え(is)(different,)(but)(I saw)(the)(same)同じ(dream.)口唇(lLip is)(not)違え(not)(the same,)(but)んだ(the)(future)(that)(sang)(the same.)(cCrime)(nor)(punishment)(I)同じく(received)あった(together.)死は(dDeath)別離(is)(not a)非ず(farewell.)意志(uUntil)(then)途絶(you)える(lose)その時(the)まで(goal,)遺志は(Insulators)共に(together,)骸は(corpse)隣に(next to.)葬列に(Dead)並ぶ(man)死者(line)


 一つを終えると、もう一つ。

 ジーバは自律魔法をつないだ。

 強く緩やかな踊りから、激しく早い踊りへと。詠唱もそれに付随して、早くなる。


我と(Tol)我と(ylul)我が(túl)並び(ila,)我は(Lol)(olu)ゆえに(lo)我を(lul)見失う(lplu.)輪の中の(Lil)我は(lo)我で(la)あるか(rula,)輪の外の(uLi)我は(túl)我で(la)あろうか(rurula.)我の(Lil)分からぬ(elul)我は(lo)我で(la)あるのか(lare,)我の(Lil)分かる(lul)我は(ol)我で(la)あるのか(larere.)輪の中の(Lil)我に(le)我が(túl)並び(ila,)輪の外の(uLi)我に(le)我が(túl)並ぶ(ilal.)我は(Lol)我を(lul)我と(ylul)分からぬが(elul)我は(lo)輪に立つ(rili)我を(lul)我と(lio)分かろう(elu.)泡沫の(Sirostro)観衆(Audici)


 二つ目の詠唱は早口で、そしてさらに早口で逆読みに詠んで、ジーバの詠唱が終わる。

 するとジーバを中心に、魔力が蠢いた。

 カタカタと、カラカラと、無数に転がっている人骨が動き出す。

 しばらくすると骨だけで人の形を成した者から、次々と立ち上がり、出口に向かっていった。

 

 溜め込まれた死が吐き出されるように、地下墓所から人骨が溢れ出る。

 突然の怪奇現象に、近くにいた老いた墓守は呆気なく骨にのみ込まれ、失神した。

 さらに港や水路、路地裏、各家の屋根裏からも人骨、そして獣骨までが蠢き始め、マルノヴァのいたるところでジーバによく似た分身が出現した。

 ジーバが半年も前から仕込み続けた、骨たちだった。


 自律魔法は感知しづらい。

 そのため魔獣に対して有効でもあるのだが、それは人とて例外ではない。

 銃と似て、容易に人を殺傷できる精霊魔法は行使の瞬間から行使中、そして行使後の数分を過ぎてしまえば、誰が人を燃やしたかなど分からなかった。

 そのため大きな街では街の中で規定以上の精霊魔法が行使されれば、感知に特化した精霊魔法士が直ちに治安維持組織にそれを伝え、訓練された憲兵が強化魔法を駆使してそこに急行し、精霊の痕跡が消える前に痕跡を追い掛けて、犯人を捕まえた。


 だが、自律魔法の原典(オリジン)は発動時に一瞬だけ微かに感知することができるだけで、痕跡を残さなかった。

 ましてや上空にいるガジアジに膨大な精霊魔法が放たれ続けているのだから、防衛隊が自律魔法発動時における一瞬の微かな魔力蠢動を感知し、ジーバを見つけることなど不可能であった。




 突然、家の屋根裏から一揃いの人骨や獣骨が這い出て来て、正気を保てる者は少ない。

「くそっ」

 国営商会からかなり離れた山側の貸家に住む男は興味本位で街に残っていた。どうせ、こちら側まで怪盗スケルトンが来ることはないと高を括っていたのだ。

 そんな住民は四割ほどもいた。

 男のように興味本位という者もいたが、それ以外にもマルノヴァへの愛着から残った者、街を覆う強固な障壁を信頼し過ぎた者、ここぞとばかりに商売をする者、避難できるほど生活に余裕がない者など様々であった。


 男は恐怖と混乱の中で後ずさりしながらも、光精を探す。

 しかし、いない。

 初等教育で害の少ない光精魔法は教えられる。たとえ初級とも言えないような光精魔法とはいえアンデッドには有効であるが、光精がいないのではそれもできなかった。ちなみにこの人骨はアンデッドではないため、光精が効かないのだが。


 人骨はゴシャっと地面に飛び降りると、折れた脚も気にせず這うように男へ向かってきた。

「ひゃぁああああああああああああああああああっ!」

 男は尻もちをついて、それでも家から出ようと後ずさった。

 そんな男に、人骨はカタカタと這い寄り、組みつく。

 ただただ男の後ろにあるドアを抜けて、国営商会に行くために。

 だが、男はそんなことは知らない。

 無我夢中で人骨を振り払った。

 空を切ったかのような、手応え。

 男は瞑っていた目を開ける。

 人骨は男に振り払われ、壁に激突。バラバラになっていた。

「……な、なんだよ、脅かしやがって」

 男は立ち上がろうと視線を上に向ける。

 こちらに向かって、人骨がもう一体、覆い被さるように飛び降りてきた。

 さらにバラバラになったはずの人骨も折れた骨以外は元通りの形となって、這いずり始めていた。

「ひゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


 数え切れないほどの家で、街中で同じ光景が繰り広げられた。

 街の外は魔獣の跋扈する世界である。人骨をどうにか撃退した住民ももちろんいたが、焼け石に水であった。

 防衛隊も遊んでいたわけではない。

 しかし、上空ではガジアジが暴れまわり、街では骨が溢れ、その対処に追われ、手が足りなかった。

 骨は脆いが、あまりにも数が多い。

 バラバラにするだけではすぐに元通りになるため、いちいち手足を折るか全身を砕くかしなくてはならなかった。

 大規模に街を傷つけるわけにもいかず、中級精霊魔法の行使に留めなくてはならない。

 さらに周囲の石を用いる土精魔法も使えない。使えば、建物の石が削られ、倒壊してしまう。わざわざ土を生み出して魔力を生み出すより、風や水、氷を使うほうが良かった。それでも親和力の高い者が多く、使い勝手のいい土精魔法が使えないというのは痛かった。

 

 さらに街を混乱させたのは、街の各所に現れた怪盗スケルトンである。

 その全てが自律魔法で作られた分身であったが、混乱と恐怖のあまり、本物と誤認した者がおり、情報が錯綜した。

 マルノヴァ行政府は巡視隊、憲兵、ハンター、傭兵、探索者とかき集めたが、それぞれのグループの連携に穴があり、そこを突かれた形になった。

 国営商会にじりじりと骨が押し寄せようとしていた。



 

 アキカワが狙撃に失敗し、街が骨で溢れていると告げるとリュージは鼻で笑い、再びアキカワを屋上に追い払った。

 近接戦闘も出来ない中年勇者など邪魔でしかない。

 アキカワを追い出した後、リュージは立ち上がり、窓に近づく。

 透明とは言い難い分厚い硝子窓に嵌められた鉄格子の隙間から、外を窺った。


 船着き場の海中から次々と人骨、獣骨が這い上がっていた。

 国営商会の周囲に配置された防衛隊は精鋭であったが、骨の数も多い。

 防衛隊は剣の腹や短槍の柄、杖で骨を砕き、精霊魔法で吹き飛ばすが、時折、分身であるはずのジーバが白い一閃を放ち、薙ぎ払ってくる。その威力が金属の鎧や盾を抉るほどもあるだから、たまらない。

 さらに背後の街からも骨が押し寄せていた。


 リュージは雪白を背にして地べたに座り込んでいる蔵人の方に近づく。

 蔵人が顔を上げて、リュージを見た。


「――アキカワを殺す気なんてないんだろ?」


 リュージの言葉に蔵人は表情もかえず、返答もしなかった。

「役に立たねえな。……まあ、すんなり殺せるんなら用務員なんぞやってねえか」

「……」

「一応聞いておくが、ハヤトを追い落とす気はあるか?それなら反ハヤト派に紹介してやるが」

 積極的な協力を取り付けておけば、反ハヤト派に高く売れると見込んでのことだった。

「……」

「ちっ。あ~、てめえの顔を見てると愛想笑いを浮かべるしかねえ召喚者どものことを思い出しちまう。吐き気がするぜ」

 蔵人は、お前よりマシだ、と思っても言わなかった。

 何を考えているか分からない、そう思わせておいたほうがいい。


「――身の程知らずにも、オレを殺そうなんて考えてないだろうな?」


 ドキリ、とはしない。

 自分の考えることなど誰かが必ず思いつく。そう考えていた蔵人は、動揺しなかった。

 表情どころか気配すらかえない蔵人にリュージは苛立つ。

「……ちっ。いますぐ殺して、死体を売り払ってやろうか」

「……」


 リュージはチッと何度目かの舌打ちをして蔵人から離れ、椅子を蹴飛ばした。

 赤い絨毯の上に椅子が倒れ、くぐもった音が響く。

 その時――。

 階下から、乱暴に扉が開かれた音が響き渡った。

 堰の切れた川のように、骨の群れが国営商会へなだれ込んだ。


「そろそろか」

 商会内はリュージの領分である。

 国営商会内にはリュージに許可された者しかいない。

 リュージは扉が突破された後も国営商会内への人の出入りを禁じたため、骨の群れは誰に邪魔されることなく商会内を進んだ。

 一階、二階と骨が歩く硬質な音が近づき、ついに三階大広間の扉が軋む。

 強固な鍵は掛けていない。

 骨の群れが、前へ前へと扉を軋ませ、ついに扉の鍵を壊してなだれ込んだ。


 リュージは蔵人に顎をしゃくる。

 フェイスガードをつけて準備を整えていた蔵人は雪白に頷きかけた。

 蔵人の脇を、ふわりと白毛が過ぎ去る。


 緩慢な動きで立ち上がろうとしていた骨の群れが、ボーリングのピンのように弾け飛んだ。

 あまりの手応えのなさに、雪白はつまらそうな顔をする。

 開け放たれた扉の前に陣取り、煩わしい虫を追い払うかのように長い尻尾を振りまわした。

 それだけで骨は吹き飛び、壁に叩きつけられる。

 人骨、狼骨、鼠骨、馬骨、珍しいところでは巨人骨や小人骨が、等しく雪白に吹き飛ばされ、へし折られた。脅威を感じない怪盗スケルトンの分身など歯牙にもかけなかった。

 だが、いくつかの骨は再び形を成して立ち上がり、開け放たれた扉からも次々と骨がなだれ込む。

 蔵人も開け放たれた扉へ向けて、生み出した氷槍を一本ずつ、高速で連射した。

 精霊魔法は同時行使よりも、こうして連射するのが一般的であった。それゆえに同時行使を学ぼうとする者もいないのだが。

 蔵人はリュージに手の内を晒す気はなかった。


 次々に突き刺さる氷槍。

 放った氷槍を再利用し、手元で氷槍を再形成し、また放つ。

 蔵人はそれを繰り返した。

 それでなお、骨は止まらない。


 ちっ。

 蔵人はリュージの舌打ちを聞いた気がした。

 前兆も無く骨が弾け飛ぶ。

 ――雪白ごと。

 リュージの加護である『見えざる手』、その堅く、強い、巨兵の手の一撃だった。

「おいっ」

「あれくらい避けろよ」

 蔵人の抗議など蔵人を捨て駒としか思っていないリュージが聞くわけもなかった。

 だが気に入らない雪白ごと骨を吹き飛ばし、御満悦のはずのリュージが不満そうな顔をする。

 その視線の先に、無傷の雪白が立っていた。瞬間的に氷を纏い、さらに力に逆らわずに飛び退いて巨兵の手の衝撃を殺したのだ。


 振り返った灰金色の双眸がギラリとリュージを射抜く。

 リュージの背筋に寒気が走った。

 それが忌々しかったのか、リュージは苛立った様子で怒鳴った。

「うぜぇっ!飼い主もノロマなら、猟獣もノロマだなっ!」

 乱れ飛ぶ、巨兵の手。 

 扉から溢れ、大広間中央に迫ろうとしていた骨が不可視の連打を浴びて、押し返される。

 だが、不可視のはずの拳を雪白はひょいひょいと避け、時に骨を盾にする。そしてついでとばかりに尻尾で骨を薙ぎ払った。

 雪白はリュージの視線を見て、おおよその攻撃軌道を読んでいた。

 

 蔵人にはなぜ雪白が不可視の手を避けられるのかさっぱりと分からない。

 だがいつも通りの不敵な様子に安堵する。

 何気なく、振り返った。

 無意識の内に気配の変化に気づいたのかもしれないが、決して自覚的な行動ではなかった。

 蔵人は目を疑った。


 青銀と白銀に輝く長箱が、宙に浮いていた。


 箱の底は鎖で繋がれていたようで、蔵人の目線以上には持ちあがらない。

 

「――アンデッド風情がっ」

 蔵人の様子に気づいて振り返ったリュージが浮かぶ長箱を見るなり、飛び退きながら、巨兵の手を放つ。

 なにも無い、長箱の上の空間へ。


「馬鹿ではない、か。まあ、愚かには違いないが」

 ゴトリと音を立てて、長箱が元の場所へ戻る。

 そして長箱の後ろの何もない空間から、じわりと怪盗スケルトンが姿を現した。

 ジーバは骨に紛れるのでもなく、分身に紛れるのでもなく、透明になって侵入していた。時折、分身の影から攻撃しながら。


 長箱を挟み、相対する怪盗スケルトンとリュージ。

 リュージがまた、顎をしゃくる。

 雪白は蔵人を見て、蔵人が頷いたのを確認してから、跳んだ。


「ほう」

 どことなく楽しげなジーバが腕を振るうと、すでにジーバの間近に迫っていた雪白に白い一閃が衝突する。

 金属を引き裂くような甲高い音。

 雪白は衝撃の反動を使って飛び退くと、纏った氷の衣が抉られていた。

 

 ジーバは白い鞭にも見える、雪白の尻尾よりも長い骨蛇の尾骨を握り、宙にゆらめかせていた。

 生前は飛槍雷蛇(バルム・トゥバ)と言って砂漠に住む蠍の堅い甲殻すらも貫いて捕食する、空飛ぶ蛇であった。

 イルルと名付けられて骨となった今でも頭部のねじくれた角は健在で、無数の節もまるでドリルのように捩じれ、鋭利であった。


 ジーバはイルルを振るう。

 無数の節が高速で回転し、雷を纏ってリュージに襲いかかった。

 ドリルウイップとでも呼べる一撃を、リュージは避けることなく無視し、一対の巨兵の手でジーバを狙う。


 双方の攻撃が目前で、弾かれた。

 雷を纏って高速回転するイルルの攻撃はリュージの障壁魔法具が弾き、巨兵の手はジーバの発動していた物理障壁と魔法障壁に阻まれた。

 純粋な加護による攻撃は物理障壁と魔法障壁を重ねなければ、防げなかった。


「勇者とおだてられ、玩具を振りまわす。子供でも出来るな」

 ジーバは挑発するよう言った。

「はん、巣を奪われたハイスケルトン如きがほざくなよ」

「そのハイスケルトンに二度も負けて、尻尾巻いて逃げたのは誰だったか」

「こちらとら人間でな。死にもしない化物とは違って、命は一つしかないんだ」

「さて、どっちが化物か。それより、いいのか?」

 ジーバはリュージの背後を指差した。

 後ろを見ずともリュージも気づく。

「おいっ、用務員っ!てめえは骨を押さえこめ。氷でもなんでも使って扉を閉じろっ!」

 蔵人は言われた通り、氷槍を連射して骨を押し返しながら、扉に分厚い氷の蓋をする。

 残った骨は巨人の手袋で一つずつ、砕いていった。


 そうしている間に、事態は動く。

「おい魔獣、いけ」

 リュージの言葉を聞いているのかいないのか、雪白は笑う。

 蔵人が見れば楽しげなことが分かっただろう。

 雪白はジグザグに駆けた。

 白い軌跡はジーバの横面に飛びかかる。

 ジーバもイルルを振るってそれを迎撃していた。

 ジーバの鞭術と骨蛇に宿ったイルルの意思は、白幻と謳われる雪白の速度に反応することを可能にした。

 白と白が空中で激突し、氷と骨が彫刻刀で硝子を彫るような不快な音を立てる。


 そこへリュージが、雪白ごと巨兵の手の連打でジーバを圧殺しようとした。

 ジーバは長蛇と言ってもいいイルルの中ほどの骨を使って巧妙に巨兵の手を捌き、雪白も踊るように、時にはイルルの長い骨を足場に巨兵の手を避けた。

 リュージは幽霊の手で骨蛇の防御を抜くも、障壁が破れなかった。掴もうとしても、その障壁に阻まれた。


 だが雪白もジーバもリュージなど眼中にない。

 お互いにいつか本気で戦ってみたいと思っていた。

 ゆえに今、雪白とジーバは本気でお互いを殺そうとしていた。


 戦ってみて、わかった。

 殺そうとしても、殺せない相手であると。

 無粋な横槍が時折入るが、それもまた一興。

 骨と魔獣は勇者を無視して、盛り上がり、最高潮に達していた。

 

――フフフフフフフフフフフフフフフフフフフッ


――グルァアアアアアアアアアアアアアアッ


 

 完全に蚊帳の外に置かれたリュージであったが、蔵人の猟獣を使った足止めの成功に内心でほくそ笑んでいた。

 それが油断だった。

「……チッ」

 リュージの魔法具が展開していた障壁が砕け散った。

 ジーバが雪白との戦いの合間に、リュージに向けて、イルルを放ったのだ。

 十何度もジーバの攻撃に耐えたのだからさすがは遺跡産の魔法具と言ったところか。

 いつものリュージならば、ここで撤退していた。

 しかし、作戦は継続中である。

 リュージは攻撃に回していた巨兵の手を片方戻し、身動きを阻害しないように自分を握った。

 攻撃力は下がるが、防御能力は遺跡産の魔法具を遥かに超える。いまだかつて一度も破れたことがない、リュージの自信の根幹であった。


 そして、大広間の大時計がポロンと軽やかに鐘を鳴らす。

 待ちに待った報せに、リュージは口の端を釣り上げた。

 

「――じゃあな」


 懐から出した小石を割った。

 双子石。

 一定の範囲内ならば、片方が割れれば、もう片方も割れるというだけの小石。

 それが、合図だった。

 階下に、かすかな魔力蠢動が起こる。

 雪白はその場から大きく、蔵人の位置まで退いた。その忌々しいかすかな蠢動を覚えていた。


 音も無く、『聖檻セイクリッドプリズン』が発動する。

 それも雪白の時とはケタ違いの規模、長箱を置いてある場所から向こう側、およそ大広間の半分を覆った。


「クックックッ、いいザマだな」

 リュージは長箱に手を置きながら、封じられたジーバを眺め、嘲笑った。



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[一言] 誤字報告  レーザーという概念を光精が理解していなくても、高度な意思伝達によりそのメージを光精が再現してくれるのだ。 メージ→イメージ
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