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用務員さんは勇者じゃありませんので  作者: 棚花尋平
第二章 灼熱の国で、奴隷を買う。
60/144

60-仇討ち①

遅れて申し訳ないです<(_ _)>


「――無礼者っ」

 真っ先に女の正体に気づき、声を上げたのはイグシデハーンだった。

「――よい」

 しかし新王はヨビを見下ろしながら、気さくに許可し、槍や剣をもってヨビを捕えようとしていた武官を手で制した。

 完全武装のヨビを前にして王の制止があったとはいえ、武官がヨビの武装を解除しないのは新王の圧倒的な武への信頼だった。愚王といわれた先王でさえ、武という面では王を除いたラッタナ王国の頂点と言われる三将を一度に相手にしたとしても負けることはないほどだった。

「し、しかし、下賤な蝙蝠系獣人が仇討などという世迷言を願い出るなど前代未聞でありましょう」

 イグシデハーンが跪いたまま言った。

 強者を尊ぶ気質を持つ鳥人種や獣人種の多いラッタナ王国には仇討ち制度が存在した。北部人に支配された周囲の国々の決闘制度等にも影響されながらも、現在まで撤廃されることはなかった。

 とはいえ決闘にしろ、仇討ちにしろ、北部でもアンクワールでも血気盛んなハンター、探索者、傭兵といった旧冒険者三種や特権階級、元特権階級が行うくらいであった。

 それにここラッタナ王国で公に許される仇討ちは対象と親族関係であること、生来の階級が『従者』以上であることという条件があった。過去には仇討ちを果たした『民』階級などを称賛することなどもありそれほど厳しい規則ではなかったが、奴隷階級だけはいつの時代も許されたことはなかった。

 そして知られる限り、蝙蝠系獣人種は全て生来の奴隷階級であった。

「――名は」

 新王はヨビを見下ろしながらいった。そこに侮蔑の様子はない。

 新王にとって民は等しく同じだった。歴代の王によって、階級意識は微妙に違うが、新王は王子であったときから階級意識に疑問を持ち、ミス・タジマの薫陶を受けてからはその意識をはっきりと持つに至った。

「クンドラップ・クールマ・スックと申します」

 馬鹿なっ、という言葉をイグシデハーンはなんとかのみ込んだ。王の会話を遮るわけにはいかなかった。だが、知る限りにおいて、蝙蝠系獣人種(タンマイ)が従者階級を示すクンドラップの名を持つなど、ありえなかった。

 蝙蝠系獣人種(タンマイ)は全て生来の奴隷階級のはずだった。

「……ふむ、その方は隔世か」

「はい。クンドラップ・タウ・クールマ・ヨックの娘です」

 新王は背後で跪く三将三官に目をやった。

 甲羅を背負い紺碧の鎧を着込んだ壮年の海将が立ち上がって、一歩前にでる。

「タウのグシュティは我がグシュティと近い縁にありますので覚えております。確かにクールマという名の従者がおり、隔世で蝙蝠系獣人種が生まれたと耳にしたこともあります。ただ、随分前に怪物の襲撃(エクスプロード)でクールマの一族は村ごと壊滅したと聞いております」

 新王は頷いて、ヨビを見る。

「資格はありとする」

「――お待ちください。その者は奴隷として売られたはずです。生来の階級が奴隷ではないとはいえ、奴隷を生業とする者に仇討ちは認められないはずです」

 顔を上げたイグシデハーンの言葉に新王が言葉を返す。

「首輪がない以上は、生来の階級に戻るのが慣わしだ」

「この者を買った北部人は物好――」

「――解放していただきました。ゆえに現在は生来の名に戻り、クンドラップ・クールマ・スックとなります。お疑いであれば奴隷局かその場に同席したコニー・カーゾンさまにお聞きくださいますよう、お願い申し上げます」

 イグシデハーンはヨビを睨みつける。

 だがヨビは新王以外、見ようともしなかった。それがイグシデハーンには余計に腹立たしかった。

「ほう、ミス・カーゾンが同席とな。それであるならば嘘もあるまい。あれはミス・タジマに最も心酔しておったゆえに、奴隷の解放とあれば嘘をつくこともあるまい」

 鷹揚に頷く新王にイグシデハーンは顔を伏せて跪きながら、ギリリと奥歯を噛みしめた。

 これ以上は何もいえなかった。現職の官位官職もちならともかく、ただの名誉官位持ちでしかない自分では正当な理由なく王の決定に意を唱えることなどできなかった。

「して、仇討ちの理由はなんだ」

「はい。我が子、ダーオを解放奴隷を用い、強盗に見せかけて殺害いたしました。その時、私も半死半生の傷を負いましたが、生き残ってしまいました」

 場がざわつく。

 信じられない、というものではない。

 そういうことはままある。表沙汰にならないだけで、誰も知っていることだった。

 周囲の驚きは、子が義父の家に殺されたことを理由に新王パレードを遮ってまで、仇討ちを王に認めてもらおうとする蝙蝠系獣人種(タンマイ)の女に向けられらものだ。

 女である。

 蝙蝠系獣人種(タンマイ)である。

 それだけでも珍しいのに、その両方となるとラッタナ王国の歴史上、初めての事態だと思われた。

「証拠はあるのか?」

「はい。恥ずかしながら、私は一身上の都合で奴隷として買われてしまいました。買っていただいた方は北部のハンターですが、私を買ったことでいわれのない中傷をうけて王都にいられなくなり、王都の外で野営をすることになりました。その時のことです、襲撃を受けました。からくも襲撃者を撃退し、息も絶え絶えの襲撃者十名を尋問したところ、ルワン家から命令を受けた解放奴隷ということがわかりました」

「ふむ、してその襲撃者はどうした」

「はい。こちらも精一杯の抵抗でしたので助ける余力はございませんでした」

「返り討ちについては是非もないが、それでは証拠としては弱い」

「……」

 王の問いに、ヨビは黙るしかない。

 だが、まったく無策というわけではなかった。

 公的な仇討ちは罪に問われることはないが、それだけに新王が言ったようにある程度の証拠が必要だった。

 実は昨夜、暗殺紛いの闇討ちということも考えたが、ヨビ一人ではただ返り討ちにされ、真実は闇に葬られるのが目に見えていた。

 ならば方法は一つしかない。

 決闘である。

 決闘とは本来証拠のない裁判を力で決めようというものだ。基本的には従者以上の階級のものに許されている。

 『強者は正しい。

 決闘の勝者は、強者である。

 ならば、正しい』

 これは北部人の決闘制度と鳥人種、獣人種の精神性が融合したものだった。北部では、

 『神の加護は正しい側にある。

 正しければ負けないはずだ。

 よって勝ったほうが正しい』

 対して、獣人種や鳥人種たちは遥か昔から強者を敬う。ある意味で、強者が正しい。

 それが融合して、ラッタナ王国の決闘制度になっていた。仇討ち制度のほうが歴史的には古いが、決闘制度も三百年以上前に制定されたものであり、仇討ちと同じように廃れてきてはいるが、制度的に撤廃されたわけではなかった。

 だが最初からただの蝙蝠系獣人種(タンマイ)として決闘を申し込んでも相手にされないかもしれない。もしくは誰もいないところで決闘となり、ただ命を散らすだけになったかもしれない。

 なによりヨビにとっては決闘ではなく、仇討ちなのだ。ただの決闘と思われたくはなかった。

 決闘は決闘自体を罪とならないように制度として存在するが、ほぼ当事者間で帰結するもので、誰かが間に入ることはない。

 だが公的な仇討ちは国が間に入って、つまり新王が間に入って事情を斟酌し、許可するものである。

 ゆえにヨビは仇討ちとして新王の前で事情を話し、事情の正当性をある程度知ってもらい、証拠がなくては仇討ちは認められないと言われたそこで、イグシデハーンに決闘を申し込むつもりだった。

 そして、イグシデハーンは断れないはずだ。

 ここで断れば暗に事実を認めたことになるかもしれないということもあったが、何より、強き者の代名詞ともいえる武官を目指すイグシデハーンが蝙蝠系獣人種(タンマイ)の女の決闘から逃げたとなると、外聞が悪く、最悪、武官への道が閉ざされることになった。

 イグシデハーンがそれをよしとするはずもない。

 なぜこんな方法をとるか。

 制度としては矛盾しているが、ヨビは公の誰かを間に挟み、決闘したかったのだ。

 仇討ちはしたいが、証拠がない。

 だから、決闘をする。

 その過程を公然とした場で、示したかった。

 なぜならヨビは、イグシデハーンと戦って、勝てるとは思っていないからだ。

 再興を目指す没落した官位持ちの家の当主とはいえ、ずっと十級探索者でくすぶっていた自分が、装備とある程度の技能を得たからといって、勝てるようになるわけがない。

 だからせめて、新王パレードに飛び込んで、仇討ちと称して真実を暴露する。

 そうすれば、たとえ仇討ちも決闘も叶わずとも。

 せめてルワン家がダーオを殺したという罪を公に知らしめることができる。

 決闘で自分が負けたとしても。

 やはり罪を公に示し、もしかしたら仇討ちや決闘で一矢報いることができるかもしれない。

 自分ができるのはその程度だった。

 だがそれが、渾身の反撃であった。

 できるだけ他者を巻き込まず、他者から奪わずに無力な自分がダーオに出来るのはそれくらいしかなかった。ただ唯一、蔵人を巻き込んだことは心残りだった。

「ふむ、証拠がなければ仇討ちは許可できない」

「……はい、ですので」

 ヨビはおもむろに立ち上がった。

「無礼も――」


「――証拠ならあります」


 決闘を仕掛けようと立ち上がったヨビ。

 そのヨビを制止しようとした武官。

 思いがけない事態に空いた口のふさがらないイグシデハーン。

 そして、声の主を興味深げに眺める新王の視線の先には、イグシデハーンの後ろにいたナバーが父親より幾分地味な鳥人種の衣装を着て、その隣に跪いていた。

「ほう、証拠とな」

 新王がナバーの存在を認めるように、話を振った。

「差しでがましい真似をして申し訳ありません。ナクロプ・イグシデハーン・ノクル・ルワン・プラサートが一子、ナクロプ・ノクル・ルワン・ナバーと申します」

「お前――」

「――許す」

 イグシデハーンが抗議の声を上げる前に、新王はナバーの介入を許可した。

 イグシデハーンはぐっと黙りこみ、頭を下げるほかなかった。

「有り難き幸せ。――証拠と申しますのは私自身でございます」

 ヨビは力が抜けてしまったかのように再び跪き、ナバーを呆然と見つめるしかなかった。

 あれだけ呑んだくれ、バクチに溺れ、昔の面影など見る由もなかったナバーが髪を結い、髭を剃り、凛とした佇まいで目の前にいた。

 片翼こそないが、昔のナバーそのものであった。 

「ほう、その方が証拠とな」

「はっ。私は恥ずかしながらある遺跡で片翼を失い、酒に溺れ、賭け事にのめり込み、妻を奴隷として売るという所業までいたしました。ですが、その時のことでございます。父上が落ちぶれた私に金をくれ、お前の妻と子を殺すから今日は家に帰るなとおっしゃりました」

 ナバーの言葉にルワン家の面々は騒然とする。

 子が父に公然と反旗を翻したのだから当然ともいえた。

 その他の周囲の面々はすでにこの一連の出来事の結末を待つかのように、シンと静まりかえっていた。

「ほう、ではその方は妻と子を見捨てたと申すのだな」

「面目次第も御座いません」

「だが、なぜ名乗り出た。黙っておれば済んだことであろう」

「ルワン家の再興のためにございます」

 イグシデハーンが訝しげな目でナバーを見た。

「ここでそこの蝙蝠系獣人種(タンマイ)と父上が戦い、父上が勝てば晴れて無罪放免です。スックには親族もいません。たかだか、蝙蝠系獣人種(タンマイ)の女の一人と戦い勝つことで無罪を勝ち取れるのです、戦った方が遥かに利があります」

「だが、その方が証言をすれば仇討ちなどする必要はないであろう」

「仇討ちが許されないならば、私は例え死んでも証言は致しません」

 王は強く、聡明で、何より公平で平等だった。

 だからこそ、種が多くまとまりのない獣人種と鳥人種を取りまとめ、その頂上に君臨することが出来た。王の権限を使えばイグシデハーンを罰することも可能であったが、なんの証拠も証言もなくイグシデハーンを罰することは、王はしないとナバーは踏んでいた。

「イグシデハーン、どうするな」

 王はイグシデハーンを見た。

 息子の裏切りともいえる所業であったが、よく考えれば確かに仇討ちが一番傷が少ない。

 ここでごねて仇討ちを受けないとあれば、王が調査に乗り出すかもしれず、そうでなくても武官への道は途絶える。なにより蝙蝠系獣人種(タンマイ)の女の挑戦から逃げた臆病者とすら誹りを受ける。

 だが仇討ちを受け入れ、その上で返り討ちにしてしまえば、少なくとも公に罪に問われることはない。すぐに武官にはなれないかもしれないが、可能性が途絶えるわけではない。


「受けて立ちましょう」


「ならば、双方用意を致せ。立会人は我がやる」

 イグシデハーンの承諾をきき、新王はそう言ったあとふわりと飛び立つと、音もなく大狼車に降り立った。



 黒いサングラスをかけ、革鎧と鉄靴を着込こみ、星球メイスと黒い透爪斧鎚を両手に構えるヨビ。

 深紅の鳥人種用革鎧を着込み、曲刀を二本抜いてだらりとぶら下げるイグシデハーン。

 新王は二人を眺め、静かな、しかしよく通る声で告げる。

「方法は問わぬ。クンドラップ・クールマ・スックよ、見事本懐を遂げて見せよ。始めっ」

 新王の合図に、ヨビが飛び出した。

 先手必勝とばかり、イグシデハーンに星球メイスを叩きつけた。

 轟っという音がイグシデハーンの横を通り過ぎた。

 イグシデハーンはかすかに身体をずらすだけで、ヨビの一撃を避けたのだ。

 一撃目を外したヨビだが、既に二撃目の黒い透爪斧鎚を横薙ぎに放っていた。

 だが、それも紙一重でかわすイグシデハーン。

 ヨビはそれを気にした様子も見せず、一撃目、二撃目の勢いを利用して、独楽のように重撃を繰り返し放っていった。 

「――その程度か。お前ごとき、飛ぶ必要もない」

 重連撃の隙間を縫うように、曲刀が下から振り抜かれる。

 革鎧のない、脇を狙った一撃は一撃でヨビの命精障壁を切り裂いた。

 同時に、焔が噴き上がる。

「――くっ」

 ヨビは顔を歪めながら、上空に飛び上がって炎を回避した。

「蝙蝠に空は似合わんな」

 突風が、ヨビを空中で翻弄する。

 吹き上げる風、横薙ぎの風、吹き下ろす風、それらに揉まれてヨビは何もできないまま、地面に墜落した。

 イグシデハーンの風精魔法だった。

 鳥人種同士ではここまで一方的に墜落させることはできないが、ヨビの風精親和力は鳥人種と比べると低く、抵抗することは難しかった。

 地面に強く身体を打ちつけながらも、立ち上がるヨビ。

 すぐに駆けだした。

 強化魔法を蔵人に教えられた通り、身体に細かく作用させ、その力でもって星球メイスをイグシデハーンに叩きつける。

「やはり蝙蝠系獣人種(タンマイ)はこの程度か」

 同じようなヨビの重連撃をつまらなそうに避けるイグシデハーン。

 そして、また重連撃の隙間を縫うように曲刀を振り抜こうとした。

 その瞬間、ヨビが前進を止め、わずかに遠い間合いで星球メイスを振り抜いた。

 間合いも読めないのか、イグシデハーンはそう思った瞬間、飛びのく。

 星球メイスが、鎖付き星球に姿をかえて、地面に突き刺さったのだ。

「チッ――」

 イグシデハーンの舌打ちは黒い透爪斧鎚がモーニングスターとなって振るわれる一撃の音にかき消される。

 嵐のように高速で振り回される二つのモーニングスター。

 突然武器の間合いが変わったことに驚きはしたものの、イグシデハーンはすぐに対応し、嵐に分け入るように間合いを詰めていく。

 そして、数ある隙の一つをついて、曲刀を振るおうとした。

 その時、イグシデハーンの横っ面を襲った不可視の一撃が魔法具障壁を破壊した。

 咄嗟に間合いを飛びのく、イグシデハーン。

 間合いは文字通り、見切っていたはずだった。

 だが重連撃に紛れた何かが、魔法具障壁を破壊した。

 イグシデハーンはヨビを見る。

 ヨビは何の変哲もない一対のモーニングスターを振り回し続け、イグシデハーンにジリジリと近づいていた。

 

 至近距離であったイグシデハーンには見えなかったが、外から見ていた一部の者たちにはヨビが何をしたのかが見えていた。

 ヨビの黒い透爪斧鎚から闇精が抜けて透明になり、横薙ぎの一撃を放ち、しかし直接当てず、一度透爪斧鎚をイグシデハーンの背後を通し、斜め後方という見えるか見えないかの位置を攻撃したのだ。

 イグシデハーンはそれに気付かず、一撃をもらったのだ。

 イグシデハーンは蝙蝠系獣人種(タンマイ)ごときに一撃をもらってしまったことに顔を歪めていた。

 何をされたかは分からないが、それは屈辱でしかなかった。

「暗器の類か、蝙蝠系獣人種(タンマイ)らしいな。致し方あるまい、陛下の前でお前ごときに苦戦するわけにもいかんからな」

 イグシデハーンは風精魔法を使い、荒れ狂う暴風をヨビに叩きつける。

 ヨビは小さな竜巻に翻弄されながらも、身体強化を極限まで高め、モーニングスターを振りつづけて竜巻に対抗し、イグシデハーンの目前に迫っていた。

「力押しの前進しかできぬとはな。これで終わりだ」

 火精が、舞い踊る。

 ヨビを襲っていた小さな竜巻が、火炎竜巻に変貌し、一瞬にしてヨビを包んだ。

 イグシデハーンは鼻で一つ笑い、目の前で燃え盛る炎を一瞥すると、背を向けた。

 終わりだ。

 だが、いつまで経っても、勝者は告げられない。

 イグシデハーンはまさかと思い、振り向く。

 そこには魔力を使い切り、疲弊しきった蝙蝠系獣人種(タンマイ)が無傷で立っていた。その周囲には泥のようなものが散らかっていた。

 土で炎そのものを遮り、水で熱を防いだのだろうが蝙蝠系獣人種(タンマイ)の親和力は風とせいぜいあと一つのはずだった。土にしろ、水にしろ、火炎竜巻を防ぐことができるはずはなかった。


「――姿を見せよっ」


 苦手な命精魔法障壁の展開に魔力を使い切ったせいか、崩れ落ちるように地面に膝をついたヨビを憎々しげに見ていたイグシデハーンは新王の声にハッとなる。

 そう、誰かが介入したのだ。

 

「別に隠れているつもりはなかったんだが、出ていくタイミングを逃してな」


 そんなトボケた声とともに、ダークグレーの革鎧に身を包み、くすんだ銀色の大爪そのものを持った北部人のハンターが周囲の人込みから姿を現した。

突然現れて仇討ちに乱入した男に武官たちが武器を構えるが、新王はそれを手で制す。

「仇討ちの妨害は重罪ぞ」

 新王の言葉に、蔵人は跪いた。

「助太刀です」

「ほう、助太刀とな。確かに問題はないが、その方は何者だ」 

「クランドと申します。縁といえば、そこのヨビ、いえスックを奴隷として買い、解放しました。今は借金取りでしょうか。それに、私もそこのルワン家の解放奴隷に襲われたので意趣返しの意味もあります」

 蔵人の言葉に、新王は頷く。

「よかろう、許可する。但し、規則によりこれ以上の助太刀は厳禁とする」

 新王の言葉に、場がざわつく。

 ルワン家の面々は憎々しげに蔵人を睨み、蔵人の悪評を知っている大衆は不満をあらわにした。

 妻を金で奪って脅迫した北部人がこの期に及んで、空気も読まず、介入してきた、と。

 蔵人は介入したその瞬間から、イグシデハーンとヨビの間で揺れ動いていた大衆にとっての敵役を、この場の悪役をかっさらった。


――グォンッ


 雪白が蔵人の横に降り立つ。

 新王以外の全員が硬直した。

 突然現れた魔獣の規格外の強さを、獣人種ゆえに直感的に感じとった。

 雪白が感じ取れるように、威嚇したともいえた。

 だが新王だけは興味深げに雪白を見ていた。

「その魔獣は猟獣か」

「はい。ですが、介入させる気はありません」

 そういって蔵人は雪白にヨビを頼んだ。

 雪白は尻尾でうずくまるヨビを確保する。

「……なぜ来たのです」

 尻尾で確保されたヨビが苦しげに蔵人を見た。

「まだ借金を返してもらってない。絵が完成してない。なにより、このまま死なせるには惜しい女だからだ」

「そ、そんなことで」

 あけすけな蔵人の言葉にヨビは唖然とする。

「……復讐の行方を見ようと思ってたんだが、このままだと復讐が失敗するだろ。それじゃあ、俺の気分が悪い。それにあの鳥を一発殴っておかないと気が済まないしな。今、殴らないとおそらく殴れない。あとは、裏切らない奴隷に勝手に死なれたら困る。まあ、そんなとこだ。……邪魔だったか」

 ヨビはもう、動けなかった。

 先程の精霊魔法に耐えるために全力で命精魔法障壁に魔力を注ぎ込んだのだ。蔵人が泥で盾を作って炎を防いでくれなければ、今頃死んでいたはずだ。

 それを邪魔だったとも、助太刀は無用だともいえない。

 だが助太刀としてイグシデハーンと戦ってくれとなんてことを言えるわけもない。

 それはある意味で、死んでくれと同じことだからだ。

 蔵人はイグシデハーンより遥かに強い、安心して見ていられる、そんな強者ではないのだから。

 ヨビが何も言わないのをいいことに、雪白に向かってヨビをよろしくと蔵人は軽そうにそういって、イグシデハーンに向かっていく。

「だめです、あな――キャッ」

 あなたでは勝てない、そう言おうとするが雪白の尻尾がヨビを持ちあげ、隅のほうに音もなく歩いていってしまう。

 ヨビは遠ざかる蔵人の背中を見つめるしかなかった。

 蔵人とイグシデハーンが向かい合う。

「貴様が蝙蝠系獣人種(タンマイ)を買ったという北部人のハンターか」

「あんたがイグシデハーンか」

「礼儀も知らんと見えるがまあよい。すぐに口もきけなくなるのだからな」

「羽虫に礼儀なんていらないだろ。外で飛び回ってた羽虫も同じようなこといってたが、羽を毟ってやったら地面に這いつくばるしかなくなったぞ?」

 実際に毟ったのは雪白だが。

 イグシデハーンの頬がぴくりと反応する。

「……貴様、一門の者を」

「知らないな。俺は解放奴隷十人に襲われたから、返り討ちにしただけさ」

 イグシデハーンが無言で憎悪と敵意を込めて、睨みつけてくる。

 蔵人は心臓を掴まれるような圧迫感を感じていた。

 慣れたとは言い難い修羅場。

 それでも、勇者よりはマシだ。

 そう思いこんで、イグシデハーンを見据えた。

「始めよ」

 新王の言葉に、言葉もなくイグシデハーンが飛び上がった。

 上空から一方的に嬲り殺すつもりのようだった。

 本来ならば上空にいる鳥人種には雷精魔法を使えば引きずりおろすことは容易なのだが、蔵人の親和力ではイグシデハーンの魔法具障壁を突破すらできない。

 その上、日中ということもあって闇精魔法も使いづらく影の魔法陣を衆目に見えるところで使う訳にもいかず、土精魔法では攻撃が届かず、氷精魔法は盾の近くでしか作用させられない。素性が知られてしまうという意味であからさまに魔銃を使うわけにもいかなかった。

 縛りは多かった。

 それでも蔵人とて勝算もなく仇討ちに飛び込んだわけではなかった。

 伊達にヨビがやられるさまを見ていたわけではなかった。

 イグシデハーンが上空に飛び上がった瞬間、蔵人も氷の球壁を展開し、さらにそれを土で覆った。

 その瞬間、氷土の球壁に風が打ち込まれる。

 圧縮した空気の塊が表面の土を削りはするが、氷を傷つけることはない。

 そして、それもすぐに分厚い土で覆われる。

 次々と風塊が叩きこまれるが、氷土の球壁はびくともしない。

 ちっとイグシデハーンが苛立ちを見せる。 

 このまま空と陸でやりあえば持久戦になる。それでも負けるとは思えなかったが、蝙蝠系獣人種(タンマイ)との一戦、常に飛ぶことによる魔力の消耗を考えると持久戦では危ないかもしれない。

 そう考え、イグシデハーンは大地に降り立った。

 そして、ヨビに喰らわせたように、竜巻を放ち、火を放つ。飛んでいては、風精しか使えないのだから致し方ない。

 一瞬にして氷土の球壁が炎に包まれる。

 氷が解けて、高温にさらされる北部人を想像して、イグシデハーンはにやりと笑った。

 いかに氷土とはいえ氷を炎で溶かされてしまえば、土壁越しに高温にさらされる。竜巻によって脱出もままならず、そのまま死ぬしかない。

「フハハハハハハハハハハハ、群れねば何もできぬ人種が偉そうにたてつきおってっ、結局何もできぬではないか。フハハハハハハハハハハハハ」

 イグシデハーンが炎の前で嗤った。

 燃え盛る炎を見て、ヨビは蔵人を巻き込んでしまったことを悔いていた。誰にも迷惑をかける気はなかった。だが、それでは仇討ちにたどり着けなかった。だからたった一人、巻き込んでしまった。

 雪白は、ジッと炎を見つめてた。相棒が決めたことだ、邪魔をする気はなかった。ただ相棒が死んだなら、あの鳥を食いちぎって、暴れてやると決めていた。

 大衆はそらみたことかと人種が炎に包まれるさまを見て、どこか優越感に浸っていた。そして、所詮は非力な人種だ。偽善者め。早く死ね。まるで大罪人の処刑であるかのように言葉を投げつけた。

 新王は、興味深げに炎を見つめていた。


――炎から、何かがイグシデハーンに向かって、大きな何かが放たれる。


 イグシデハーンは嘲笑を浮かべたまま、だが咄嗟に身体を反らすだけでそれをかわした。

 ヨビの不可視の一撃をもらってしまったからこそ、避けることができたともいえた。

 イグシデハーンを襲ったものの正体は透明な爪だった。

 闇精か何かで着色して、攻撃の最中に色を解除し、目測を誤らせたのだ。

「ふんっ、悪あがきをしおって」

 だが、透明な大爪はそこで終わりではなかった。

 爪がガバッと開き、かすかに引き戻されて、イグシデハーンの足を襲う。

「ふん、曲芸に過ぎんな。その程度で障壁が抜けるもの――」 

 刹那、太ももに別の衝撃を受ける。

 蔵人が乱入したときに再展開しておいた魔法具の物理障壁が破られ、何かが命精障壁をも傷つける。

「なっ――」

 間髪いれずに爪が足に直撃し、命精障壁を傷つけながら、がっちりと閉じる。障壁を破った攻撃と透明な爪はほんのわずかな時間差で、イグシデハーンの虚をついた。

 イグシデハーンのふくらはぎは、完全に万色岩蟹(ムーシヒンプ)の透明な大爪に捕えられた。

 大爪を外そうとすると、大爪に脚を引かれる。

 自らが作りだした炎の竜巻に引き込まれそうになるイグシデハーン。

 足を引こうとするが、爪が引く力の方が強い。

 イグシデハーンは仕方なく、炎の竜巻を解除する。

 炎の竜巻が消えると、土に覆われた蔵人が姿をあらわした。

 ぼろぼろと土がはがれおち、その身体にはところどころ火傷を負ってはいるが、しかし炎の竜巻を受けたにしては軽傷だ。

「き、貴様、なんのつもりだ」

 蔵人はそれに答えるつもりなどなく、イグシデハーンに肉迫する。

 イグシデハーンは咄嗟に飛び上がろうとするが、蔵人が大爪を引くと飛ぶこともできなかった。

 万色岩蟹(ムーシヒンプ)の爪に大棘地蜘蛛(アトラバシク)の糸がつなげられており、蔵人がその糸を引いたのだ。

 ゴルバルドに作ってもらったこれは当初、色の有無による暗器程度の使用しか考えていなかったが、万色岩蟹(ムーシヒンプ)の爪に大棘地蜘蛛(アトラバシク)の糸をつなげ、魔力を流すと稼働することが分かった。これは偶然のことで三剣角鹿(アロメリ)の柄に大棘地蜘蛛(アトラバシク)の糸を巻きつけ、魔力を流しても野性の三剣角鹿(アロメリ)のように切れ味が増すことはない。

 あくまでも、万色岩蟹(ムーシヒンプ)の爪と大棘地蜘蛛(アトラバシク)の糸が組み合わさってたまたま出来たことだった。

 蔵人が無言で殴りかかる。曲刀を自在に操るイグシデハーンと剣でやり合うつもりはなかった。

 蔵人の拳をひらりと避け、飛ぶことを諦めたイグシデハーンが曲刀を抜き放つ。

 蔵人はそれを盾で受け、さらに踏み込みながら、イグシデハーンの背後を土の杭で襲う。

 だがイグシデハーンはもう一刀を抜きながらその場で反転し、土の杭を切り落とすとさらに回転して蔵人に横薙ぎの一撃を放つ

 蔵人はそれを巨人の手袋でなんとか受け、踏み込みながら氷戦士の丸盾で体当りをする。

 当たれば、打撃と冷気をお見舞いできたが、ひらりと回転するイグシデハーンにはかすりもしない。

 まるで闘牛とマタドールのようであった。

 イグシデハーンの技量のほうが上なのだ。

 蔵人は糸で捕獲し、超接近戦を挑んで、小さな魔法を使い、ようやくぎりぎりの勝負をしているに過ぎなかった。

「その程度か」

 イグシデハーンは完全に蔵人の動きを見切った。

 荒々しく、一撃は重く、それでいて器用に魔法を混ぜ込んでくる。

 ここまで器用に精霊魔法を扱うのはなかなかいないだろうが、それだけだ。

 基礎となる体術がまるでなっていなかった。

「これで終わりだな」

 回転が早まる。 

 超低空飛行しながら回転し、その速度を上げているのだ。 

 刃の混じった竜巻に晒されるように、絶え間ない斬撃を蔵人は受けるしかない。

 多くは盾、鎧、巨人の手袋で弾くが、いくつかは自律物理障壁を切り裂いていく。

 そして一枚目の障壁が破壊される。

 蔵人は手も足もでず、亀になっていた。

 だが、『全力の一撃』を溜めていた。

 そして、引き絞った矢が放たれるように、蔵人の拳も放たれる。

 曲刀の一撃に合わせて放たれたそれは、相討ち覚悟の一撃だった。

 曲刀の一撃が命精物理障壁を破り、蔵人の肩を切り裂く。

 蔵人の放った一撃はイグシデハーンの頬を、掠った。

 思いがけない速度の一撃に反応が遅れたイグシデハーンは、掠っただけで命精障壁を突破した蔵人の一撃に驚きながらも、『全力の一撃』を放って隙だらけの蔵人にもう一刀を放つ。

 その表情は北部人を葬れるという愉悦にまみれていた。


 崩れ落ちる身体。


 何が起きたか、誰にもわからなかった。

 新王にすら、わからなかった。

 倒れたのは、イグシデハーンだった。

 曲刀を握ったまま、身体を痙攣させて、倒れ伏していた。

 かたや蔵人も身体をわずかに痙攣させながら、震える手で懐から何かを取り出し、飲み込み、何を思ったか巨人の手袋に水精魔法で水をかけていた。 

 何かを洗い流すように、入念に洗っていた。

「な、なに、を、した」

 呂律の回らないイグシデハーンのつぶやきを無視し、蔵人はククリ刀を取り出そうとして、ヨビを見る。

 お前がトドメを刺すか、と。

 ヨビは何が起こったかわからなかったが、背にしていた柔らかな雪白の身体から身を起こして、立ち上がる。

 魔力が枯渇寸前のせいか、身体は重かった。

 だが、それでも歩みを止める気はなかった。

 なんとか、倒れ伏すイグシデハーンまで近づいたヨビ。

 星球メイスを振りあげる。

「ま、まて、この、私を、だ、れだ、と」

 

「――待て」


 圧倒的なプレッシャーにヨビは身体を硬直させる。

 蔵人も同じように硬直しそうになるが、気力でそれを振り払って、プレッシャーの主をみる。

 新王だった。

「クランドとか申したな。その方、何をした」

「手の内をここで明かせというのか?」

 蔵人は新王に横暴を感じたこの時、言葉遣いを元に戻した。

「ふむ、我はいいのだが、このままだとその方らが暴動に巻き込まれるぞ」

 ふと蔵人は決闘を見ていた大衆とルワン家を見まわす。

 一触即発。

 ほぼ全ての武官たちがなんとか押さえてはいるが、どうなるかわからない状態だった。

 蔵人の無礼はこのために見逃されていた。

 蔵人は王の横暴ではないとわかったが、今更言葉遣いを改めるのも面倒だった。

「なんせ流民だからな無礼は許してくれ。――明かせば、暴動はないと約束するか」

「許す。――仇討ちは外部の妨害以外、全てを認めておる。外部からの妨害ではないとわかれば、我も民を止めることができる。できるだけ力で止めたくはない。できれば種を明かしてくれ」

「はあ、予想はついてるんだろ?」

「無論だ。しかし、それは正気の沙汰ではない」

 蔵人は肩を竦める。

「――毒だ。身体の動きを奪う毒を手にまぶした」

 蔵人は簡易な毒手を用いたのだった。そこに後悔など微塵もなかった。 

 蔵人の言葉に一瞬、シンとなる大衆。

 卑怯者っ

 そんな叫びを皮切りに、大衆、そしてルワン家がさらにいきりたつ。


「静まれ」


 再び、新王がプレッシャーを放つ。

 それだけでまた、大衆は静まった。

 圧倒的ともいえるカリスマだった。

「どんな毒かは知らぬが、それではその方も毒に侵されるではないか」

「致死毒じゃないからな。前もって解毒薬を飲み、終わったあとも飲んだ。毒もしっかりと洗い流したしな」

 そういって痛みに耐えながら、巨人の手袋を脱ぐ。

 皮膚は剥け、筋肉が傷つき、血がダラダラと流れていた。

 治療をしてはいるが、まだかすかに毒も残っているため治りが遅かった。

「やはり正気とはいえないな」

 蔵人の腕をみた新王はそういった。

――卑怯者っ

 ルワン家のいる一角から、そんな声が飛んだ。

 蔵人は姿を現すことなく罵倒する輩を無視して、ヨビに目を向けた。

「殺るなら、殺れ。あんたが許すなら、それでも構わんがな」

 まあその時は、俺が殺すがな。

 蔵人はルワン家がいては、自らの生存に支障をきたすと考えていた。これから先、しつこく追い回されてはたまらなかった。それゆえに、仇討ちに参加したともいえた。既に命を狙われているのだから、躊躇いなど微塵もなかった。

 ヨビが新王を見て、新王が止める気配のないことを知ると、イグシデハーンの頭部に星球メイスを振り上げる。

「ま、ま、て」

 痙攣したイグシデハーンの呟きは、しかしヨビに届くことはない。

 大衆も、そしてルワン家も動くことができない。

 新王がプレッシャーをかけているのだ。

 

 そして振り下ろされる星球メイス。

 だが、それは命精物理障壁に阻まれる。

 イグシデハーンの顔が恐怖で歪む。

 それでもヨビは躊躇うことなく、何度も何度も星球メイスを振り下ろした。

 そして障壁が破壊され、イグシデハーンの頭部は果物のようにあっさりと潰れた。

 いきり立っていたルワン家も、騒いでいた大衆も、静まり返った。


 何もヨビは残虐性ゆえいつも頭部をつぶしているのではない。蔵人もそういう趣味があって殺すときは首を切り落としているのではない。

 首を切り落とすか、頭部をつぶさないかぎり、回復の恐れがあるのだ。

 ゆえに完全に殺すために首を落とし、頭部をつぶしているのだ。

 ヨビは目を瞑り、ダーオに祈った。

 ようやく全てが終わった。

 随分と返さないといけない恩がたまり、そっちに行くのは遅れそうだが待っていて欲しいと。

 

「まだ終わりじゃないぞ。ナクロプ・ノクル・ルワン・ナバーが、クランドに決闘を申し込む」

 

 ナバーが立ち上がって、蔵人とヨビの前に立った。

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― 新着の感想 ―
やっぱ耐えに耐える蔵人はかっこいいね
[一言] 勘違いしていた これはザマァを楽しむ物語ではなかった 主人公が苦しみ舐められる様子を楽しむ物語である 自分のような読者を対象としていない物語だった すまんかった自分はもう読まん 作者様は、自…
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