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用務員さんは勇者じゃありませんので  作者: 棚花尋平
第一章 雪山で、引きこもる。
39/144

39-氷の襲撃①

 

 サレハド村に警鐘が鳴り響く前。

 アカリの『不安定な地図と索敵(レーダーマップ)』が、アレルドゥリア山脈の奥から、突如として現れた赤い大群を捉えた。

 アカリは慌てて蔵人とディアンティアに声をかけてから、洞窟の裏の崖に回り込んで、敵性反応の正体を探る。

 そして、三人は見つけてしまう。


 向こう側の山の青々とした木々の間を無軌道に進む、白いのっぺらぼう、氷の怪物(モンスター)の大群を。鎧を着ているのもいるし、素っ裸のもいる。


「村に降りるのは……無理デスネ」

 ディアンティアが怪物(モンスター)の進行速度に目をやりながらいう。

「そうなると……」

 アカリとディアンティアは蔵人を見る。


 二人の視線に蔵人はため息をつく。

 山を下りることができない以上、山の上からの迎撃戦ののち、洞窟に立て籠もって籠城戦をするしかない。

 蔵人と雪白の二人だけならば、逃げられるかもしれない。

 そしてほとぼりが冷めた頃に戻ってくればいい。

 そうすれば、もしかすれば自分を知る人間が減る。

 だが、減ったとして、生き残りがいれば、それらと敵対することになり、自分のことをばらされるかもしれない。

 そうすれば、結局また、面倒事が降りかかる。

 だから、女たちを置いて、逃げるなんて選択肢は選べなかった。


 と、そういう計算高い部分がない、とはいわない。

 いわないが、それ以上に、自分はここに残って戦うべきだと感じている。

 そもそも完全に合理主義を貫くことができたなら、そもそもこの女たちがこの山に存在することはなかった。

 つまりは情というものが結局、捨てられないということだ。

 それが自分なのだから仕方ないし、それが嫌なわけでもない。

 第一、ここを逃げてどこにいくというのか。

 怪物(モンスター)が来るたびに逃げるというのだろうか。そんなのは、ごめんだ。


「まあ、仕方ない。ここで迎え撃つ」

 そうして、蔵人と雪白、アカリ、ディアンティア、マーニャ、他八名は奇しくもオーフィアたちと同じく籠城戦を決める。

 ディアンティアとアカリはほっとしたように息を吐き出した。

 だがすぐに、二人は『月の女神の付き人(マルゥナ・ニュゥム)』の女たちを集めに走り去る。

 さて、と蔵人は害虫のように群がってくる怪物(モンスター)たちを見下ろす。

 その傍らに、トンッと体重を感じさせない着陸を見せて、雪白が降り立った。

「……あれ、覚えてるか?」

――ヴォン

 蔵人を示した先を見て、雪白は極めて不快だ、と不機嫌そうに吠える。尻尾はぴんと立ち、微動だにしない。

 雪白は覚えていた。自身の目の前で蔵人を血まみれにした相手のことを。

「だよな。だからさ――」


 蔵人、アカリ、『月の女神の付き人(マルゥナ・ニュゥム)』は一度洞窟に集まっていた。

 荷物は全て洞窟内に運び込み、準備は完了していた。

 蔵人は周囲を見渡しながら考える。

 幸運なことは洞窟に籠ってしまえば、怪物(モンスター)の進入路が洞窟の入り口のみということ、不運なのは蔵人と雪白、アカリ、ディアンティア、そしてかろうじてマーニャ他数名しか怪物モンスターとの戦闘をこなせるものがいないということか。

 ただし、今ここに雪白の姿はなかった。

「今回はおそらく、外での迎撃戦ののち、籠城戦になると思われマス。外での戦闘は幸いにして怪物モンスターどもの頭上をとっていますノデ、その地の利があるうちは一方的に攻撃できるでショウ。最優先で弓兵型を狙い打つように。相手は氷ですので、炎での足止めが効果的デス。この時期、延焼することもないでしょうカラ、やれる人は遠慮なくやってくだサイ。というか延焼してくれたら儲けものデス、それだけ足が鈍りますカラ」

 ディアンティアが周囲を見渡すと、全員が頷く。

「地の利が失われ次第、この洞窟へ。アン、メッティ、イース、ルゥシエ、オルガは後方から聖霊魔法でトドメを刺し、私たち前衛の聖霊魔法が切れたときはすぐにかけ直しナサイ。前には出ないでくだサイ、今回は助ける余裕がありませんシ、貴女たちといえど倒れられては困りますノデ」

 デイアンティアが戦闘力に乏しいメンバーに指示を出すと、呼ばれた五人は緊張の面持ちで頷く。

「アカリさんとマーニャは前衛のサポートをお願いシマス」

 アカリとマーニャが頷く。

 そしてと蔵人を見るティアンティア。

 蔵人はダークグレーの革鎧と『巨人の手袋』を着込み、腕には氷戦士の小盾をくくりつけ、腰にはククリ刀とブーメランを差し、その足元にはどこからかもってきた投擲武器が散乱していた。

「申し訳ないですガ、クランドさんにはワタシとアガタ、ルブナ、グアダルペと一緒に洞窟に入ってくる怪物モンスターを食いとめてもらいタイ。できればあのイルニークモ」

 姿の見えない雪白に期待した様子で蔵人を見るディアンティア。

「雪白だ。あいつはあいつがしたいことをする。それだけだ。俺は、まあ、それなりにやる。あてにしないでくれ、所詮は仮の十つ星(ルテレラ)だ」

 ディアンティアはしばらく蔵人を見つめていたが、諦めたように首を縦に振った。あまり当てにしないようにしよう、洞窟を提供してくれただけでも恩の字なのだ。

 女官長はそれなりに腕が立つといっていたが、実際に見たわけでもない。不確定要素は計算に入れるべきではない。

 ディアンティアはそう考えていた。

「まあ、やれることはやるさ」

 そういいながら蔵人は、洞窟の壁に手を触れながら歩いていく。

 何をしているのかとディアンティアが訝しげに見ていると、手が触れたところから洞窟の壁がみるみるうちに狭くなっていく。

 しばらくすると、人が二人ほど通れた幅の通路が一人分ほどになっていた。

 ふぅと息を吐き出す蔵人。

 ディアンティアが声をかける。

「魔力は大丈夫デスカ?」

 そういいながらも疲れた様子を見せない姿に内心では蔵人の評価をかなり引き上げていた。

 蔵人は手をひらひらと振りながら、洞窟の外を見る。

「問題ないさ。それに俺の魔力より、こっちのほうが効率的だろう」

 蔵人はそういいながら、これでようやく親魔獣の足元くらいには近づいたかねと一瞬だけ親魔獣を思い出していた。


 怪物モンスター発見からここまで十分ほど。

 蔵人たちは外にでて、洞窟の山に登りつつある怪物モンスターを並んで見下ろしていた。

 氷の怪物モンスターが通ると木々が凍りつき、倒れていく。

 白い波が、山を登るようにして迫っていた。

 ディアンティアが威勢よく、叫ぶ。

「さあ、『月の女神の付き人(マルゥナ・ニュゥム)』の実力を見せてやりまショウ。伊達に女官長に鍛えられてはいないのだと、証明してやるのデスっ!」

 ディアンティア以外の女たちがわずかに身じろぎする。

 思いだすのも嫌なくらいの訓練らしい。

 ディアンティアが腰のショートソードを抜き、一番大きな集団を差し示す。

 そして、唱える。

 

大地よ(Ég jörð,)(sprunga)けよ( í jörðu)

≪≪大地よ(Ég jörð,)(sprunga)けよ( í jörðu)≫≫


 ディアンティアの凛とした声のあとに、九名の合唱。

 ズバンと一団の中心と思われるところで大地が、裂けた。

 突然、足場を失った怪物モンスターたちがそこへバラバラと落ちていく。

「一斉行使か。どれぐらい深いんだ?」

 蔵人は初めてみる精霊魔法の一斉行使を見て驚いていた。

 精霊魔法には詠唱はいらないが、集団で行使する場合は詠唱したほうが合わせやすい。上手く合わされば合わさるほど、土精同士の相乗効果で威力も上がった。

「かなり深いはずデス。これでも這い出てくるのですカラ、足止めにしかなりまセン。本当なら火精魔法を使いたいところデスガ、地人種というのは生来、土精親和力に特化していますノデ、火精は得意ではないのデス。他の仲間にしても火精が得意なのは一人しかいまセンシネ」

 ディアンティアはさっそく騒がしくなったほうに目をやる。


「にゃははは、燃えるにゃー」

 

 ハイテンションで見える端から怪物モンスターを、否、森に放火しているようにしか見えないマーニャ。

「……ファイア・ハッピーか?」

 そんな物騒な言葉があるのか蔵人も知らないが、マーニャは実に楽しそうに炎を放っていた。

 蔵人はマーニャから視線を外し、亀裂を見る。怪物モンスターたちはさすがにもう落ちるようなことはなく、亀裂を避けるように進行し続けていた。

 這い上がってきて、足止めにしかならない、か。改めて亀裂を見た蔵人が、ぽつりとつぶやく。

「なら、掻き集めて、埋めるか」

 そういって蔵人は土精に魔力を渡す。

 無から土を生みだすより、現状ある土を使った方が魔力効率は遥かにいい。

 周囲の土が流れるように集まり、亀裂はあっという間に埋まってしまった。

「これでしばらくは出て来れないだろ」

 それだけいって蔵人はマーニャのほうに向かった。

 ディアンティアは唖然とする他はない。ただの第三級魔法とはいえ、十人でつくった亀裂を一人で埋めてしまうとは。ただ土を掻き集めただけ、ということを考えて単純に十人分の魔力を使ったわけではないだろうが、それでも今、現在も戦闘可能なことを考えると、その辺の一般的な魔法兵など問題にならない魔力量なのは確かだった。

 

 マーニャの炎は盛大に怪物モンスターを溶かしていた。歩けなくなった怪物モンスターが芋虫のように這いつくばっている。

 蔵人はそこいら中に山ほど転がっている手のひらいっぱいの大きさの石を拾い上げ、聖霊を付与する。

 聖霊魔法は単独で用いるよりも、付与したほうが遥かに威力効率が良かった。

 そして、足を失った怪物(モンスター)が復活してこない内に、聖霊を付与した石をぶんっと投げる。

 矢のように飛んだ石は、這いつくばる怪物(モンスター)の顔面に勢いよく埋没する。

 埋没した石に付与された聖霊により、速やかに消滅していく。

 蔵人は次々と、石を投げる。投げる。投げる。


 ディアンティアは、それを眺めながら、彼はいったい何者なのかと考えそうになるも、今はそんな場合ではないと思いなおし、弓と矢を取り出して構える。

「矢は打ちきってしまって構いまセンっ!聖霊を付与しだイ、どんどん射ちなサイッ!」

 山肌を凍らせながら進行してくる怪物(モンスター)に次々と矢が突き刺さる。

 聖霊を付与しながらであるため、矢継ぎ早にというわけにはいかないが、それでもどんどん怪物は倒れて、消滅していった。


「射ちきりましたっ!」

「こちらもですっ」

 一時間もしない内に、矢は突き、それに合わせるように怪物(モンスター)が間近に迫っていた。

 ディアンティアも最後の矢を放つ。

「仕方ありまセンネ、撤退しマスッ!」

 弓を背に回しながら、ディアンティアが後退を叫ぶ。

 その声に蔵人も最後の仕上げにかかる。

 直径が自身の身長ほどもある土の塊が三つ、蔵人の前に鎮座していた。

 土の塊は、持てるサイズの岩を崖際に設置してから、土精魔法でコーティングし、圧縮し、そこにスパイクを作成した。

 無数のスパイクがついた凶悪な様相の土の塊に、一つずつ聖霊を付与しては、力でもって崖から落とす。

「んっ!」

 それを都合、三度する。

 ゴロン、ゴロンと転がる圧縮された土の塊は怪物を押し潰し、削り取りながら、落下していった。

「ふぅ、さすがにシンドイな」

 一仕事したといった風情で額の汗を拭い、蔵人は洞窟に戻っていった。


「魔力は大丈夫なんですか?」

 洞窟に戻ってきた蔵人にアカリが呆れたようにいう。自分ならばとうに枯渇しているだろう。

「半分を切ったくらい、だと思うが、数値化できるわけじゃないからな」

 魔力量に限るならば、アカリを一般的な魔法兵だと仮定すると、蔵人はその五倍近い魔力量を誇ることになる。異常というほどではないが、普通だとは言い難かった。

 これでも魔法は頑張っていたんですけどねと遠い目をするアカリ。

「ちっちゃいからその分、魔力量も増えづらいんじゃないか」

「ち、ちっちゃくないですっ。って、どこ見てるんですか」

 蔵人の視線は、控えめなアカリの胸である。もちろん今は白い胸甲板を着けている。

 蔵人はアカリの肩をポンポンと叩いてから、奥へいった。

「な、慰めないでくださいっ」

 ぷしゅーっと湯気でも上がりそうな勢いでアカリが蔵人を追いかけた。

 その姿をどこか微笑ましく眺めながら、最後にディアンティアが洞窟の入り口を土で塞いでいく。埋めていくのではなく、何枚も壁をつくるようにする。

 魔力を探知する怪物(モンスター)にはやってもムダかもしれないが、もしかしたら素通りしてくれることを祈って。

 もし破られたときのために、四方八方から洞窟を破壊されるよりはと、洞窟を完全には埋めなかった。

 

「さあ、ここからデスヨ。たぶん下を片づけたらオーフィア様が来てくれるはずデス。それまで耐えきりまショウ」

 ディアンティアの言葉に蔵人が微かに顔をしかめる。

「……どこか怪我でもしましたか?」

 アカリが心配そうに見るも、蔵人は大丈夫だと首を振った。

「……ああ、やはり来ましたね」

 ほとんど考えるような間もなく、ディアンティアが最初にそれを感知した。

 土を掘る音である。

 やれやれと蔵人は立てかけてあった短槍を手に取る。

「その穂先はなんにゃっ、鉄じゃないにゃ」

 それを目ざとく見ていたマーニャ。

 削った木に白い穂先が取り付けられていた。

「ああ、氷潜角白熊(リロベーチ)の一本角だ」

 一角クジラの角に似ているが、長さは三〇センチほど、白色でねじりが浅く、より硬質で密度があり、先が鋭い。

「……聞いたことない魔獣だにゃ」

「氷河をもぐって、その中に凍りついた太古の生物を喰らっている極北の死肉喰らいデスヨ。なぜそれがここにあるかはわかりまセンガ、氷の怪物モンスターを相手にするなら申し分ない武器デス」 

 ディアンティアが解説してくれた。

 蔵人も親魔獣が置いていった魔獣なので、説明などできない。

「あれ、蔵人さん、槍なんて使ってました?」

 アカリが聞く。

「そういえばこっちでは使ってなかったな。村にいったとき、イライダに少しだけ教わってな」

「イライダさんにですか」

「あのイライダ・バーギンにデスカ」

 蔵人は肩をすくめる。

「といっても一つだけどな」

 さてと蔵人が槍をもって洞窟の入り口に向かう。

「じゃあ、ローテーションで行くか。しんどくなったら交代な」

「あ、ワタシが最初にいきマスヨ」

「とりあえず俺がどこまでできるか、見て判断してくれ。俺よりは物事が見えているようだしな。逃げ帰るかもしれんから、準備だけはしておいてくれ」

 そういってつかつかと洞窟の半ばで待ち構える蔵人。

 そこに後ろからアカリがついてきた。

「サポートです」

 見るとそのさらに後ろにはディアンティアがこちらを見つめていた。

「ほら、聖霊の付与忘れてますよっ」

 そういって、蔵人の短槍に聖霊を付与するアカリ。

「ああ、すまんな」

 蔵人にとって二度目の対峙だ。緊張しているらしい。

 一度目は顎と両腕を砕かれた。

 今度はそうはいかない。

 竦みそうになる足を踏ん張り、歯を食いしばる。


 ついに、土壁が破られ、白い怪物モンスターが顔を見せる。

 その瞬間、反射的に、蔵人の短槍が白い軌跡をえがく。

 短槍が引き戻されたときには、顔面をえぐられた怪物モンスターがすでに崩壊をはじめていた。

 イライダから教わったのは突き方だけ。

 あとはそれをいつものように反復した。目の前に敵がいることを想像しながら。

 息つく暇もなく、次々に土壁を破って怪物モンスターが蔵人に向かってくる。

 一度目の恐怖など感じている暇などなかった。

 いつものように槍を突く。

 たまに現れる盾持ちに一突きめが弾かれるも、二突き、三突きと繰り返すと、崩壊していった。

 何体消滅させたか、蔵人は腕に疲労を感じる。

「交代だっ」

 その声にアカリが出入り口に足を踏み入れた怪物モンスターに向かって火を放つ。

 蔵人はそれを見ずにアカリとすれ違うと、ディアンティアと交代する。

「お疲れ様デス。問題なく前衛を任せられマスネ」

「待て、槍を使えるなら使え。バターみたいに溶け切れるぞ」

 ディアンティアは蔵人と槍を見る。

「……お借りします」

 そういってディアンティアは槍を受け取ると、アカリの前に躍り出た。

「他の奴も、使いたいなら使え。柄は折ってもいいが、穂先は死ぬ気で回収してこいよ?」

 蔵人が冗談めかした笑いを浮かべながら、残っている女たちを見た。

「お、お借りします」

「アタイはいいよ、斧のほうが性にあうからな」

 など口々に言い合う。

 追い詰められた暗さはまだないようだ。

「好きにしてくれ。疲れたから寝る。ローテーションの一つ前になったら起こしてくれ」

 蔵人はそれだけいってコテンと 眠ってしまった。

 

 その後、蔵人が起こされ、二度、三度、四度とローテーションを繰り返す。

 十を数えた頃から、女たちは明らかに疲労が目につくようになる。

 眠る者、後衛のものが作った食事をとる者、疲労はあるが緊張で眠れずうずくまっているもの。

 戦闘の合間の短い眠りでは、十分な休息とはいえない。

 今は蔵人が洞窟の出入り口に陣取り、反復作業のように怪物モンスターを突き殺していた。

 だが、反復作業とはいえ、疲労は蓄積されている。油断すれば一撃死もありえるのだから緊張感が途切れることはない。

 蔵人がちらりと奥を振り返る。

 ディアンティア以外はかなり疲労し、ところどころ傷を負っている者もいる。大きな怪我はないものの、それも時間の問題だ。

「さすがに人数が足りないなっ」

 シッと槍を突くが、反れる。

 そこに同じく槍をもった怪物モンスターが、一突きにしてくる。

「くっ」

 腕の小盾でなんとかそれを反らすも、あまりの威力に上体が崩れてしまう。

 追撃の一突き。

 しかし、それを放つ前に、怪物モンスターの顔が千切れ飛ぶ。

 そこにすかさず、蔵人が短槍を突きいれる。

 消滅を始めた怪物モンスターが勢いよく横壁に叩きつけれると、蔵人の身体にもふっとした何かが圧し掛かった。

 

 白毛に黒い斑点模様が、蔵人の視界いっぱいに広がっていた。

 

 そして、洞窟に入ってくる怪物モンスターの勢いも衰えはじめていた。

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