遅刻した彼は、いつも通りの休み時間を過ごすことができない。
2話の投稿ミスがあり、一度削除して書き直しました。
申し訳ありません。
2話目で頭がクラクラするぜ!!
いつも通りの道。いつも通りの俺。いつも通りの景色。
それが、今の俺にはどこか新鮮に見えていた。
「人間、限界を越えると開き直れるもんだな…」
桜並木の道を無関心に歩きながら、俺こと《桐島 隼人》はそんな事を呟いていた。
さて、一体俺が何に対して開き直っているでしょうか?
ヒント?ヒントはねぇ…俺が前を通るたびに蔑んだ目でこちらを見てくる近所のおばさん達かな?
正解は…はい、大遅刻しました。
実は、何回か遅刻はしたことがあるのだ。今日で6回連続くらいには。いや常連じゃねぇか俺…。
言い訳をさせてもらうと、一昨日は目覚まし時計の電池が切れており、昨日は目覚まし時計が動かなくなり、今日に関しては目覚まし時計をセットし忘れる始末。そろそろ誰か俺のことをドジっ子認定してくれちゃうレベルには自分でもドジだと自覚している。
一時間目が終了し休み時間。教室前に到着。
さて、なんと言い訳するべきか…
職員室に行った後、教室の目の前に立ちこんな事を考えていた。
俺は頭の中にたっぷり詰まった脳みそをフル稼働させ、なんとか言い訳を考える。高校2年生ともなろう人間が、目覚まし時計セットし忘れて起きれなかったなんて恥ずかしくて言えるわけがない。
言い訳候補①
『ゴッメーン。遅れちゃったーー。ほら、隼人ドジだから。テヘ☆』
てへ☆じゃねーよ何様だ俺。うっかり現実逃避しちゃってんじゃねーよ。
言い訳候補②
『ハァ…ハァ…。竜騎士ヴァルザークめ…なかなか手強いやつだったぜ…。俺のダークネスティウンテがなければやられていた…ガハッ!!』
駄目だ。その場ではどうにかなるかもしれんが俺の高校生活が灰色どころか消しゴムで消されちゃう。
言い訳候補③
『べ、別に遅れたくて遅れたわけじゃないんだからねっ』
え…いや…その…。だ、だからなんですか?
言い訳候補④
『…帰るか、俺』
帰るなよ。なんの為に来たんだよ。
どうする?このポンコツ脳はろくなアイデア出してくれない。
ここまでの大遅刻をしたことがないので、対処に困っていると教室からやけにうるさい音が聞こえた。
「…あれ?」
普段から確かに2-Dはうるさいが、俺はそのうるささに違和感を感じていた。
なにか、単に騒がしいというだけでは無い気がした。
「あ、今日転校生が来るんだっけか」
なんか昨日隣の子達がそんな話をしていた気がする。そういえば、2年連続クラスが同じ友達の《大川 快》も「もうすぐカワイイ娘が来るって、俺の直感がそう言ってる」と根拠の無いことを言っていた。
転校生が来たからか、誰も教室から出ようとする生徒はいないみたいで、クラスのみんなは廊下に佇んでいる俺の存在をまだ認識していない。
今入ったら邪魔になると思い、少し中の様子を窺うことにした。
窓の隙間から教室を覗いてみると、やはり転校生らしき人の机に沢山の人だかりができていた。
ただ、その転校生の顔はまったく見えなかった。たかっているほとんどの生徒が男子なので転校生は女の子なのだろう。しかも集まっている人数の多さから考えるとかなりレベルが高いのではないだろうか?
『好きな男性のタイプは?』
『メルアド交換してくれ!!』
『何カップですか!?』
『俺、いいレストラン知ってるぜ…?』
お前らどんだけアグレッシブなんだよ。メスにモテようと必死に踊るオス鳥か。
ここまでの質問の嵐を浴びた転校生であったが、その声は妙に落ち着いており、まるでそんな質問に慣れているかのようだった。
『申し訳ありませんが、みなさんの質問をすべて受け答えることはできません。本当に申し訳ありません』
『あ…いや…無理に聞いてごめんな』
『そうだよ男子。キモイよ』
『な、何を!!?』
よし、いつもの調子を取り戻してきたな2-Dよ。転校生から注目がそれた今、それとなーく入っていく作戦で行こう!!
俺はドアを開け、教室内に入る。教室では男子対女子のガチンコ変則マッチが行われていた。
その様子を無関心な目で見つめていた一人の少女がいた。
雪のように白い肌に艶やかな黒髪のコントラスト。吸い込まれるような瞳に整った顔立ち。
どこから見ても彼女は綺麗だった。
今日まで見たことのない顔だったので、おそらく彼女が転校生なのだろう。
そりゃあ男子が集まるわけだ。
そんな彼女は俺の事を見つけて、唐突に考え出し微笑みを浮かべた。
とてつもなくブラックな感じで。
俺は背筋に寒気を覚えた。
「落ち着いてください、みなさん」
彼女は不意に立ち上がり喋りだした。
絶賛転校生取り合いバトルを行っていたクラス全員の視線が彼女に集まる。
ドアの前に立っていた俺も、もちろん彼女に視線を向ける。
「このままでは拉致があきません。ということで、皆さんのお願いを私は何でも聞いてあげましょう」
『マジすか!!?』
『よっしゃぁぁぁっ!!!』
なんか女王みたいだなおい…。
『ほ、ほんとにいいの世良ちゃん!!』
「ええ、構いません。しかし」
彼女は若干慎ましい胸をドンと張り、表情を変えずこう告げた。
「私にお願いできるのはこの中の一人だけです」
みたいじゃ無かった!!こいつ女王だった!!
『一人だけだと!!』
「はい。では今から、その一人を決めるゲームを始めましょう」
彼女はそう宣言したあと俺のほうをチラッと見て、笑みを浮かべた。先ほど同様ブラックな感じで。
なんかやばい気がするのは俺だけだろうか?
『ルールは!?』
「ルールは至ってシンプル。この2-Dに所属する桐島 隼人を生け捕りできた方が勝者となります。制限時間はこの休み時間中です」
…は?
なんで俺の名前を知ってるんだ?なんで俺を生け捕りにしようとしてるんだ?
意味がわからん!!とりあえず誰か助けて!!
彼女はもう一度だけこちらを見て、満面の笑みでこう言った。
「よーい、スタート」
本人の承諾ないまま、そのデスゲームは幕を開けた。が、
『おい…っていってもなぁ…』
『今日は休みみたいだし』
『どうする?』
あれ?もしかして気づいてない感じ?ついに俺も火影を目指すときが来た感じ?
この間に教室から逃げ出そうと考えていると、教室のドアが勝手に開いた。
「あれ、桐島君来てたの?」
「あ、やぁ…相模、さん…」
他の教室いってた子くらい居ますよねそりゃ。もちろんっすよね。
『桐島だと!!?』
まぁそりゃみんな気づくよね?
『確保ぉぉぉ!!!』
「えっ、どうしたのみん――」
「相模さんのバカァァァァ!!!」
「え!?私なんか悪いことした!?」
再び、このデスゲームは幕を開けた。
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高校生、誰でも一度は自分だけのベストスポットは探したりはしないだろうか?
俺にはある。それも複数。
大体の場所は快と一緒に居るので、そこに居たら確実にばれてしまう。
ということなので、俺はおそらく誰も知らないであろう隠れ家に逃げ込んでいた。
体育館の裏側に小さなトンネルみたいなところがあるのだが、暗くて狭く、更には虫が沢山居るということで誰もここに寄り付かない。
「ハァ…ハァ…ここまで…来れば…」
俺は暗闇の中で座り込みやっと一息ついた。
そして、今起きている事態についてよく考えることにした。
一体俺のいない間に何があったんだろうか?転校生は俺の名前を知っていた。
誰かが俺の名前を教えたにしても、何の理由で生け捕りにしようとしているのだろうか?
俺にはその全てが分からなかった。
ただ、彼女の顔は、何か見覚えがあるような―――。
「本当に来ましたね」
「うわっ!!?」
暗闇の中から突然声が聞こえ、辺りを見回す。
すると、光が差し込んでいる入り口にひとつの人影があった。
「だ、誰だ!?もしかして追っ手か!?なんで俺の隠れ家を知ってる!?」
「落ち着いてください。追ってなんて来ませんよ」
「お前は…!?」
声で分かった。おそらく彼女は先ほどの転校生だ。
その転校生は足音だけで察するに、俺の隣まで来て、同じように座り込んだ。
「申し遅れました。私は本日より、2年D組に編入することになりました西条 世良です。西条とお呼び下さい」
…とりあえず一言。
「分からないことが多すぎる…」
頭を抱える俺を見て、いや見ているのか暗くて分からないがおそらく俺を見て、平然と告げた。
「そうでしょうか?」
「じゃあ一方的に質問していいか?なんで俺の名前を知ってる!?お前は誰だ!!」
「何でも答えますが、私、あなたの事なら何でも知っていますよ?」
「何っ!?」
住所を知られてるとかか!?こいつ、一体…!?
「血液型からホクロの位置までね」
「知ってることの部類がなんか違う!!ていうか、それストーカーの域優に越えてんじゃねーか!!」
「そう。私は何でも知っています」
なるほど…。俗に言うこいつは変態っていうやつらしい。転校前から俺のことを調べ上げておくなんて、なかなかやるじゃないか…。ストーカーめ!!
この手のは追っ払っておくに越したことは無い!!
「ほう…?何でも知っているだと?上等だ。試しになんか言ってみろよ?ま、知られていて困るようなこと俺には無いが――」
「あなたが中二の夏オネショをしたのを親に見つかったこととか」
「――ッ!!?」
「竜騎士ヴァルザーグという空想の敵と今でも戦っていることとか」
「うわぁぁぁぁぁっ!!!?やめろ!!やめろぉぉぉ!!プライバシー!!俺のプライバシーがぁぁぁ!!」
なんでこいつ俺のトップシークレットを!?
「中三の頃、近所の少女とおままごとしてて同級生にバレ、その後のあだ名がロリータになったこととか」
「用件は!?お願いはなんだ!!?何をすれば俺は許される!!?」
「去年の春――」
「すいませんでした!!自分はバカでした!!ホントすいません!!」
互いに顔が確認できないまま、暗闇の中話しているので相手の表情が見えないのだが、おそらく、この西条って女はとてつもなくいい顔をしているのだろう。
やべぇ…。こいつ変態だ…。
「お前、どんだけ俺のこと調べ上げてんだよ?」
「それが私の今回の任務ですから」
「任務…?」
彼女…西条はあまりにも簡単に言ってみせた。
「任務って、なんだよ?」
「もう一度自己紹介させて頂きます。私、西条 世良はこの学校に転校してきた生徒と同時に」
真っ暗な景色に慣れてきた目に映った西条はいつもの冷淡な顔で
「あなたの人生を矯正するために、ここに来ました」
と、とんでもないことを言うのだった。
思えば、ここからが俺の第二の人生の始まりだったのかもしれない。
やべ…
ネタがねぇwww




