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ソルタノと光の妖精

作者: 白河胡桃
掲載日:2026/07/02

連載中の白と黒のカプリオーラの世界に伝わる伝承です。この伝承のため、黒髪の少女セレナは国を追われることになりました。

これはセレスティンに伝わる古い昔話。


 はるか遠い、遠い昔のこと。


 アルテモンドと呼ばれた(みどり)の美しい場所に、それはそれは神々しい四匹の守護龍が居りました。それぞれの龍は四方を守り、国は栄え、人々は穏やかに暮らしていました。


 ある時、東の国のソルタノという黒髪の男が、西の国に住む美しい光の妖精の娘に恋をしました。ソルタノはその娘と父の妖精王に自分の力を示すべく、龍たちに魔術の力比べを持ちかけます。


 悠久の時を生きる龍たちは、暇つぶしにはちょうど良い遊びだと、面白がってソルタノと力比べを始めました。龍たちは自分たちが守る人間に負けるなどとは、露ほども思っていなかったのです。


 しかし、東の蒼龍、南の紅龍、西の白龍はソルタノに次々と負けてしまいます。ソルタノは、龍たちの弱点をよく知っていたのです。


 残る北の最強と呼ばれる黒龍は、その威信をかけてソルタノと力比べを始めました。三方の龍をくだしたソルタノでも黒龍においそれとは勝てません。長い時をかけ、(ようや)くソルタノが黒龍に勝った時、大地は穿(うが)たれ、山は崩れ、海は荒れ狂い、空には暗雲がたちこめていました。


 かつてアルテモンドと呼ばれた美しい場所は、光の届かぬ、妖精も人も住めぬ闇の世界へと変貌していたのです。


 そして――


ソルタノが慕う美しい光の妖精の娘も、己と黒龍の力比べに巻き込まれ、(はかな)くなったと知った彼の後悔と嘆きは凄まじく、冷え切ったその心には一条の光も()さぬほど。


 生きる意味をなくしたソルタノは、自分を呪い、世界を呪い、光の女神から見放された、凍てついた大地の闇の王と成り果てました。


 漆黒の闇の中、妖精から(いと)われし黒き者と黒き獣たちは、永遠に彷徨(さまよい)い続けているのです。





口伝で伝わった昔話。

続く最後の言葉は、時とともに忘れ去られた。



 ――彼らを救えるもの(闇の王を倒す者)が、この地に再び現れるまで。



この世界(セレスティン)で、この最後の言葉を知る者はいない。





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― 新着の感想 ―
四匹の守護龍に守られた美しい国で、光の妖精の娘へ恋したソルタノが、力を示そうとして龍たちへ勝負を挑む伝承に引き込まれました。次々と龍を破り、最後の黒龍にも勝った代償として大地も海も空も壊れ、愛した娘ま…
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