詩 屋上で俺が歌う
「ラララ」
屋上で俺が歌い始める。
すると、彼女が驚いたように聞いてくる。
「何の曲?」
「さあ?」
「さあって…」
彼女が戸惑っているので、俺は素直に言う。
「何でもいいから、口にすると、気持ちいいんだよね」
「そうなの?」
俺はうなずくと、手すりに腕を乗せる。
風が向かってきて、木の香りが流れてくる。
猫みたいに気持ち良さそうに目を細めると、彼女が手すりに触れてくる。
彼女は何を考えているか分からないが、また俺は歌い出す。
「ラララ」
彼女はうるさいとは言わず、遠くを眺めている。
ロングヘアーが流れ、まるで滝のような涼しさを覚える。
すると、当然、彼女の身体が倒れそうになる。
「危ない!!」
慌てて受け止めると、彼女が体勢を直し、言ってくる。
「ありがとう」
「どういたしまして」
制服を叩いて大丈夫なのを確認すると、彼女が頬を赤らめる。
「あの、もういいから」
「あ、悪い」
離れると、彼女の表情が、残念がっているように見えるのは、俺だけか?
柔らかな身体、もう少し触れたかったなと手を見つめる。
2人の間に、沈黙が訪れる。
それは嫌なものではなく、どうしても必要な時だった。
俺は両手を伸ばし、太陽と目を合わせる。
彼女はそれをちらりと見、
「カラオケでも行く?」
「うーん、どうだろう?」
俺は気のない言葉を口にする。
このまま、自然を観客に歌っているほうが、気持ちがいい。
彼女もそれ以上は言わなかった。
「ラララ」
彼女の肩を抱き、歌い続ける。すると、彼女が俺の胸に頭を預けてきた。
俺は嬉しくなって、歌い続ける。
まるで吟遊詩人みたいだと、自分を例え、風に流していく。
あー、気持ちがいい。




