FILE5-原初の魔女アリス
こんにちは!!龍河です。
今日は重要キャラの登場、そして今回で序章が終わりとなります。
とりあえず、途中でやめることなく書き切れてよかったです・・・。
そして、一部あらすじを修正しました。物語を進める上で変えたい設定ができましたので変更しました。
この先に影響はしますが、まだ出ていないのでご安心ください。
「あれ? もしもーし? きみ? 聞こえてる~?」
「あれぇ~? おかしいなぁ・・・」
俺は突然目の前に現れた”謎の女性"について脳が混乱状態だった。だっ、誰だ? いつからいた? なんでこんなところにいる? 頭の中は疑問形の言葉でいっぱいだったがそんな理由探しよりまずはーーー
「おっ、おい!! あんた危ないぞ!!」
俺は力を振り絞って”謎の女性”の前に出てテネフィラが放った魔法を受けようとした。もちろん恐怖はあるが覚悟はできている、俺以外の被害者を出す訳にはいかない。
「わあぉ、きみとっても勇敢だね。でも安心していいよ」
”謎の女性”は俺の後ろでのんきなことを言ってきた。
「? なに言ってんだ!このままだとテネフィラが放った魔法に俺たち丸焼きに・・・ってあれ?」
俺は違和感を感じた、明らかにこの女性が現れると現れる前ではなにかが違うような・・・。俺は目の前の大きな火魔法を見て、この違和感をようやく理解した。
ーーー『テネフィラが放った魔法が止まっていた』
「おっ、おいなんで魔法が止まってるんだ? 一体どうなってるんだ・・・?」
俺は疑問を”謎の女性”に尋ねた。すると意気揚々と俺の周りを散歩するようにうろちょろしながら説明をしてくれた。
「魔法だけじゃないよ、今は『この世界の時を一時的に止めているからね』」
「時を止める!? そんな荒唐無稽なことをできるのか・・・。」
よく見ると魔法だけでなくテネフィラもまるで一時停止状態のテレビ画面のような状態で表情や身体の状態が固定されていた。どうやらこれは現実のようだ。
「あんた、一体何者なんだ?」
「そういえばまだ自己紹介がまだだったね」
「初めまして、”アマミヤ”くん。私は『アリス』世間では”原初の魔女”なんて言われているらしいね」
『アリス』と名乗る魔女は白髪の短髪、スタイルは細身で背も170cmはあるだろう、そして何よりめちゃ美形だった。お嬢様学校にいる”王子様”みたいな中性容姿だった。
「原初の魔女・・・ やはり魔女か。そりゃこんな”時を止める”なんてことできるの限られてるしな」
「それよりアリスさん、なんで俺の名前を知ってるんだ?まだ名乗ってないが」
「いやぁ~魔女と戦っている面白い人間がいるなって思ってずっと見てたんだよね」
「だけど、君が死に直面してこんな面白い子の命を終わらせる訳にはいかないと思ってね、僕つい飛び出してきちゃった」
「なっ、なるほど、じゃあもう一つ」
ーーー『あんた、何千年も前に死んだはずだけどなんでここにいる?』
そう、この原初の魔女アリスは図書館の書物や教科書に載るほどの歴史的な魔女だ。俺や親でさえ生まれる前に存在していた魔女がなぜ俺の目の前にいる?
質問されたアリスは俺の質問に答えた
「その通り、僕はすでに天寿をまっとうしてあの世で現世を見ながらゆったり暮らしてたんだけどその時にアマミヤ君が女の子一人助ける為に魔女とファイトしてるんだもん。そんな無鉄砲な子、久しぶりだったからウキウキしながら見てたけど・・・」
先ほどまで陽気だったアリスが真剣な顔をして俺の目を見て言った。
ーーー「きみはこんなところで死ぬべき人間じゃない」
「だから僕も二度とあの世に戻れないことを条件にこの現世に姿を見せたってわけだよ♪」
俺はその言葉を聞いて、そこまでの代償を払ってまで助ける価値が俺にはあるとは思えなかった。だがせっかく拾ってもらった命だ。この恩には報いたい。
「ありがとう、そう思ってもらえて嬉しいよ、偉大な魔女さん」
「まだお礼を言うのは早いかな、今は死を先送りにしてるだけだし」
「この時止めもそんな長くは続かないからね」
アリスの言葉通りならいずれこの時止めも時間切れがくる、早く逃げるなりするべきだがこいつをこのまま野放しにしていいとは思えない。俺はアリスに聞いた。
「ちなみにアリスさん、あの目の前にいる魔女を魔法でやっつけたりできます?」
「ん~悪い、僕は今使っている時止めで溜めてた魔力使っちゃったから戦えない、ただ・・・」
「ただ?」
ーーー『アマミヤ君、僕と契約して一緒に戦うことはできる』
「契約・・・?」
「僕は今”霊体”の状態だ、できることが限られる、だから君と契約して憑かせてもらう」
「憑かせてもらう!?」
「大丈夫、ちょーっと憑かせてもらうだけだから、ねっ? お願い?」
アリスが手を合掌をするようにしてお願いしてきた。こいつもしかして・・・
「あんた、実はアホだろ」
先ほどの恩に報いたい気持ちを返して欲しい。そんなことを思いながらアリスは目を泳がせながら返答をする。
「そっ・・・そんなことより!!、君もあの魔女に一発やり返したいでしょ?」
確かにテネフィラには散々もてあそばれたから一発やり返したい、それにあいつはここで行動不能にしないと次の犠牲者が出てしまう。もう選択肢はない。
「アリス、その『契約』ってのを結べばあいつに勝てるか?」
「もちろん、その約束だけは”絶対に破らない”」
真剣な顔でアリスは俺に言った。
「・・・分かった、結ぶよ『契約』 どうすればいい?」
賭けてみよう、俺はそう思いアリスに契約の方法を聞いた。
「よし、では顔をこちらに近づけて」
俺はアリスの言う通り顔を近づけた。アリスはなにか契約に必要な呪文みたいなのを唱えていたが詳しいことは分からない。
「ではこれから契約を取り交わすよ」
するとアリスは顔を近づけて俺の額と自分の額をくっ付けた。めちゃくちゃ綺麗な顔をしているせいか少しドキドキしたが額をくっ付けた時に原理は分からないが光出した。俺は眩しくてつい目を閉じてしまった。次に目を開けた時にはアリスは目の前から消えていた。
ーーーすると止まっていた時が動き出し、巨大な火魔法が目の間に迫ってきた。
俺は突然のことで具体的に何ができるか聞いていなかったせいで反射的に片手で庇うような体制を取った。すると俺の身体が光出しーーー目の前の巨大な火魔法が消えた。俺は状況が理解できず呆然とした。
目の前のテネフィラが驚いたような表情をして俺に言ってきた。
「なっ!? おっおまえ!! 何をした!? それにその状態はなんだ!?」
目の前がテネフィラが動揺しているのは分かるが、俺もなにが起きてどうなっているのか分からなかった。周りを見渡しビルの窓ガラスに映った自分の姿を見た。
それは全身が謎の青色の光で光っており、左目から青色の炎が燃えてるみたいな状態になっていた。
「なっ!? なんだこれ・・・??」
「やぁ、うまくいったようで良かった」
頭の中に突然、声が響いた。この声はもしかして・・・。
「この声・・・、アリスか?」
「正解、無事『契約』は完了したよ、説明もなしでごめんね?」
「それはいいんだが、この状態はなんだ?」
「今、君の中にある魔力を使用して魔法を発動しているからそのせいかな?でもカッコイイよ」
「突然褒められても・・・、まぁ詳しいことはあとだ」
アリスの言葉を元に考えると、俺はアリスを介して『魔女』と同じことが出来るようになったのか。にわかに信じ難いが・・・。なら…やってやる。
ーーー『こっちのターンだ、力を貸してくれ ”アリス”』
ーーー『もちろん!! まかせて ”アマミヤ” 』
「なにを一人でごちゃごちゃと・・・なにをしたか知らないが今度こそ消し炭にしてやる!!」
テネフィラはさっきより放った火魔法より上位の魔法を唱え始めた。俺の戦略は1つだ。『あいつの顔を一発ぶん殴る!!』俺はそう決意してテネフィラに向かって走り出した。
目の前には周りの5階以上のビルより大きい火魔法の玉ができていた。さっきより強力そうだ。
「消し炭になれ!!クソ人間がぁぁぁ!!!」
テネフィラが火魔法を俺に向かって放った。もう避ける体力も残っていない。やることは一つだ。あの火魔法もぶっ飛ばす。
「アリス!! 右腕を魔力でありったけ強化できるか?」
「僕は超優秀な魔女様だよ? まかせて!!」
俺の右腕がまるで超重量級の武装を付けたみたいは状態になった。流石自称するだけある。
「くらいやがれぇぇぇぇぇ!!」
俺は向かってくる火魔法を力いっぱい右腕で殴った。片腕だけだとやはり辛かったが火事場の馬鹿力ってやつなんだろうか、巨大な火魔法を貫いた。
「なっ!? わっ私の最高火力の魔法を一撃!? なっなんの一体・・・」
テネフィラは向かってくる俺に絶望の表情を浮かべ最後に言った。
『この、ばっ、、、化け物がぁぁぁぁぁ!!!!』
ーーー「うるせぇ!! 反省しろ”クソ魔女”がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は全ての力を込めて”クソ魔女”の顔に右ストレートをお見舞いしてぶっ飛ばした。”クソ魔女”は殴った勢いでビルの壁にめり込んで気絶していた。
「・・・へっ、ざまぁみろ」
俺はそこで身体の限界を迎え、その場に倒れ込み意識を失った。薄れゆく意識の中、誰かの泣き声と背の高い女性の声が聞こえたが次第に遠くなっていったーーー。
長いようで短いテネフィラとの戦闘が終わりました。
小説を書き始めて、文章を書く難しさをひしひしと感じております。
次回は新章へと繋がるお話を投稿しようと思います。
新章も色々とキャラが登場するので楽しみにお待ちください。
次回は7月7日(月)15時に公開します。