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FILE4-死と救済

こんばんは、龍河です。

今回は前回の戦闘からの続きです。そして事態が動きます。


 二階まで来ていたテネフィラによって、上ってきた階段を破壊された。これによって降りる選択肢が断たれ捕まるのも時間の問題になってきている。


 階段の踊り場で目があったテネフィラが俺のいる三階へと向かってきた。このまま建物を上り続けたらいずれ逃げ場がなくなる。なんかないか? 降りる方法・・・。


 ・・・そうだ! 非常階段!! 非常階段を探して降りよう。


 俺は三階の廊下を見渡し、壁に「非常階段→」という案内を見つけたので案内が示す方向へと走り出した。するとまた後ろから大きな爆発音が聞こえた。直感で分かる。テネフィラが三階まで来た。そしてまた階段を破壊した。そうに違いない。


「いつまで鬼ごっこを続けるのかなぁ? お姉さんそろそろ飽きたんだけどぉ?」


 三階の踊り場方向からテネフィラの声が聞こえる、今度対面したら本当に終わる。俺は案内を頼りに廊下を走り「非常階段」とプレートが貼られた扉を見つけた。


「あった!! 非常階段!!」


 俺は扉のノブを力いっぱいまわし扉を開けた。だが現実はあまりにも非情であった。扉を開けた先には


ーーー階段はなかった。


「・・・はっ?」


 俺は危うく落ちそうになる身体を建物へと引き戻し、尻もちをついた状態で扉の外を見ていた。


「なんで・・・ 階段がないんだ? 」


 俺は恐る恐る、扉の外を確認して下を見た。階段は見事にボロボロな状態で落ちていた。おそらく錆びて自然に落ちてしまったのだろう。元々誰も使用していない廃ビルだ。朽ちていてもおかしくない。


「まずい、これでは降りられない、急いで戻って別の方法を・・・」


 俺は急いできた道を戻ろうと引き返した・・・が出会ってしまった。


ーーー「鬼ごっこはもう終わったかな?」


 口は笑っているが目が全然笑っていないテネフィラが数メートル先に立っていた。


「ん~、まだ遊び、」


 俺が返答しきる前に、テネフィラが火魔法を俺の左腕に向かって放った。最初はなにが起きたのか分からず理解ができなかった。火魔法によって焼けた左腕を見た時、やっと身体が理解をして腕からまるで電流が突き抜けるような感覚とドクドクと脈打つ激しい痛みが俺を襲った。


「ああああああああああっ!! っく、、、! ぐっ・・・!!」


 俺は下唇を嚙みながら痛みを耐えた・・・痛みのキャパを超えて涙まで出てきていた。こんな痛み生まれて初めて体験したぞ、意識を失った方が幸せだったかもしれない。


「あんたのたわごとは求めてないんだよ」


「ハァ、ハァ、じゃっ、じゃあ、ひっ・・・人に返答なんて求めるなよ」


 このままじゃ本当に殺されてしまう、まっすぐな廊下にいるのはまずいと思いすぐ隣の空き部屋へと入った。中にはなにもなく武器になるような物はなかった。俺は半ば諦めたように窓へとよりかかった。


「俺もここまでかな・・・」


 左腕の痛みに耐えながら、静かな部屋に独り言をつぶやき、窓から外の光景を眺めた。外を歩いている人達はこんな廃ビルで大学生が魔女に襲われているなんて知りもしないだろうなと思った時


ーーーある物が視界に入った、俺はそれを見て賭けに出ることにした。


 考えているうちにテネフィラが部屋へと入ってきて、喋り始めた。


「まだ動けるんだね、驚きだよ」


「アホ抜かせ、視界がぼやけ始めてるんだこっちは」


「そっかそっか(笑) じゃあもう片方の腕も焼けば大人しくなりそうだね」


「・・・・はっ(笑)」


 テネフィラが俺の右手に向かって火魔法を放とうとしている時、俺はつい笑ってしまった。テネフィラは魔法を放つのを止めて怪訝な顔を俺に向けていた。


「なに? 突然笑いだして? 痛みでテンション上がっちゃったの?」


「いやぁ~すまないすまない(笑)つい笑ってしまったよ」


 俺は目の前で左右に手を振るように否定を込めてジェスチャーした。


「あんた、さっきみたいに魔法放って俺を始末すればよかったのになんで?って思ってね」


「まぁ、あんたにも少しだけこの世に別れを告げる時間をあげようって思って」

「優しいでしょ? 私?」


 テネフィラが自身満々そうな顔で俺に向けて言ってきた。


「そうだな・・・じゃあ最後に俺からあんたに一言」


ーーー『あんた、人間をなめるのも大概にしたほうがいいよ』


 俺は事前に開けていた窓を見て、背中から飛び降りた。降りた時に見えたテネフィラの顔は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。俺は窓から飛び降り『下にあるゴミの山に落下した』


 下にこのゴミ袋が大量になかったらこんな作戦は思いつかなかった。クッションがあるとはいえ流石にビルの三階から落ちるのは痛いが、窓からテネフィラが飛んで降りてくるのを見て走り出した。この路地の地理なんて分からないから直感で走っていると見慣れた場所へと出た。


「ここは・・・イヴを逃がした時の空き地!?」


 地面に落ちていた俺のリュックが目に入り確信をした、戻ってきてしまったのか・・・。俺は今来た道を引き返そうと振り向いた時、後ろから気配を感じた。


「随分、生意気なことばかりしてくれるね? そろそろ私も冷静ではいられないよ」


 そこにはテネフィラがいた、空から追っていたようだ。俺はもうたわごとを言う余裕も元気もなかったテネフィラはボロボロの俺を見て、あざ笑うような顔で言った。


「もう鬼ごっこもする気ないし、あんたに一瞬だって隙は与えないわ、だから大人しく死んで?」


 テネフィラの前には、先ほどよりも特大な火の玉が現れた。おそらく千度以上はあるのではないか、こんなの人が喰らったら間違いなく骨すら残らない温度だろう。


「大丈夫、痛みを感じることなく葬ってあげるから?」


 そういうとテネフィラは俺に向けて特大の火魔法を放った。俺はその場に立ち尽くすしかできなかった。迫ってくる火魔法に過去の光景が浮かんだ。走馬灯ってやつだろうか。


「なんもない人生だったけど最後に女の子一人助けた、これで天国への通行賃くらいにはなるかな?」


 俺は目を閉じて「死」を受け入れた。


ーーーだが火魔法がくることがなかった。俺は恐る恐る目を開けた。




 そこには『白髪の綺麗な髪が目立つ女性』が立っていた。俺は混乱したが目の前の女性は軽そうな口調で俺に話かけてきた。


「もっしもーし? うわぁぁあ 痛そう・・・大丈夫??」


これが俺の日常が終わるで出会いである。


 














 



いかがでしたでしょうか?

アマミヤの前に現れた謎の女性。この出会いがアマミヤの日常が非日常に変わる「出会い」です。


次回はこの女性についてと戦闘の終幕を書きます。

更新日時は6月30日(月)の15時を予定しています。

データ把握の為、お時間がバラバラになることをお許しください。

この、次章までには更新時間を固定します。

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