FILE0-魔女都市
初めまして、「龍河」と書いて「たつかわ」といいます。
初めての小説投稿となります。
書き方や設定に違和感や詰めの甘さが感じるかもしれませんが手探り中の為、随時改善してまいります。
よろしくお願いします。
件名:【選考結果のご連絡】ノクスインダストリアル
アマミヤ様
ノクスインダストリアル採用担当のヤマダと申します。
この度は多数の企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。
面接をもとに慎重に選考しましたところ、誠に残念ではございますが、今回はご期待に添いかねる結果となりました。大変申し訳ございませんが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
何回も見たことがある、テンプレートメールが僕の携帯端末に映し出されていた。
これで十社目の不採用通知。僕は携帯端末を閉じ部屋のベッドに寝っ転がり天井を見た。
大学4年生の夏、アマミヤはとても鬱屈とした日々を過ごしていた。
周りの友人達はテレビCMで1度は聞いたことがあるような有名企業に内定をもらったり魔女の助手になった奴もいたっけ・・・・・・なのに
「なんで俺だけ内定ゼロなのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
シングルベッドの上で一人、いもむしのようにのたうちまわり
そしてベッドから転げ落ちた。
「はぁ・・・・・・なんかアホらしい、ノド乾いた」
床から起き上がり、冷蔵庫にある飲み物を取りにいくが
そういえば昨日全て飲んでしまっていたの思い出した。
「・・・・・・はぁツイてない日だ、しゃあない買いにいくかぁ」
携帯端末と財布、鍵を持って玄関に行き、トビラを開ける。
照りつける太陽の日差しとジメジメとした不快な風が出迎えてくれた。
「うわぁ・・・・・・あっついなぁ」
携帯端末見ると都市は最高気温を更新しているようだった
はた迷惑なこったと思いながら鍵を閉めて店へと歩きだす。
魔女都市『ノクス』
俺が現在住んでいる都市である。
魔法や魔術などの超常的な力を使える種族ーー『魔女』
魔女は優れた力と知識を持っており、多くの魔女達によって目まぐるしい
発展を遂げてこの都市はできた。
この都市では近代的なホウキで空を飛ぶことは移動手段の一つとして用いられることも多く日常茶飯事である。そして生活で使用する多くの物が魔女の発明品あり人々の生活に欠かせない物となっている。
今や魔女だけでなく多くの人がこの都市に集まり生活をしているーーーーー
と大学の講義で受けた内容を何故か思い出しながら暑い外を歩いていたが気が付いたら店の前に着いていたので入店する。
俺が住む家の近くにあるコンビニで入口付近には雑誌や新聞が置いてある雑誌コーナーがあり店の中央にはスナック菓子やインスタント食品、日用品が棚に陳列されている。奥には飲料やアイスといった冷蔵品を保存するケースが置かれている普通のコンビニだ。
「あぁ~やっぱり冷房は生き返るなぁぁぁ」
照りつける太陽の日差しと絶賛更新中の気温により熱々になっていた身体がどんどんと体温を正常値へと戻していく。
若干、肌寒いなと感じながら、お目当ての飲料が置かれている冷蔵コーナーへと向かう。
「とりあえず飲み物と・・・・・・今日の夕飯になんか買っておくか」
飲料が入っている棚から数本手に取り、カゴに入れていく今日の夕飯にと即席カップ麺とレジ横に置いてあるホットスナックを数点購入して店の出口へ歩いている途中、雑誌コーナーの横に置いてある新聞が目に留まった。
都内で発行されている新聞「ノクスタイムズ」である。
普段、新聞なんて読まない俺だが時事を知ることも大切かと思い立ち読みをした。
見出し記事には『都内で起きている連続行方不明事件は魔女のしわざ?』と
目立つフォントでタイトルが載っていた。内容はこうだった。
ーーー6月 事件の始まりは学校に行った娘が22時を過ぎても帰ってこず連絡もつかないため心配した両親が治安局へ通報、捜索願を提出した。
ノクス治安局の捜査官は学校周辺や通学路を捜索したが痕跡らしいものが見つからず周辺の聞き込みを行ったが発見にいたる情報は得られず捜査は難航していた。
だが事件は終わらなかった、同月ある会社が無断欠勤を続けている社員がおり本人に連絡をしたが応答がなく仕方なく両親にも連絡をしたが訪れた形跡はなかった。不信に思った両親がその社員の住んでいるアパートに行ってみたが部屋には鍵が掛かっておりポストには新聞や手紙が溜まっていた。
両親は治安局へ捜索願を提出、治安局は同様の行方不明事件が数百件と短期間で起きていることをうけ7月に特別対策本部を発足した。
ノクスで一切手がかりのない行方不明事件が数百件!? いくらなんでも異常じゃないか?読んでいる途中で驚きを隠せなかったが、引き続き新聞を読んでいく。
7月に特別対策本部が発足後、捜査に進展があった。治安目的のために仕掛けられている監視カメラが行方不明者となっている被害者を堂々と攫っている映像が記録されていた。
その映像には通行人が多くいるが”まるでそこに人がいない”ような振る舞いをする人ばかりだった。これは魔女が使用できる魔法「認識疎外」でありここまでの強度な認識疎外となると相当な魔女であると治安局はみているとのことだ。
治安局は今回の事件を魔女による犯行と断定、「対魔女犯罪対策局」通称「魔犯」に捜査協力を要請し協力して事件解決に取り組む方針だ。
記事はここで終わっていた、魔女による誘拐事件かぁ・・・・・・ 魔女はそんなに人を攫ってどうする気だ? なにかの実験? それとも労働力目的?
「なんて、捜査官でも探偵でもないんだし俺には関係ないか」
この前見た、都市伝説系動画に影響されたなと思いながらノクスタイムズを閉じ、棚に戻してそのままお店を出た。
日が沈み夕方になっていた、この時間は昼間の暑さに比べて比較的過ごしやすい温度となる。この時間帯になると道に仕事終わりの社会人や部活終わりの学生が友人が笑いながら話す声が聞こえる。まるで事件なんて起きてないみたいだなと思いながら、俺は自宅への帰路についた。
自宅にて、先ほど購入した夕食を食べながら先ほどの事件についてなにか報道されていないか気になりほぼ置物となっているテレビを久しぶりにつけてニュースへチャンネルを変えた。
いくつかチャンネルを変えて内容を聞いたが、ノクスタイムズの記事以上の情報はなく有名女優のことや都内でイベントがあったという内容ばかりだったのでテレビを消した。
ぼーっと画面が真っ黒なテレビ画面を見ていた時、明日は大学の講義が朝早くあるのを思い出した。サボろうとも考えたが出席しといて損はないのでリュックにノートや筆記用具を入れ準備をした。
少し早いが、特にやることもなかったので風呂と寝る準備を簡単に済ませ眠くなるまで携帯端末で音楽を聴きながら眠くなるまで待った。
暗い部屋で1人、天井を見ながら寝るまでよく考えごとをしてしまう。大学4年生で内定ゼロ、毎回お祈りメールが届く日々にこんなもんかと言い聞かせながら心の内では
『自分はもしかしたら社会に必要ない存在なのではないか?』
とついつい精神的に責めてしまうこともある。いつかこの状況を変えるようなことが起きないかと他力本願的なことを思いながら眠くなってきたのでまぶたを閉じた。
ーーーーーーのちにこの対岸の火事と思っていた事件が、自分の人生を大きく変える出来事になるとはその時の自分は知るよしもなかった。
ここまで目を通していただきありがとうございます。
世界設定や主人公について、少しはお分かりいただけましたか??
話が進むごとに色々と展開を予定していますのでお楽しみにしていてください!!
魔女により繁栄した都市「ノクス」で起こっている行方不明事件。
ノクスに住む大学生-主人公「アマミヤ」にはまだ事件は対岸の火事ーまさしく「他人事」です。”まだ”
次回はアマミヤが通う大学のお話の後、分岐点へと進みます。
更新はなるべく週1で出したい思っております。