第9話 美優と影
僕たちは帝のほうを一斉に向く。
さっきまでの帝の姿はなく、神社で攻撃を仕掛けてきた和服の狐のお面をつけた少女が立っていた。
「あ、やっと気づいた?、正解は...わ・た・し♡」
お面をずらして顔をニタァ~♡と帝が奇妙な笑顔を向けてきた。その笑顔は何とも言えないほど恐ろしく背筋が凍ってしまうほどであった。
「河喜、あなたが大好きなの。私と一緒にあの方のもとで世界をあるべきすがたに戻しに行こうよ」
「あなたの親みたいに死んでしまう理不尽な世の中じゃなくてさ...」
その時、帝の体が発光し、美優と僕は吹き飛ばされた。僕は耐えることができずに壁に激突する僕は、気絶してしまった。
目が覚めると、目の前に縛り付けられた美優と横で僕を見上げている帝がいた。
自分も首に鎖がされチョーカーがつけられている。そっと顔を帝が撫でてくる。帝の手はとても冷たかった。
「はぁ~この眺め大好き♡」
目がハートになった帝がずっとこちらを見上げている。
チョーカーにつながった鎖はしっかり締め付けられているようで外れる気がしない。
帝が立ち上がり、影が2体出てきた。どこかで見たことのある見た目をしていた。あの神社の時の狐のお面の少女だ!!
気づくのが遅かったらしく、
「やっと気づいた?おそいよ、あとこの女邪魔、、死ね」
と言って美優のほうへ振り返った瞬間、帝の影から出てきた二人が美優を攻撃し腹を貫通させた。
パンッ
爽快な音と共に美優が腹を貫通させられてそのまま死んでしまった。
「うわぁ~!!」
僕は泣きもがいた。鎖がガチャガチャと音を立てる。縛られた両手首は皮膚がえぐれて血が垂れ流しになっている。それでも、もがき続けた。
「ブチッ...」
なにかが切れる音とともに僕の心の器が開いた。美優が光の粒となって僕の心に入ってきた。私のことを使いなさい。私は、あなたに力を貸します。
光が河喜を包み、3つの光が一気に放たれる。白い髪に目が赤と緑となって炎がまとわれていた。背中には剣の円陣が掲げられている。
「美優、ありがとう。」