第12話 影と力
あの男が僕の目の前から消えて、数分間、僕は生まれたての小鹿のように震えが止まらなかった。
汗がびっしょりで服が冷え、どんどん体温が失われていく。
僕がやっと動けたのはそれから30分後の話だった。僕はその場に片膝をついて、深呼吸をした。
あいつは只者ではない、今まで会ってきた2人よりも覇気の量が違う。どういうことだ、、、
僕は、震えが止まらない足を引きずりながらみんなの下に帰った。僕が疲れているのは、走りすぎたせいだと言って、みんなの気をそらした。夕飯を食べるころには、足の震えは収まり、なんとか寝床に入る。
気疲れしすぎたせいか僕はそのまま眠りについてしまった。
目を開けると暗い闇の中一つの人影が見えた、、、「母親殺しが、、、」何かの人影はその一言を吐き捨てて、目の前から砂のように消えてしまった。
ドクン、、、
僕は、目の前に浮かびだす。手の中で体温を失う母親を見ていた。その僕の顔は、無そのものだった。なぜだろうか、、、
その時、目が覚めた、僕はずっとうなされていたようで美優たちが僕の部屋に飛び込んできた。
美優「河喜大丈夫?」
刀鬼・鼬鬼「大丈夫か!!」
僕はみんなの方向を見る、僕はいつの間にかまた、涙が流れ落ちていた、、、