案件98.隠す骸
なんとコズドことアダウチオニが、黒火手団事務所を襲撃してきた!黒火手団の3人はすかさず変異して、依頼人の沼中カシューを守るように対峙した。
「黒火手団、テメェらに用はねえ。沼中カシューを寄越せ!」
「断る、貴様はもう一度留置所行きだ」
(こんなに怒ってるコズドは初めてだ!まさか―)
「よくもオレたちの事務所を!弁償しやがれぇ!!」
カネリファイヤがアダウチオニにタックルを仕掛けたが、斧の柄でガードされてしまった。
「カネリ、そのまま押さえてて!アゼルはカシューさんをお願い!」
リチャウターは両手を巨大化させて、アダウチオニをカネリファイヤごと事務所の外へ押し出した。
「ジャマをするなぁ!!」
体勢を立て直したアダウチオニは大きな斧を振り回すが、カネリファイヤはこれをかわしてアダウチオニを殴り飛ばした。
「がっ・・・!」
「これが3級になったオレ様の、ゲキアツパワーだ!!」
強大な力をもつカネリファイヤは、暴走の危険性を考慮し全力を出せないよう封印されていたが、昇格を機に封印の緩和が認められたのだ。
「コズド、どうしてカシューさんを狙うんだ!?」
「そいつがオレの・・・家族の仇の一人だからだ!!」
「何ぃ!?」
「ちがう!オレは茅公園の事件とは関係ない!!」
「カシューさん、今なんて!?」
カシューが恐怖で思わず口にした発言を聞き、黒皇が詰め寄った。
「貴様、茅公園集団暴行殺人事件の被害者が、浅刺コズドの身内だと何故知っている!?」
「!しまっ―」
その時、一同の前にクジャクの羽を模した魔法陣が出現し、身体中に眼を持つ青い闇異と、緑色でクジャクのような羽を持つ闇異が現れた。
「不滅氷とパボドレス!?」
「黒理アゼル、この前受けた屈辱を倍返しして差し上げますわ」
「テメェら!手を貸せとは言ってねえぞ!」
「僕達が黒火手団を押さえてやるから、さっさと復讐しなよ」
黒火手団がコズドたち堕悪トリオに気を取られていた時、突然カシューが闇異に変異した。火鉢の上で土下座する人形の背中に、ヒトの頭蓋骨を乗せたような奇妙な姿をしている。
「カシューさん!?」
『全員、土下座しろ!!!』
変異したカシューがそう叫ぶと、黒火手団と堕悪トリオが勢いよく一斉に土下座した。
「なっなんだこれ・・・!?」
「身体が・・・思い通りに動かない・・・!?」
一方リチャウターとアダウチオニは、土下座に抗おうと身体を震わせながらゆっくりと立ち上がったが、カシューはピョンピョン跳ねながら事務所から逃げていった。
「カシューさん・・・待って下さい・・・!」
「テメェらのせいで・・・また取り逃がしたじゃねえか・・・憤怒爆破ぁ!!!」
アダウチオニは巨大な斧を地面に叩きつけ、視界を遮るほどの大爆発を引き起こした。
「テメェら・・・いつまで土下座してやがる!沼中カシューを追うぞ!!」
「言われなくても・・・!」
「黒理アゼル・・・勝負はお預けですわ!!」
爆発で生じた煙が晴れると、堕悪トリオはいなくなっていた。同時に黒皇とカネリファイヤも土下座から解放された。
「お!身体が動くぞ!」
「沼中カシューは、土下座を強制する呪いが使えるらしい・・・」
「コズド・・・」
その後カネリは事務所のキッチンで、なんと1kgあるゼリー飲料をズゾゾゾという音を立て、一気に飲み干した。
「プハー!昼メシ完食!」
するとアゼルとボンゴラがキッチンに入ってきた。
「おうヤロウ共、準備できたか?」
「損壊した応接間の外壁は錬黒術で補強した」
「ありがとうアゼル、こっちは救世会に報告して、カシューさんの捜索が案件として通ったよ」
「沼中カシューを拘束したら聖明機関に引き渡し、茅公園事件との関係を明らかにするぞ」
「早く行こうぜ、コズドに先越されちまう!」
「慌てるな、奴が逃げる前に発信機を仕掛けた。これで隠骸と言えど、発見は黒に容易だ」
アゼルは発信機を頼りにカシューを追いながら、カネリとボンゴラに隠骸の説明を始めた。
「闇異八大属性の一つ隠骸は、頭部にドクロをもち隠密行動に長けている」
「あんみつ行動?」
「気配を消すのが上手いから、自分の目で確認しないとどこにいるかわからないんだよ」
「息を潜める隠骸は、最も感知力が高い魔眼でも簡単には発見出来ない」
「また肉体の変形は戦鬼よりも精度に優れ、人や物に擬態し体色を変えて欺く者が多い。中には自身を人や物と同化させることで、姿を隠し操る者もいる」
「アゼルもできるの?」
「昔は出来たのだがな」
「さらに呪いをかける技も得意とし、中でも死の呪いの効果は黒だ」
「化けたり呪ったり、隠骸はゲキアツめんどくせえや!」
ちなみに、アゼルこと黒皇以外で過去に登場した隠骸は、矛貫隊の諜報隊員ムックスと、超新星の一人タズネが変異するプルーヤ、聖女マナキのストーカーだったマンジロウことシャドスターである。
「発信機以外で、隠れてる隠骸を見つける方法は?」
「感知力が黒に優れた者や、大がかりなレーダーが必要だ。また攻撃や技を仕掛ける時に、隠蔽力が弱まる傾向がある。っと言ってる間に追いついたぞ」
3人は、カシューが潜伏していると思われる住宅街に到着した。閑散としており道路は石畳が敷き詰められ、立派な住宅と街路樹が立ち並び、中流家庭が暮らしている雰囲気を醸し出している。
「あの草むらから反応が」
「オレがとっ捕まえてやる!」
「カネリ生身じゃ危ないよ!」
カネリはボンゴラの忠告を無視して手入れされた草むらに飛び込むと、ガサガサと葉が激しく揺れるほど暴れ出した。
「待てこのヤロウ!」
「大丈夫!?」
すると顔に引っかき傷を負ったカネリが、暴れる猫を抱きかかえ草むらから戻ってきた。
「ンニャアアア!!」
「ネコに化けてもムダだ!」
「見せてみろ」
アゼルとボンゴラは威嚇する猫を隅々まで観察すると、額に発信機が付いていた。
「こいつはただの猫だ、放してやれ」
カネリが猫を解放すると、頭を激しく震わせて発信機を落とし一目散に逃げていった。
ボンゴラがカネリの顔に塗り薬を塗っている間、アゼルは石畳に落ちた発信機を回収した。
「あの猫は囮だ」
「発信機に気づかれたのか・・・」
「イテテ・・・カシューのヤツどこにいんだよ!」
黒火手団が、カシューの手がかりを失い途方に暮れていたその時、中学生くらいの女の子が切羽詰まった表情でやって来た。
「あなたたち黒火手団ですよね!?闇異からパパとママを助けて下さい!!」
To be next case




