案件94.黒火手団VS矛貫隊ルーキー
矛貫隊の新人隊員、リンドー、バーク、トゥエバ、ソラノは、実技試験に臨む黒火手団を迎え撃つべく作戦会議を始めた。
「相手は黒火手団、油断は禁物だ」
「おいトゥエバ、この前助けられたからって手ぇ抜くなよ」
「大丈夫ッス!むしろここで手を抜いたら失礼ッスよ!」
「さ、わたしたち4人で作戦を考えよ」
「まずは黒火手団の実力をおさらいするか」
「だったらアゼルからだな。アイツは裏で汚えことばかりしてる黒理家の元一員で、とにかく小狡いヤロウだ」
「確かアゼルくんこと黒皇は、黒くて色んな形のものを作ったり、残像出しながら素早く動いたり、煙幕や痺れる呪い、死の呪いも使えるんスよね?」
「しかも義手義足に様々な仕掛けを施している、闇異の力と機械を組み合わせるから厄介だな」
「あとは彼が持ってる剣も要注意だね、まだ制御できてないみたいだけど」
「曰く付きの剣、黒騎剣か。よっぽど黒が好きなんだな」
「黒理アゼルは素早く、多彩な技の使い手だがパワーは乏しい。それに死の呪いは、そう何度も使えるものじゃない」
「だったらアゼルは、オレとリンドーで相手するぞ。オレが正面からアイツとやり合うから、お前は援護射撃だ」
「仕方がないな、出し抜かれるなよ」
「何をするかわからないアゼル君には、バークとリンドーが適任だね」
「ならカネリちゃんは、だれが相手するんスか?」
「そらトゥエバ、お前一択だろ」
「いや自分一人じゃ無理ッス!あのコはメチャクチャ強くて、口から火を吐くし燃えるパンチはハンパないし、何よりバズレイダの英雄なんスよ!」
「確かに激熱カネリことカネリファイヤは、ケタ違いのパワーと並外れた戦闘センスの持ち主。だが今は、その強過ぎる力を制限されている」
「それにトゥエバは、真っ向勝負ならだれにも負けないでしょ?カネリさんにもきっと勝てるよ」
「あの女は単細胞だから、喜んでお前の土俵に入るだろうぜ」
「そう言われると、自信がついてきたッス!押忍!カネリちゃんは任せるッス!!」
「となると手差ボンゴラの相手は、ソラノで決まりだな」
「ボンゴラ君ことリチャウターって、わたしたち以上の浄化能力があるけど、他は手足を伸ばしたり大きくするくらいだよね」
「アゼルとカネリと比べてアイツの戦闘力は、新人にしてはやや強い程度だからな」
「ソラノは油断せず、救手ハグネードや変形する手足に注意するんだ」
「おっけー」
「これでだれがだれを相手すんのか決まったな、後は各々チャンスがあればロボットを狙うぞ」
「了解ッス!次は地図の確認ッスね」
そして30分が経過し、黒火手団と矛貫隊は全員変異してワープゾーンに入り、実技試験会場へ移動した。
実技試験の舞台は、面積が40平方km以上あり奥行きが深い大型倉庫だ。倉庫の中は積み荷や棚などの遮蔽物が多いが、出口の手前と一番奥に広いスペースがあり、そこが両者のスタート地点となる。
そして出口がロボットのゴール地点で、その手前のスペースが矛貫隊のスタート地点である。つまりロボットをゴールまで連れて行くには、矛貫隊の陣地を通らないといけない。
矛貫隊がスタート地点に到着した直後、リンドーが意識を集中させた。
「リンドー、奴らの動きはどうだ?」
「黒理アゼルはわからないが、他二人は移動してないな」
リンドーが変異する聖明師は、射撃と感知力に優れている。意識を集中すれば、遠くにいる人や闇異の気配を感じ取れるのだ。
しかしそんな彼女でも、隠密行動を得意とする黒皇の位置までは特定できなかった。
「ロボットの発信機も全然動いてないッスね」
「わたしたちを迎え撃つつもりかな?」
「全員で攻めに行くぞ。制限時間があるとは言え、アゼルに小細工する時間を与えちゃいけねえ」
「ロボットを狙えば、奴は必ず出てくるはずだ!」
一方黒火手団の3人は、倉庫の奥にある広いスペースで矛貫隊を待ち構えていた。ロボットの姿が見当たらないが、代わりに彼らの背後には錬黒術で作った黒く大きな立方体があった。
「おいアゼル、上手くいくんだろうな?」
「俺の黒な作戦を信じろ」
「!二人とも来るよ!」
黒火手団の前方から銃弾や御札が飛んできたが、リチャウターが両手を巨大化させて攻撃を防いだ。
「出たなホコヌキ隊!」
「ロボットはその黒い塊の中だな!」
「要救助者ロボットには傷一つ与えん」
「この手で守ってみせる!!」
かくして黒火手団の昇格を賭けた戦いが、火蓋を切って落とされた!
「カネリちゃん!自分と真っ向勝負ッス!!」
トゥエバがカネリファイヤに戦いを申し込んできた、当然彼女は売られたケンカを正面から買って出る。
「ゲキアツ上等!かかって来い!!」
「行くッスよ!ハァアアア!!」
するとトゥエバの全身の筋肉が一回り膨張し、自身と同じくらいの長さの金棒を持ってカネリファイヤに迫った。
『チャンプファイヤー!!!』
カネリファイヤは口から激しい炎を吐いてトゥエバを迎え撃つが、なんと彼は避けずに炎の中へ突っ込み、そのまま金棒でカネリファイヤの頭をガァンと叩きつけた。
「んがっ・・・!」
浄化エネルギーを帯びた金棒の直撃で、カネリファイヤは一瞬ぐらついたが即座にボディブローで反撃した。
「なんのぉ!!」
さらにトゥエバが左アッパーを決める、ここから両者の激しい殴り合いが始まった。トゥエバは真っ向勝負を宣言することでパワーアップする異能を持ち、格上のカネリファイヤとも互角に渡り合えるようになる。
ただし真っ向勝負中のトゥエバは回避や搦め手ができず、相手に自分と同じ真っ向勝負を強制することはできない。
一方黒皇は、黒騎剣による予測不能の斬撃で、バークの手足や胴体に深さ数センチの切り傷を負わせた。
しかしバークは気にも留めず反撃を続けた。何故なら彼は再生力に優れ、その程度の傷は10秒足らずで塞がるからだ。
一方再生力で劣る黒皇は、バークの手で触れたものを捩じ切るツイストクローを警戒し、あまり強気に攻められずにいた。
「ビビってんじゃねえよ黒モヤシ!」
「だがこの状況が続けば、先に倒れるのは貴様だ」
「そいつはどうかな?」
「!」
その時リンドーが、黒皇の横から数発の御札型の弾丸を放った。それに気づいた黒皇は、残像を伴う高速移動でその場を離れるが、御札弾は黒皇を追尾してきた。
「チッ!」
黒皇は振り切れないと判断し、黒騎剣で御札弾を全て斬り落としたが、今度はバークの腕が捻れながら伸びて襲いかかった。
御札弾に気を取られたことで回避が遅れ、バークの指が黒皇の左義手に当たってしまった。すぐさま義手を手首から切り離すと、義手はバキバキと音を立てながら捻れて鉄クズになってしまった。
(黒に迂闊!コイツ自分の身体も変形できるのだ!)
「悪ぃな、オレは捻くれてんだよ」
『救手アーム!そして救手パルマ!!』
リチャウターは、浄化の光を帯びた両手を自在に伸ばしソラノを捕らえようとするが、ソラノは攻撃をかわしながら先端に刃物が付いた自動小銃で撃ち、切り裂いて反撃した。
「だったら・・・!」
今度は、手を数十倍も大きくして上から押さえ込もうとしたが、ソラノは自動小銃の引き金を操作して発砲すると、散弾を放ちリチャウターの手をハチの巣にした。
「んぐっ!」
「ちょっと君、浄化の力に頼りすぎじゃない!?」
矛貫隊の超新星たちに苦戦する黒火手団、あと1時間以内に矛貫隊を全滅させるか、ロボットをゴールまで連れて行かないと失格になってしまう!
負けるな黒火手団!このピンチを乗り越えてみせるのだ!
To be next case




