案件83.ストップ!闇異差別
角猫闇異キャットラーの正体は、闇異根絶団のリーダーであるマモルの妻、ミサコだった。その衝撃の事実を知り、根絶団は驚きを隠せなかった。
「マモルの奥さんが・・・闇異・・・!?」
「ミサコのあの痣は私たちが原因だったのか!?そんなウソだ・・・!!」
マモルが現実を受け入れられない中、根絶団の一人ボッコが鉄パイプを構えた。
「何うろたえてんだよ、闇異はボコボコにするんだろ!」
「止めろボッコ!私の妻だぞ!」
「ふざけるな!昨日ボコってたクセに、自分のヨメだとわかったら庇うのか!?だったら俺が・・・ボコボコしてやるよぉ!!!」
なんと今度はボッコが闇異に変異した。身体は人間の時より大きく太くなり、頭部にはトゲトゲのような角を生やしている。
「闇異はみ~んな、ボッコボコにしてやるぅ!!」
「うそだろボッコ・・・!」
もう一人の根絶団ギータは、仲間が変異した衝撃で足がすくんでいた。そんな中ボッコがミサコに狙いを定めたため、マモルは思わず彼女に覆い被さった。だが正気を失ったボッコは、仲間諸共手にかけようとする。
マモルが死を覚悟したその時、リチャウターがボッコの攻撃から二人を守った。
「異救者・・・!?」
「これでわかりましたか?闇異を差別してはいけない理由が」
「大切な人や自分自身、だれもが変異できるんです!ボッコさんはおれに任せて、皆さんは避難して下さい!!」
マモルとギータはリチャウターの指示に従い、ミサコを担いでその場を去った。人気のない夜の住宅街で、リチャウターと変異したボッコが対峙する。
「お前も闇異・・・ボコボコだぁ・・・!」
(ボッコさんは昨日会った時、変異の兆候は見られなかった・・・何者かの手で闇を深められたんだ!)
そう考えながらリチャウターは、ボッコの頭部を観察し属性を見定めた。
(この人も角があるから戦鬼。ミサコさんと同じように、『救手アーム』と『救手パルマ』で対処しよう!)
リチャウターは腕を長く伸ばし、ボッコの射程外から浄化攻撃を行おうとしたが、彼に触れた瞬間リチャウターの身体に電流が走った。
「なっ!?」
ボッコは怯んだ隙にリチャウターの腕を掴み、振り回して住宅の塀に叩きつけた。リチャウターは塀を突き破り住宅の外壁に激突したが、ボッコの攻撃は止まらなかった。
「ボコボコでビリビリだあ・・・!」
なんとボッコは、自分の腹部に手を突っ込んだ。ボタボタと出血しているにも関わらず、身体の一部を抉り出すとトゲトゲがついた棍棒が現れた。
「体から武器を作った!?」
ボッコは電気を帯びた棍棒で、リチャウターに殴りかかったが間一髪で避けられた。
(もう血が止まってる、アゼルが言った通り戦鬼は再生が速い!)
リチャウターが距離を取ると、ボッコは口からトゲトゲのボールを発射し追撃してきた。
(電撃と体の一部の武器化に加え飛び道具・・・。同じ戦鬼でも、ミサコさんとはちがう!)
リチャウターはトゲトゲボールをかわしながら、接近戦を重視する闇異の属性、戦鬼の脅威を実感した。
(感電するから『救手パルマ』は使えない、『救手ハグネード』を使おうにも準備がいる。アゼルが来るまで時間を稼ぐか!?)
その時、リチャウターの後ろでガシャッと何かが倒れる音がした。
(住宅街のカーブミラー、ボッコさんの流れ弾で折れたのか・・・待てよ!)
何か秘策を思いついたリチャウターは、カーブミラーの支柱から鏡を外しボッコに向かって叫んだ。
「ボッコさん!あなたは闇異をボコボコにする気でしょうが、あなただって闇異なんですよ!」
ボッコは、リチャウターが持つ鏡に映った自分の姿を見て、驚き戸惑いながら自分の身体に触れて確認した。
「お・・・俺も・・・闇異・・・!?闇異は・・・ボコボコにするぅ!!」
そう言ってボッコは、棍棒で自分の頭を叩き始めた。リチャウターの作戦は成功し、その隙に『救手ハグネード』を準備した。
「すみませんボッコさん。ですが、この手で救ってみせる!『救手ハグネード!!!』
リチャウターの両手から放たれた光の渦が、ボッコを浄化し元の姿に戻した。その時ちょうど、傷ついた黒皇が駆けつけた。
「アゼル!どうしたのそのケガ!?」
「途中でシルバーランクに遭遇し、撃破に手間取った。キャットラーはどうした?」
「ああ、それが―」
その後ミサコとボッコは聖明機関の医療施設に預けられ、翌日目を覚ましたと知った黒火手団と根絶団は、二人が入院している部屋に訪れた。
「ミサコ!!」
マモルは思わず彼女に抱きつき、涙を流しながら謝罪をした。
「ミサコ、すまなかった。お前を守ると言いながら私は・・・!」
「わたしの方こそごめんなさい。急にこの力に目覚めてから抑えられなくなって、あなたにも相談できなかった・・・」
マモルと同じ根絶団のボッコとギータも、自分たちがやってきたことの愚かさを実感したような顔をしていた。
「アンタらはこれからどうすんだ?」
「闇異根絶団は、今日をもって解散するよ」
「俺も自分が変異するなんて、夢にも思わなかったから・・・」
「なら我々は、どうすればよかったのだ?」
愛する妻を守るために根絶団を結成したが、本末転倒になってしまったマモルに対し、ボンゴラは優しく諭した。
「奥さんだけでなく、身近にいる人たちを大切にして下さい。そして、その輪を広げて下さい。それがきっと、闇異に対する抑止力になるはずです」
「・・・そうか、それでよかったのか」
闇異根絶団解散を見届け、医療施設を後にした黒火手団は、ルニエルから本案件の採点を受けていた。
「今回のMVPはボンゴラです!九字代ミサコと 木詰ボッコを救済し、闇異根絶団を改心に導いたため、300点追加されます!」
「まあ当然の結果だな」
「二人とも他の人を傷つけてないし、力を封印したらすぐ退院できるから本当によかった」
「続いてアゼルとカネリは本案件の達成に協力し、道中で悪堕者を撃破した功績から、アゼルは123点、カネリは55点追加されます」
「何でお前の方がスコア多いんだよ!」
「お前が倒したのはブロンズランク、質の問題だ」
「でも気になるのは、ミサコさんとボッコさんが急に変異したことだよね」
「それより俺が気になるのは、お前の体調だ」
ボンゴラの顔は少し血の気が引いていて、少し汗をかいていた。
「ほんとだ、顔色ちと悪いぞ」
「さっさと帰宅するか」
「そうだね・・・事務所に・・・もどろう―」
ボンゴラはまるで糸が切れた人形のように倒れかかったため、カネリが身体を支えた。
「こんなとこで寝るなよ」
「待て、様子がおかしい!」
ボンゴラはさっきよりも顔が青ざめ、息遣いが荒くなっていた。彼の身に何があったのだろうか!?
『スコア早見表』
黒理アゼル(初級)
12860点(+123)
激熱カネリ(初級)
12627点(+55)
手差ボンゴラ(初級)
12591点(+300)MVP
スコア100億点以上で救世主になれる!
まずは1万点以上を目指し、3級試験に合格せよ!
To be next case




