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案件80.闇異八大属性

 コズドが脱走してから2日後、とある悪堕者(シニステッド)のアジト内でコズドとケラシルが言い争いをしていた。


「このスカシ野郎!もう一度言ってみろ!!」

「無意味な復讐に熱くなってウザいんだよ、マジ冷めるわ」


 怒りが頂点に達したコズドが斧を振り上げ、ケラシルが指先から冷凍光線を放とうとしたその時、ラビライザが乱入して両者に素早い蹴りを入れた。


「がっ!」

「うっ!」

「お止めなさい二人とも!今は無駄な戦いをしている場合ではなくてよ!」


「先日からゴールドランク入れ替え戦が始まり、その参加資格はポイント10万点以上の所持。そして手っ取り早く稼ぐには、大規模な悪事を実行し得る人材が必要不可欠」


「そこで!二人は(わたくし)の『下僕』となり、ゴールドランク昇格に協力なさい!!」


「ふざけるなクジャク女!」

「勝手に決めないでくれる?」


「まあそれは残念!下僕となった見返りに、二人が望むものを差し上げようと思ったのに。ご家族の仇の情報とか」

「!」


 それを聞いたコズドが、ラビライザの話に食いついてきた。


「サエラ氏からあなたのことは聞いてますわ。茉由瑠院(まゆるいん)財団の情報力をもってすれば、その程度のことを把握するのは容易いこと。悪い話ではないでしょう?」


「・・・信用できねえな」

「少なくとも(わたくし)は、あなたの実力を買ってますわ」


「僕はパス、他人とつるむなんてマジ冷めるし」

「待て!まだテメェを叩き割ってねえぞ!!」

「あなたも無駄な戦いをお止めなさい!」





 一方黒火手団(くろびてだん)は先日の戦いの傷を癒やし、キッチンのテレビで今の情勢を見守っていた。


『この度はアダウチオニをはじめ、収監中の闇異(ネガモーフ)の脱走を許してしまい、大変申し訳ございませんでした』


『今度はどのような対策をお考えですか?』

悪堕者(シニステッド)のスパイがいるという噂は、本当なのですか?』


『スパイの件についても、現在我々幹部と各隊で対応を協議しており、決まり次第発表致します』


『昨日、八聖衆(はちせいしゅう)の一人であり聖明機関(せいみょうきかん)最高司令官を務める吉屋(よしや)ドマン氏が、霧明隊(きりあけたい)支部襲撃事件を受け記者会見の場で謝罪しました』


『この事件の主犯は悪堕者(シニステッド)の模様で、付近のショッピングモールで起きた火災との関連が強く疑われています』


『モールは全焼しましたが異救者(イレギュリスト)たちの健闘で、逃げ遅れた人たちの命に別状はありませんでした』


『またアダウチオニ同様、霧満山(きりみやま)事件で逮捕されたリベルバーは、霧明隊(きりあけたい)支部が崩壊しても留置所に留まっていました』


『もう復讐を果たしたから脱走の必要はないと供述しており、別の支部へ移送されました』


『最近悪堕者(シニステッド)が再び活発化しています。闇異(ネガモーフ)を目撃した方は、異救者(イレギュリスト)及び聖明機関(せいみょうきかん)に通報をお願いします』


 テレビを見ていたカネリとボンゴラは、悔しそうな顔をしていた。


「オレたちがもっと早く来てたら、コズドも取り逃さなかったのに!」

「まだまだ、力が足りていない・・・」

「そろそろ始めるぞ」




 3人は応接間に移動すると、カネリとボンゴラがソファに座り、アゼルはホワイトボードの前に立ち話を始めた。


「今後シルバーランク以上の強敵に対抗するには、自身の鍛錬だけでなく闇異(ネガモーフ)に関する知識も(ブラック)に重要だ。まずはその基本の一つ、【闇異(ネガモーフ)八大属性】について復習するぞ」


闇異(ネガモーフ)、ハチダイゾクセイ?」

「学校で習ったけど、ちょっと自信ないな・・・」


闇異(ネガモーフ)の姿と能力は千差万別だが共通点があり、これが8種類あることから八大属性と呼ばれている」


「属性に応じて強化される能力と、得意とする技の系統が決まり、頭部の特徴で見分けることが可能だ。次は各属性の特徴を簡潔に説明する」


 そう言いながらアゼルはホワイトボードの中心に『属性』と書き、それを囲うように絵と文字を書き出した。


「まずは戦鬼(ウォーガ)、この属性の闇異(ネガモーフ)は頭部に角を生やし、力と速さが強化され、接近戦に有利な技を得意とする」


「次は魔眼(イビルガン)、3つ以上の眼をもち射撃戦と感知能力に優れている」


妖翅(ルシフェザー)は頭部に羽が生じ、時空に干渉する技を使いスピードに特化している」


災暴(ディザボロ)は頭部からオーラを絶えず放出し、トップクラスの攻撃力を誇る」


冥塞(タルタロック)は頭部が装甲で覆われ、堅牢な結界を張るなど防御に秀でている」


隠骸(ナバトム)は頭部に髑髏があり、隠密行動や死の呪いに長けている」


邪司(ジャミネート)は冠を被り、分身や洗脳など厄介な異能の使い手だ」


「最後は萬怪(チミモリィ)。先述した7属性にはない特徴をもち、能力は平均的で様々な技を使う。ここまで(ブラック)に理解出来たか?」




 アゼルの話を真剣に聞いていたボンゴラに対し、カネリは首をかしげたまま口を開け、上の方を見ていた。


「段々思い出してきたと思う・・・」

「ならば俺達3人の属性を答えてみろ」


黒皇(ブラックレクス)は頭に骸骨の模様があるから隠骸(ナバトム)で、カネリファイヤは頭が燃えてるから災暴(ディザボロ)、リチャウターは・・・萬怪(チミモリィ)?」

「全問正解だ」


「属性を把握すれば、敵の戦闘スタイルと弱点をある程度予測できる。ただし油断は禁物だ」


「そしてカネリ!お前は理解するまで(ブラック)な補習だ!」

「え~!?覚えらんねえよ!」

「アゼルがおれたちのために説明してるんだから、ちゃんと理解しようよ」


「全くそんな基本も知らずに、よく今まで戦えたものだ!」

「オレ様はゲキアツ強いからな!」


「話変わるけど、闇異(ネガモーフ)の属性は人助けでも役立つよね」

「そうだな、より多くの人を救うため、属性に応じた役割分担も重要だ」


「これからは代表として、判断できるようにしないといけないな・・・」

「良い心掛けだ、だが不明な点があれば参謀の俺を頼れ」


 その時、応接間に設置された黒電話がジリリと鳴り、ボンゴラが受話器を取った。


「お電話ありがとうございます、黒火手団(くろびてだん)手差(てざし)ボンゴラです。・・・えぇ!?わかりました、すぐ向かいます!」


悪堕者(シニステッド)か!?」

「いや、武装した一般人が、闇異(ネガモーフ)と戦ってるって!」



To be next case

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