案件79.新たなる強敵たち
強敵ツリットルアットを倒した束の間、コズドが収監されている聖明機関霧明隊支部が悪堕者に襲撃されていることが発覚した。
他の異救者たちがショッピングモールで起きた火災の対応に追われる中、黒火手団は戦いの傷を癒やす間もなく霧明隊支部の応援に駆けつけた。
「そんな・・・!」
「チッ、遅かったか・・・」
カネリファイヤとリチャウターが先ほど訪れた霧明隊支部は、建物のほとんどが崩落し隊員たちは傷つき倒れていた。
「おいアンタ、しっかりしろ!」
「悪堕者め・・・火事で手薄になった時を、狙いやがった・・・!」
「コズドや他の闇異はどうなりましたか!?」
「オレはここだぞ」
黒火手団が振り返ると、巨大な斧を構え封印の枷を外したコズドが姿を現した。
「コズド・・・!」
「テメェ以外にブチこまれてた連中はどこだ!?」
「さあな、それよりオレはテメェらを待ってたんだ。豚箱にブチこんだ恨みを込めて、叩き割ってやろうとなあ!!!」
コズドがアダウチオニに変異したため、黒火手団が迎え撃とうとしたその時、別の方向から孔雀の羽根に似た刃物が十数本飛んできた。
刃物は全て黒火手団に命中したが、幸い大したダメージではなかった。
「ぐっ!」
「だれだ!?」
両者の前に現れたのは2人の男女だった。男性の方は冷たい目で不敵な笑みを浮かべ、レンズが青白い眼鏡をかけている。
一方女性の方は、緑色のチャイナドレスを纏い孔雀の羽根のような扇子を持ち歩いている。さっきの不意打ちは彼女の仕業のようだ。
「テメェら・・・何しに戻ってきた?」
「興味が湧きましたの、あなたを二度も退けた黒火手団とやらに」
「君があの程度にやられたとか、マジ冷めるわ」
どうやら2人の男女とコズドは知り合いらしい。さらに眼鏡の男性の左胸ポケットとチャイナの女性の左耳には、アダウチオニと同じ銀色のタグを装着していた。
「テメェらもシルバーランクか!」
「テメェとは失礼ですわね、私の名は茉由瑠院ラビライザ。人呼んで、『堕悪令嬢』!」
「だあくれいじょう!?」
「悪堕者を援助する秘密結社、【茉由瑠院財団】の者か」
「御名答、そして堕悪令嬢とは悪を極めし淑女のこと。悪堕者を足がかりに悪の頂点に君臨するのは、この私でしてよ!!」
ラビライザは扇子を広げオーホッホッホと高笑いを上げ、一同はその様子にドン引きした。
(何だこいつ?)
(何なのこの人?)
「チッ、相変わらずイカれた女だぜ」
アダウチオニが悪態をついていると、今度は眼鏡の男性が口を開いた。
「彼女の主張はともかく、君たちはよく人助けなんて下らないことができるよね」
「なんだと!?」
「救世主やスコアというエサに釣られて、弱い人間たちに媚びを売る姿を見ていると寒気がするんだよ。はあ・・・可哀想を通り越して、マジ冷めるわ」
異救者たちを冷たく嘲笑う眼鏡の男性の発言に、黒火手団の3人は不快感を露にした。
「おっと、自己紹介がまだだったね。僕は氷草ケラシル、つまらない情熱を冷ましてやるよ。変異」
「では私も挨拶代わりに、変異」
ケラシルとラビライザが闇のオーラに包まれ、闇異へと姿を変えた。ケラシルは青を基調とするボディで、身体の各部位に眼のような器官が備わった怪物と化した。
一方ラビライザは緑がメインのボディで、頭部に孔雀の羽飾りを付け両腕に翼を生やした闇異に変異した。
「二人とも!無理せず応援が来るまで時間稼ぎを―」
「できると思って?」
次の瞬間ラビライザは、目にも止まらぬスピードで黒皇を蹴り飛ばし、そのダメージでアゼルに戻ってしまった。
「アゼル!!」
ラビライザは再び瞬間移動し、仰向けに倒れたアゼルの腹部を足で踏みつけた。
(この俺が見切れなかった・・・なんて黒なスピードだ!)
「理解していただけたかしら?綺雀闇異:パボドレスの華麗なるスピードを」
「このヤロウ!!」
カネリファイヤはケラシルに殴りかかったが、まるで余裕ぶった態度で攻撃をことごとくかわした。
「ゴリ押しとかマジ冷める、君も零晶闇異:不滅氷の敵じゃないね」
「だったら『チャンプファイヤー』!!!」
不滅氷は至近距離からの火炎放射もかわし、カネリファイヤから大きく離れた。
「暑苦しいのは苦手なんだよね、これで冷ましてやるよ」
不滅氷の人差し指をカネリファイヤに向けると、指の先端から目玉が現れ瞳が輝き出した。
『チャンプファイヤー!!!』
『魔氷結凝砲』
不滅氷の指先から放たれた一筋の光線が、『チャンプファイヤー』に風穴を空けてそのままカネリファイヤを直撃し、周囲の瓦礫ごと彼女を氷漬けにした。
「カネリ!!」
「他所見してんじゃねえ!『復讐果断』!!!」
リチャウターは、アダウチオニの恨みを凝集した斧の一撃で胴体に深い傷を負い、ボンゴラに戻り倒れてしまった。
アダウチオニが斧を振り上げボンゴラにとどめを刺そうとするが、留置所にいた時の彼の真っ直ぐな眼差しと言葉を思い出した。
(おれはこの手で君を救いたい、そのためには知らないといけないんだ。君がこれまで受けてきた苦しみや、先代聖女暗殺事件の全貌を)
「・・・フン」
アダウチオニはとどめを刺すのを止め、コズドに戻った。
「あら、とどめは刺しませんの?」
「もう恨みは晴らした」
「帰るぞ。あんなザコ共、殺す価値もねえ」
「勝手に仕切るなよ、僕も冷めちゃったけどさ」
「ご機嫌よう黒火手団、またお会いしましょう」
不滅氷とパボドレスも元の姿に戻り、怪しい道具を取り出すと異空間への入口が現れた。
一方ボンゴラは、傷つきながらもコズドに向けて手を伸ばしていた。
「待て・・・コズド・・・!」
「手差ボンゴラ、オレは必ず復讐を果たす。邪魔をするなら、今度こそ叩き割ってやるぞ」
そう言ってコズドたちは異空間の中へ消えていった。新たなる強敵が出現し、コズドは脱獄した。果たして黒火手団は、悪堕者の魔の手から人々を救うことができるのだろうか!?
『スコア早見表』
黒理アゼル(初級)
12743点(+550)
激熱カネリ(初級)
12580点(+600)
手差ボンゴラ(初級)
12296点(+500)
スコア100億点以上で救世主になれる!
まずは1万点以上を目指し、3級試験に合格せよ!
To be next case




