表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/98

案件78.卑劣な釣り人

 燃えるショッピングモールの中、黒皇(ブラックレクス)悪堕者(シニステッド)に苦戦を強いられていた。相手はコズドと同じシルバーランクで、呪いが効きにくい上に防御が厚く、傷一つつかないのだ。


「ハァ・・・ハァ・・・!」

「ゴキブリみたいに黒くてしぶとい奴だ」


 彼らの近くには、逃げ遅れた人を結界で守る異救者(イレギュリスト)がいて、息が上がっている黒皇(ブラックレクス)を心配そうに見つめていた。


「大丈夫か!?やっぱり加勢したほうが―」

「貴様等は被災者に集中しろ!!」


(ここで退けば被災者の命は無い!黒殺刑(ブラックエンド)を使うべきか!?)


 その時、モールの窓ガラスが突然割れて何かが飛び込み、黒皇(ブラックレクス)の一歩手前の床に突き刺さった。


「何だ!?」

「これは・・・黒騎剣(ブラックナイト)!?」


 黒騎剣(ブラックナイト)は、かつて特定危険呪物だった【血黒(ちぐろ)の鎧】の本体であり、政村(まさむら)呪物館で起きた怪事件を解決した礼として手に入れた。


 切れ味は鋭いが、コントロールできないため実戦で使えずにいたが、主の危機を察し自らの意志で馳せ参じたようだ。


「・・・使えと言いたいのか」

「剣が増えたぐらいで!」


 悪堕者(シニステッド)が迫り来るが、黒皇(ブラックレクス)はすかさず黒騎剣(ブラックナイト)を床から抜き、すれ違いざまに敵を斬り裂いた。


「ぐあああああ!!!」


 『錬黒術(ブラックアルケミー)』で作った武器が通用しなかった悪堕者(シニステッド)に、初めて有効なダメージを与えられた。しかし同時に、近くの柱に深い切り傷を与えてしまった


(・・・まだ制御はできないが、被災者と味方を巻き込まなければ!!)




 同じ頃リチャウターは、モールから数km離れた3階建てビルの屋上で、シルバーランクのツリットルアットと彼の分身たちと戦っていた。


「どうだすごいだろ、ルアーくんの疑似餌分身は」

「今まで戦ってきた分身とは、一味ちがうぞ」


 ツリットルアットが操る人型の疑似餌分身は、指だけでなく身体中に鋭い釣り針を備えていた。リチャウターが『救手(すくいて)パルマ』を放つために直接手で触れると、釣り針が刺さってダメージを受けてしまうのだ。


(100体近い分身が相手じゃ身がもたない!こうなったらダメージ覚悟で、『救手(すくいて)ハグネード』だ!!)


 リチャウターが『救手(すくいて)ハグネード』の構えに入った直後、ツリットルアットの右手に装着した釣り人の人形が釣り竿を振り、リチャウターの鼻に釣り針を引っ掛けた。


「いっ!」


 そしてツリットルアットが勢いよく釣り竿を振り上げると、リチャウターが空中に高く放り上げられ、今度は釣り竿を思い切り振り落としリチャウターを床に叩きつけた。


「うああ!!!」


「大技は使わせないぞ」

「やるねえ釣りくん」


 ダメージが蓄積したリチャウターは、おぼつかない足取りでゆっくりと立ち上がった。


「・・・お前はどうして、こんなことをするんだ?」


「ん?」

「え?」


「どうして人を傷つけ苦しめるだけでなく、人助けを邪魔するんだ!?彼らがお前に何をした!?こんなことをして何の意味があるんだ!?」


「「う~ん・・・」」


 リチャウターの必死の問いに対し、ツリットルアットは両手の人形を使って考えるしぐさをした。


「別の恨みとか、特に深い意味はないよ」

「他人が傷つこうが苦しもうが、ボクたちの知ったことじゃないしね」


「「自分さえよければ、他人なんてどうでもいいじゃないか」」

「・・・・・!!」


 リチャウターは静かに怒りが込み上げていた。ツリットルアットの抑揚のない発言から、こいつは心の底から他人に興味が無く、傷ついても苦しんでも何も感じないのだと理解した。


「釣りくん、そろそろシメようか」

「そうだねルアーくん、これでポイントゲットだ」


 疑似餌分身がリチャウターに一斉に襲いかかってきた、絶体絶命のピンチである!!




『チャンプファイヤー!!!』


 と思いきや、突然放たれた火炎放射で疑似餌分身たちは消し炭になった。あまりに急な出来事で、リチャウターとツリットルアットは目を見開いた。


「待たせたな!カネリファイヤ、ゲキアツ参上!!」


 リチャウターの背後から、カネリファイヤが姿を現した。


「カネリ!」

「なぜここがわかった!?」


「俺が(ブラック)な天才異救者(イレギュリスト)だからだ」


 そう言って黒皇(ブラックレクス)が、背後からツリットルアットの首を斬り飛ばした。


「アゼル!」

「こうなることを想定して、お前達に発信機を渡して正解だった」


「お前のメカも、たまには役に立つよな!」

何時何時(いつなんどき)も役立っているんだよ!」


「二人ともありがとう!もうダメかと思った・・・」

「いや、まだ終わってないぞ」


 黒皇(ブラックレクス)の言う通り、疑似餌分身たちの動きは止まらず、頭部を失ったツリットルアットがゆっくりと立ち上がった。


「よくもやってくれたな・・・!」

「魚のエサにしてやるぞ!」


「・・・どうやら奴の本体は、両手に装着した人形らしい」

「頭はかざりなのか!?」


「ボンゴラ、『救手(すくいて)ハグネード』は使えるか?」

「それくらいの余裕はある!」


「俺とカネリは活動時間が残り少ない、お前の必殺技で(ブラック)に決めろ」

「守りはオレたちにゲキアツ任せな!」

「頼んだ!」


 リチャウターが『救手(すくいて)ハグネード』の構えに入り、黒皇(ブラックレクス)とカネリファイヤは疑似餌分身たちを蹴散らしていった。


「釣りくん、奴の必殺技を止めるんだ!」

「任せてルアーく―」


 その時黒皇(ブラックレクス)の素早い斬撃が、ツリットルアットの右手を切断した。


「釣りくーーーん!!」

「アゼル下がれ!巻き込まれるぞ!」


 ついにリチャウターが、必殺技を放つ時が来たのだ。


「お前たちの無情な心、おれがこの手で浄化してみせる!『救手(すくいて)ハグネード!!!』」


 ツリットルアットは逃げようとするも間に合わず、切断された右手ごと光の渦に飲み込まれてしまった。


「うわあああああ!釣り糸が身体に絡まるぅううううう!!!」


 ツリットルアットの肉体は次第に削ぎ落とされ、釣り竿とルアーに姿を変え落下した。と同時に疑似餌分身たちは、動かなくなり小さな人形に姿を変えた。


「アイツら人間じゃなかったのか!」

「かつての黒騎剣(ブラックナイト)と同様、呪物が変異して生まれた闇異(ネガモーフ)だ」

「だから人間味が薄かったんだ・・・」


「それどうする?」

「この釣り竿セットは、後日Mrシャルドに寄贈してやろう」

「あ!また緊急案件の通知だ」


 勝利の余韻に浸る間もなく、3人がスマホ画面を確認すると驚くべき内容が記されていた。


霧明隊(きりあけたい)支部が、悪堕者(シニステッド)に襲われてる!!?」


To be next case

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ