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案件71.黒(ブラック)な失態

 人質を救出した第48班は、エスクディアンたちの応援に駆けつけたが、3人はタツマことビッグタツマに敗北してしまった。


「ツドウさん!ハズミさん!ヨブローさん!」

「フン、あんなガキどもに負けるとは、使えない手下どもだ」


 そう言ってビッグタツマは、第48班の方へ歩いていった。ビッグタツマは生身よりもさらに筋肉が発達して、頭部と両肩に大きな角を生やしている。


黒理(くろすじ)家の天才児とバズレイダの英雄、そして浄化ができる・・・」


「リチャウターだ!」

「オレを英雄って呼ぶんじゃねえ!」


「はいはいわかったよ。だが特級でも敵わないこの私に、学生が勝てるとでも?」

「Mrツドウが鉱山の封印に力を割かなければ、貴様如きに負ける筈がない」


「シャラ~ップ!言い訳など見苦しい、勝利こそが全てなのだ!生意気な口を叩くガキどもはお仕置き―」

黒呪毒(ブラックベノム)!!』


 黒皇(ブラックレクス)はビッグタツマが話している途中で、顔に黒い液体を浴びせて怯んだ隙に、漆黒のサーベルで首を切り裂き血を噴き出させた。


「貴様には(ブラック)が足り―」

 

 しかしビッグタツマの切られた首が瞬く間につながり出血が止まると、すかさず反撃を仕掛けたが黒皇(ブラックレクス)は紙一重で躱した。


(ブラック)な再生力、しかも呪いに抵抗力があるのか!)

「躾のなってないガキだ!」


 今度はリチャウターの『救手(すくいて)アーム』がビッグタツマの両足を封じ、その隙にカネリファイヤが『チャンプファイヤー』を放ちビッグタツマの上半身に浴びせた。


 ところがビッグタツマは、激しい炎に焼かれ両足を掴まれたまま走り出し、リチャウターを引きずりながらカネリファイヤにボディーブローを食らわせフッ飛ばした。


「ブヘッ!!」

「カネリさん!」


 リチャウターは今度、黒焦げになったボディに手を当て『救手(すくいて)パルマ』を叩き込んだが、ビッグタツマは怯むことなくリチャウターの頭を掴み投げ飛ばした。そして黒焦げの上半身が崩れ落ちて、新しい皮膚が再生していた。


「こいつ・・・!」

「ゲキアツ強え・・・!」


「当然だ、シンテージを使い闇を熟成させた私は、無敵!最強!!完璧なのだっ!!!」


 ビッグタツマが、自分の強さを誇示するように奇妙なポーズを取っていると、黒皇(ブラックレクス)が再び奇襲を仕掛けた。今度は背後からサーベルで一突きにするが、頑強な背筋で刃が通らず刀身が折れてしまった。


「クッ!」

「おいおい、黒理家(くろすじけ)の天才はこの程度なのか?どうやら再起不能になって、追放されたという噂は本当らしいな」


「え!?」

「あ!?」

「黙れ貴様ぁ!!!」


黒幻自在ブラックイリュージョン!!!』


 認めたくない事実を突きつけられた黒皇(ブラックレクス)は激昂し、残像を伴う高速移動を行いながら、折れたサーベルでビッグタツマを斬りまくった。


 しかし彼の再生力の前では焼け石に水、動きを見切られて裏拳を食らい、壁に激突してしまった。


「あぐっ!」

「アゼルくん!」


 カネリファイヤとリチャウターが、黒皇(ブラックレクス)に駆け寄り介抱した。


「しっかりしろアゼル!」

「ここは力を合わせよう!」

「必要ない!お前達落ちこぼれは引っ込んでいろ!!」


 冷静さを欠いた黒皇(ブラックレクス)は二人を振り払い、たった一人でビッグタツマに挑むも、投げつけたクナイは腕で弾かれ、首根っこを掴まれてしまった。


「随分ムキになっちゃって、図星だったかな?」

「黙れ・・・!」

黒死令(ブラックコール)!!』


 黒皇(ブラックレクス)は一か八か、まだ完全に使えてない必殺技を放った。だがビッグタツマには何の効果もなかった。


「今、何かしたか?」

「くっ・・・!」


 今後はカネリファイヤが殴りかかってきた。ビッグタツマは黒皇(ブラックレクス)を投げ捨てると、彼女を迎え撃つ構えに入った。


 カネリファイヤが激しい肉弾戦を繰り出すも、再生力で上回るビッグタツマの猛攻で逆に押されてしまった。


『バーニングストレート!!』


 カネリファイヤの必殺パンチがボディにヒットするが、内部を焼き尽くす炎ですらビッグタツマを止められず、蹴り飛ばされてしまった。


「フン、口ほどにもな―」


 その時ビッグタツマは、リチャウターが『救手(すくいて)ハグネード』の準備が完了したことに気づいた。


「この手で救ってみ―」

『ビッグタツマ・ドローップ!!!』


 『救手(すくいて)ハグネード』より先に、ビッグタツマの必殺ドロップキックが決まった。リチャウターは反撃すらできず地面に倒れ、第48班も窮地に立たされた。


「済まないねえ、私が強く完璧な存在で」


「さて、お前もシンテージのモルモットにしてやろう。妹よりもっと深い闇を味わうのだ」


 そう言ってビッグタツマはシンテージを取り出し、黒皇(ブラックレクス)に投与しようとしたが、満身創痍のバンブーオーが彼を羽交い締めにして阻止した。


「タツマぁ!!」

「そんなにお望みなら、お前にくれてやる!」


 ビッグタツマは羽交い締めを振り解き、バンブーオーのボディにシンテージを打ち込んだ。


「ヨブローさん!!」

「Mrヨブロー!!」


「み、みんな・・・逃げるんだ・・・!」

「おのれ貴様ぁーーー!!!」


 黒皇(ブラックレクス)は自身の不甲斐なさと、ビッグタツマへの怒りで感情が爆発し、折れたサーベルの刀身から『黒呪毒(ブラックベノム)』が噴き出し、ビッグタツマのボディを斜めに斬り裂いた。


「そんなことをしても、無駄!無駄!!無駄ッ!!?」


 その時、ビッグタツマの動きが止まり膝をついた。


「なっなんだ!?身体が・・・痺れる・・・!?」


 カネリファイヤとリチャウターは、突然の出来事に戸惑いながらも体勢を立て直した。


(俺の呪いが効いてる!?)

「アイツを倒すゲキアツチャンスだ!」

「それよりヨブローさんを何とかしないと!」

「ボンゴラの言うとおりだ」


 4人の前に、深手を負ったエスクディアンとガニューズメントがやって来た。


「今のおれたちじゃ奴を止められない、一度撤退しよう」


To be next case

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