表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/90

案件67.三つ巴ライバル

 8月下旬、ボンゴラが初めて闇異(ネガモーフ)に変異して1週間くらい経ったが、第48班の繋がりはさらに険悪になっていた。


 救世主を目指すアゼルとカネリは、ボンゴラを新たなライバルと認め対抗心を燃やし、彼を睨みつけながら朝食を食べていた。


「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・あのさあ、ご飯の時くらいはゆったりしようよ」


「随分余裕だな手差(てざし)ボンゴラ、浄化出来るからと言って調子に乗るんじゃない」

「そうだぞボンゴラ!お前に助けられた恩はあるが、救世主の座はやらねえからな!」


「救世主の座はやらないだと?お前も(ブラック)に偉くなったな」

「文句あんなら表出ろ、ゲキアツに燃やしてやるぜ!」

「食事中にやめてよ二人とも、・・・はあ、最近いつもこうだ」


 アゼルとカネリは外で組手を始め、ボンゴラが呆れながら見守っていると、ツドウとハズミがやってきた。


「おはよう!朝から組手とは精が出るね!」




 アゼルとカネリの組手が激しさを増す中、ボンゴラはツドウに48班の現状を説明した。


「なるほど、二人の対抗心にさらに火がついたのか」

「変異したばかりの、おれにですよ?」


「無理もありません、浄化は対闇異(ネガモーフ)戦において絶大な威力を発揮します。実戦経験と闇の深さで劣る貴方が、二人と互角に戦える唯一の力です」


「同時に、また後輩のライバルが増えましたね、ツドウさん」

「だよね~」

「ツドウさんも救世主を目指してるんですよね、何も思わないんですか?」


「おれはむしろ嬉しいかな、同じ夢に向かって進む仲間が増えて」

「ライバルであり仲間ですか、そう思える関係になれれば・・・」


 その時、組手を終え汗だくになったアゼルとカネリが戻ってきた。


「特級異救者(イレギュリスト)め・・・余裕も(ブラック)だな」

「アンタもいつか必ず、ゲキアツギャフンと言わせてやるぞ!」

「なら二人も早く、特級(ここ)まで上がっておいで」


「ツドウさん、そろそろ本題に入りましょう」

「そうだね、確認だけど3人は、もう進路を決めたかい?」

「「「進路?」」」




 特例を除いて異救者(イレギュリスト)になるためには、専門の学校で3年間学び、国家試験を合格して、チームに入団しなくてはならない。

 

 この時期、3年生の多くが志望するチームの内定を獲得し、国家試験に向けて勉学に励んでいる。


 ツドウは、まだ内定が決まってない学生のためにインターンを開き、課題をクリアすれば彼が代表を務めるノゾミモチの、傘下のチームの内定が得られることを約束した。


「そう言えば、考えてる余裕がなかったな・・・」

「う~ん・・・じゃあノゾミモチで!」

「ノゾミモチは対象外だぞ」


「その通り、我々ノゾミモチは、各傘下の実力者から厳選される精鋭中の精鋭。貴方のような落第寸前者が、過程を踏まずノゾミモチに入団することは私が許しません」


 カネリのノゾミモチを軽んじるような発言が、ハズミの怒りに触れてしまい圧をかけられて、カネリは何も言い返せなかった。


「ごめんね、おれは盾男(たておとこ)として忙しいから、一から育てるひまがないんだ」

「ですので、ツドウさんが直々に指導して下さるこの機会を無駄にせず、心から感謝して下さい」


 そう言ってハズミは、アゼルとボンゴラにも言い聞かせた。


「あ、ありがとうございます・・・」

「話を戻すが、俺の第一志望はマデット、第二志望はガッツメイトだな」


「残念ながらマデットやガッツメイトなど上位のチームは、新人の募集を既に終えています。スペイクなどはまだ枠が空いていますが」

「スペイク!?そんな知名度の低いチームに、俺が釣り合う筈がないだろう!」


 アゼルがハズミと口論になっている間、ボンゴラは自分の進路について考え始めた。


(救世主を目指すなら、より多くのスコアを稼ぐチームに入るのが一番だ。でも大手のチームは倍率高いし、アゼルくんが言う通り既に枠が埋まってるだろう・・・)


「なら君たちで、新たなチームを結成するのはどうだい?」


 ツドウの提案を聞いたアゼル、カネリ、ボンゴラの3人は、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をした。


「俺達」

「3人で」

「組むってこと!?」


「ざっけんな!オレはこんな黒モヤシとゲキアツ組まねえぞ!!」

「何故(ブラック)な天才である俺が、脳筋雌ゴリラと組まねばならんのだ!!」


「でもツドウさん、新しいチームには3人以上が必要な他、2級以上の異救者(イレギュリスト)が代表にならないといけないと習いましたが・・・」


「ノゾミモチの傘下に入れば、初級でも結成できるよ。さらに案件が多い地域に配属できるし、特殊案件も斡旋するからスコアを稼げるよ」


 さっきまでいがみ合っていたアゼルとカネリが、スコアを稼げると聞き急に動きを止めた。


「あくまで選択肢の一つだから、よく考えといて。用はそれだけだからまた後でね」


 そう言ってツドウは、ハズミと共にその場を去って行った。




「おれたちで新しいチームを作る・・・か」


(有力なチームの内定が期待できず、弱小しか残ってないなら、稼ぐチャンスのある新チームの結成は得策かもしれん・・・)


「・・・お前らとは組まないからな!」


 果たして第48班それぞれの進路は、一体どこに決まるのか!?


To be next case

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ