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案件6.この手で救ってみせる

 事件の黒幕アノニナゴを追い詰めた黒火手団(くろびてだん)だが、うかつに動けないでいた。

 何故なら、依頼人ククリを人質に取られてしまったからだ。

 

「テメェ…!」


 カネリファイヤが、顔に血管を浮かべながらアノニナゴをにらみつける。

 その時、ククリがかすかに意識を取り戻した。


黒火手団(くろびてだん)のみんな・・・迷惑ばかりかけてごめんなさい・・・」

「わたしに構わず・・・アノニナゴを倒して下さい・・・!!」

「黙れこのガキ!」


「・・・それは出来ません」

「言ったはずです、必ずあなたをこの手で救ってみせると」


 どんな困難が襲いかかろうとも、決して人助けを諦めない。

 それが黒火手団(くろびてだん)なのだ。


「キレイごとをほざいても―」


 その時、黒皇(ブラックレクス)がアノニナゴの背後に現れサーベルを振りかざす。目の前にいる黒皇(ブラックレクス)は、黒幻自在ブラックイリュージョンで作った残像だった。


 アノニナゴは本物に気づき後ろを振り向くが、そのスキにリチャウターが腕を長く伸ばした。


救手(すくいて)アーム!そして―

救手(すくいて)パルマ!!』


 ククリの腹部に当てたリチャウターの手が、光り輝く波動を放った。

 波動はククリの身体を通り抜け、アノニナゴの身体から勢いよく噴き出しダメージを与えた。


「バっ、バカなっ・・・!」


 アノニナゴはよろめいてククリを手放し、リチャウターがすぐさま彼女を抱きかかえその場から離れた。


「これで遠慮なくテメェをぶん殴れるぜ!」


 カネリファイヤの右拳が炎に包まれ燃え盛り、アノニナゴに殴りかかる。


『バーニングストレート!!!』

「ぐわああああ!!!」


 燃え上がる拳がボディにめり込んだ瞬間、アノニナゴの身体は炎上し爆発した。




 その後アノニナゴこと、比暮(ひぐらし)ワルフィーは逮捕され、奪われた金品は持ち主の元へ返された。


 操られた人々は元の姿に戻り、自ら進んで強盗に加担したり、命を脅され仕方なく協力するなど事情は様々だが、それぞれに相応しい罰が与えられる。


 黒火手団(くろびてだん)の三人は、ヤスエ邸でククリたちと再会した。


黒火手団(くろびてだん)の皆さん、ムーンジュエルを取り返していただきありがとうございます」

「私も助けていただきありがとうございます、そしてだましてごめんなさい」

「ヤスエさんや護衛の皆さんも、ご迷惑をいっぱいかけてごめんなさい」


「ククリは5年間、ヤスエばあちゃんの家事手伝いして罪を償うんだろ、がんばれよ!」

「お父さんの件、おれたちもできる限りのことはします」

「その必要はありません、治療費は私が払います」


 ヤスエが父の治療費を肩代わりすると聞き、ククリと黒火手団(くろびてだん)は大きく驚いた。


「ヤスエさん!?」

「まだ若いあなたに、父親を失う悲しみを負わせたくないと、約束しましたからね」


 父親が助かると知ったククリは両目から涙がこぼれ、黒火手団(くろびてだん)は安心した表情を見せた。


「本当に・・・本当に・・・ありがとうございます!」

「わたし絶対・・・罪を償って・・・この恩を返します!!」




 ククリを見届けた黒火手団(くろびてだん)は、事務所を目指し夜の街を歩いていた。


「ククリと父ちゃん、よかったな!」

「ククリさんの罪も、重くならなくてよかったね」

「むしろよく、あの程度で済んだものだ」


 その時、三人の目の前に、羽が生えた小さな子どものような何かが現れた。


「ルニエルだ!」

「お待たせしました、原ククリ氏の案件完了による獲得スコアを発表します!」


 ルニエルは、異救者(イレギュリスト)を管理し支援する【救世会(きゅうせいかい)】の使者である。

 異救者(イレギュリスト)の活動内容を報告し、その内容を救世会(きゅうせいかい)が採点して、異救者(イレギュリスト)に伝えるのだ。

 救世主になるには、100億点以上必要だと提示したのも救世会(きゅうせいかい)である。


「きたきた!」


 カネリは期待に胸を躍らせ、アゼルは不敵な笑みを浮かべ、ボンゴラは息を飲んだ。


「まず、原ククリが依頼した案件そのものは、正当な内容ではないため0点とします」

(この案件を鵜呑みにしたら、俺達も犯罪者になってたかもな・・・)


「ですが事の真相を知り、首謀者アノニナゴの撃破と、原父娘の救済につながったことが評価されました」


「よって三人には、それぞれ200点ずつスコアが与えられます」

「よっしゃあ!」


「またカネリとボンゴラは、徳良(とくよし)ヤスエの家事代行案件を途中まで完了したため、両者に10点追加されます」

「さらに徳良(とくよし)ヤスエを庇い、原ククリを説得したカネリには、50点追加されます」


「どうだアゼル、救世主になるのはこのオレだ!」

「図に乗るな」

(ククリさんは罪を犯してしまったけど、ヤスエさんに会えたからお父さんを助けられた)

(でも、他に手はなかったのかな?)


「そしてアゼルは情報収集によって真実を暴き、アノニナゴ撃破と原父娘の救済に最も貢献したことが評価され、MVPボーナスで150点追加されます」


「ナニぃいいい!!?」

「フッ、当然の結果だ」

「オレがMVPだろ!身体を張ってククリを説得したんだぞ!」


「なお、ヤスエ邸でムーンジュエル強奪を阻止していれば、カネリがMVPでした」

「ぐっ!」

「惜しかったね、次がんばろう」


「獲得スコアの発表は以上になります、お疲れ様でした!」


 役目を終えたルニエルは、一瞬で姿を消した。

 こうして黒火手団(くろびてだん)の三人は、また一歩救世主に近づいたのだ。




 一方、彼らの様子を遠くから見ている謎の人物がいた。

 闇のオーラと同じ、薄暗い水面に浮かぶ油のような虹色の髪をしており、邪悪な笑みを浮かべている。


「あれが黒火手団(くろびてだん)か」

「ワルフィーの奴、せっかく力を与えてやったのに捕まりやがって」

「まあいいさ、こっからとんでもねえ『闇深案件(やみぶかあんけん)』が始まるんだからよぉ!」


 人々はまだ知る由もなかった、これから起こる出来事が世界を一変し、新たな救世主が生まれる始まりであることを―




『スコア早見表』

 

黒理(くろすじ)アゼル ・・・411点(+350)MVP


激熱(げきあつ)カネリ ・・・318点(+260)


手差(てざし)ボンゴラ・・・269点(+210)


スコア100億点以上で救世主になれる!


To be next case

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