表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/91

案件49.思わぬ助っ人

 話は遡りロックとダリエが下山を開始した頃、異救者(イレギュリスト)たちの前に怪しい雰囲気のデアンがやって来た。


「デアンさん?」

「まさかテメェがスパイか!?」


 カネリは戦闘態勢に入るが、アゼルは彼女の肩を掴み制止させた。


「待て、こいつは悪堕者(シニステッド)ではない」

「ついに草丘ダリエが動いたんだな、坂登(さかと)デアンいや・・・」


成須磨(なりすま)ムックス」


 するとデアンは、眼鏡を外し変装マスクを剥がして正体を現した。


聖明機関(せいみょうきかん)矛貫(ほこぬき)隊の、ムックスさん!?」


「お主たちの親友(マブダチ)か?」

「わからん!」

「そんなバナナ!」


 カネリのボケに対し、グロンカは『そんな馬鹿な』という意味であろうツッコミを返した。


 聖明機関(せいみょうきかん)とは、凶悪な闇異(ネガモーフ)や悪質な異救者(イレギュリスト)を取り締まる、異救者(イレギュリスト)のエリートである。


 デアン改めムックスは、その中で名高い矛貫(ほこぬき)隊の諜報員で、アゼルが悪堕者(シニステッド)に寝返ったふりをして潜入した頃に知り合った。


「どうしてあなたがデアンさんに?」

「事情はアゼルさんが知ってます。他の遭難者とグロンカさんはボクに任せて、ロックさんとダリエさんを追ってください」


小谷(こたに)ロックの衣服に発信機を仕込んでおいた、通信妨害されていても5km以内なら追跡可能だ。30秒以内に準備しろ」




 5月5日20時33分、黒火手団(くろびてだん)の3人は闇異(ネガモーフ)に変異し、先程までビバークしていた洞穴を出発した。


「お主たち、気をつけるのじゃぞ」

「グロンカさん、行ってきます」


 アゼルこと黒皇(ブラックレクス)は、左義眼で発信機の位置を特定できるため、暗い霧の中でも迷わず進むことができた。


「アゼル、ムックスさんはどうしてデアンさんに変装していたの?」

「まず坂登(さかと)デアンは登山の3日前、草丘ダリエが悪堕者(シニステッド)と内通していることを偶然知り、聖明機関(せいみょうきかん)に通報した」


「その頃聖明機関(せいみょうきかん)は、悪堕者(シニステッド)が各地域で暗躍する目的を調査し、成須磨(なりすま)ムックスは坂登(さかと)デアンに扮し奴等の動向を探っていた」


「今頃本物の坂登(さかと)デアンは、自宅待機中だ」

「じゃあこの山に、ホコヌキ隊の連中が!?」


「ああ、通信妨害等を対策した上で、作戦を決行しているはずだ」


「いつムックスさんの変装に気づいたの?」

「この山で初めて会った時からだ」


「草丘ダリエに勘付かれないよう、密かに情報を共有した」

「万一勘付いたら、復讐を強行すべく何をしでかすかわからないからな」


「他の遭難者に危害が及ぶ可能性がある、だからお前達にも口外せず泳がせた」


「水くせぇぞ!オレ達がゲキアツ信用できねえのか!?」

「お前は(ブラック)に隠し事が下手だから、秘密にせざるを得なかったのだ!」


「しょうがないよカネリ。それとダリエさんは、どうして悪堕者(シニステッド)に手を貸したの?」

「その説明は、こいつ等を片付けてからだ」


 黒火手団(くろびてだん)が何かに気づき立ち止まると、十数人の悪堕者(シニステッド)が待ち構えていた―




 回想は終わり、5月5日21時40分、黒火手団(くろびてだん)悪堕者(シニステッド)たちの妨害を突破してロックを救出し、ダリエことリベルバーと対峙していた。


「ダリエさん、あなたの事情は知っています。この後ロックさんの悪事は暴かれ、厳しい罰が与えられます。もう十分でしょう」


「十分?部外者が知ったような口を利かないで下さいよ・・・!」


 リベルバーは静かに怒りを燃やしながら、右腕の銃をロックに向けた。


「その人を返して下さい、異救者(イレギュリスト)と言えど容赦しませんよ」

「それ以上ヤるっつーなら、オレたちが相手になってやるぜ?」


「だったら、オレも相手になってやるよ」


 霧の中から、強敵コズドことアダウチオニが大きな斧を担いで姿を現した。


「コズド・・・!」

「派手な音がする方へ行ってよかったぜ、今度こそ恨みを込めて叩き割ってやる!」


「だがその前に、エサがいるな」


 アダウチオニはヒトリバコを取り出し蓋を開けると、ロックがヒトリバコに吸い込まれそうになったため、リチャウターは彼を抱き抱えたまま背を向け飛ばされまいとした。


「このヤロウ!!」


 カネリファイヤがアダウチオニに殴りかかろうとする中、リベルバーがリチャウターを狙い連続で発砲したため、黒皇(ブラックレクス)が素早い剣技で銃弾を全て撃ち落とした。


「ボンゴラ!俺達が足止めする間に、ヒトリバコから離れろ!!」

「わかった!」


 次の瞬間、リチャウターは側頭部に銃弾を受けてしまい、そのショックでロックを手放してしまった。


「しまった・・・!」

「うわあああぁぁぁ・・・!!」


 リチャウターは意識が朦朧としながらも、ロックに手を伸ばすが間に合わず、アダウチオニが持つヒトリバコに吸い込まれてしまった。


「馬鹿な!?撃ち漏らしは無かったはずだ!!」


 黒皇(ブラックレクス)は辺りを見回すと、霧の中に小さな影が2つあることに気づいた。その正体は、宙に浮く回転式拳銃だ。


「チッ!奴の分身か!」


 リベルバーは回転式拳銃のような分身を操り、リチャウターに奇襲を仕掛けたのだ。


 アダウチオニはカネリファイヤを蹴り飛ばした後、ロックが入ったヒトリバコの蓋を閉じた。


「コイツがいる限り、テメェらは逃げられねえよなあ?」


To be next case

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ