表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/90

案件29.矛貫(ほこぬき)隊支部へ

 4月28日10時26分、廃棄食品消失事件を解決したカネリとボンゴラは、聖明機関(せいみょうきかん)のモズロウとリンドーに連れられ、彼らの拠点へ訪れた。


「ここが僕たちのホーム、聖明機関矛貫せいみょうきかんほこぬき隊支部だよ」


 矛貫(ほこぬき)隊支部は神社のような立派な建物で、瓦屋根がついた塀に囲まれ門には鳥居のような建造物がある。


「変なところに住んでるなあ」

荘厳(そうごん)だと言え!」


「まさか二人が、矛貫(ほこぬき)隊の隊員とは・・・」

「そう言えば言ってなかったね」


「もう少し歩くよ、隊長は奥で待っている」




 モズロウに案内されカネリとボンゴラが執務室に入ると、そこには10人近い隊員が待ち構えていた。


 彼らは二人を好奇や警戒の目で見ており、ボンゴラは緊張気味だがカネリは全く動じていなかった。


「隊長、黒火手団(くろびてだん)を連れて来ました」


 モズロウがそう言うと、黒髪で厳しい目をした青年が近づいてきた。


「ご苦労だったな。モズ、リンドー」


「やっぱり・・・矛貫(ほこぬき)オスタ隊長・・・!」


 ボンゴラはオスタを前にして息を飲んだ。


「あーオレもそんな気がしたぜ」

「お前知らないだろ」

「知らん!」


 リンドーはカネリの知ったかぶりをすぐ見抜き、怒涛の勢いで説明を始めた。


矛貫(ほこぬき)オスタ隊長は!矛貫隊(アタシたち)を率いる有能な指揮官であり、聖明機関(せいみょうきかん)の急先鋒として数多くの難事件を解決した特級異救者(イレギュリスト)なんだぞ!!」


「さらにお前たちの元締めである盾守(たてもり)ツドウのライバルで、今は1万点近い差をつけられているがすぐに―」


「リンドー、余計なことは言わなくていいんだよ!」

「失礼しました!隊長!」


 オスタの呆れながらの叱責を受け、リンドーは素直に沈黙した。


「・・・本題に入ろう黒火手団(くろびてだん)。お前たちの一員である黒理(くろすじ)アゼルが、悪堕者(シニステッド)に寝返った疑いがある」


「アゼルがっ!?」

悪堕者(シニステッド)に!!?」


「何かの間違いではないんですか!?」

「アイツは黒理(くろすじ)家の案件を受けてるはずだ!」


黒理(くろすじ)アゼルと別れた経緯はモズから聞いている、だが一応確認だ」


「『ルール』、質問に対し嘘偽り無く答えろ」

「お前たちも悪堕者(シニステッド)に寝返ったのか?」


「ちがいます」

「なワケあるか!」


「!?口が・・・勝手に!?」


 オスタの質問を受け、カネリとボンゴラは自分の意志と関係なく答えたため、少し混乱した。


「人にルールを強制する、これが隊長の力だ」


「お前たちがシロなのはわかった、次はお前たちが質問する番だ」


「アゼルが寝返ったという話について、詳しく教えて下さい!」


「事の発端は27日19時過ぎ、黒皇(ブラックレクス)に酷似した闇異(ネガモーフ)悪堕者(シニステッド)と共に街を襲撃し人々をさらった。まだ公にはなってないがな」


「ソラノ、見せてやれ」

「はい!」


 茶色で髪が長い女性隊員常平(つねひら)ソラノは、スマホを取り出し証拠となる動画を見せた。


「見た感じ黒皇(ブラックレクス)だけど・・・」

「ニセモノだろ!」


 その時、執務室に電話が鳴り響きモズロウが応対した。


「隊長、悪堕者(シニステッド)が現れました。数はおよそ40人だそうです」

「久々の大規模テロか、矛貫(ほこぬき)隊出動だ!」


「オレたちも行くぞ!」

「アゼルに会えるかもしれません!」


「俺達の邪魔はするなよ」




「闇の赴くままにぃ!!」


 真っ昼間から悪堕者(シニステッド)が街で暴れ、ヒトリバコを使い人々を捕まえていた。


「今日は大漁だぜ、38人ゲットだ!」

「何だその程度か、オレは54人だ」


 二人の悪堕者(シニステッド)がヒトリバコを見せびらかしていると、伸びる手に両方奪われてしまった。


「なにっ!?」

「だれだ!!」


黒火手団(くろびてだん)だ!みんなをこの手で救ってみせる!!」


 11時16分、黒火手団(くろびてだん)矛貫(ほこぬき)隊が現場に到着し、リチャウターは『救手(すくいて)アーム』でヒトリバコを回収した。


「ゲッ、黒火手団(くろびてだん)矛貫(ほこぬき)隊だ!」

「心配するな、こっちには切り札がある」


「やい異救者(イレギュリスト)!俺達に手を出したら、箱の中の連中を握り潰すぞ!」


 そう言って悪堕者(シニステッド)たちは、ヒトリバコを取り出し異救者(イレギュリスト)たちを牽制した。


「ゲキアツ汚えマネしやがって!」

(瓦礫で足を隠し、救手(すくいて)レッグで奪い取ろう!)


「『ルール』、民間人への攻撃を一切禁じる」


 オスタの聖明師(せいみょうじ)が放った言葉が、悪堕者シニステッドの動きを封じた。


「なんだ!?」

「手が動かない!?」


「今だ!ヒトリバコを全て回収しろ!!」


 リチャウターは救手(すくいて)アームで、モズロウの聖明師(せいみょうじ)は高速飛行でヒトリバコを奪っていった。


「これで全部!」

「全員、攻撃開始!!」


 人質を取り返した異救者(イレギュリスト)たちが反撃を開始した。黒火手団(くろびてだん)矛貫(ほこぬき)隊は仲間同士で連携し悪堕者(シニステッド)を次々撃破していく。


「奴を狙えぇ!!」


 10人の悪堕者(シニステッド)がオスタ一人に狙いを定めたため、リンドーの聖明師(せいみょうじ)が加勢しようとした。


「隊長!」

「連携を崩すな!俺一人でいい」


 そう言ってオスタは鋭く立派な矛を右手で構え、悪堕者(シニステッド)たちを瞬く間に細切れにし撃破した。




 一方カネリファイヤとリチャウターは、逃げた悪堕者(シニステッド)を追い路地裏に入った。


「どこ行ったアイツ!?」

「見つけたら、アゼルについて聞いてみよう!」


「その必要はない」


 二人の前に、黒皇(ブラックレクス)が姿を現した。


「「アゼル!!?」」


 アゼルが悪堕者(シニステッド)に寝返ったのは、事実なのか!?


To be next case

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ