案件22.リチャウターVSアダウチオニ
街のはずれにある廃ビルの地下に悪堕者のアジトがあり、そこでサエラがコズドを探し回っていた。
「コズド見てねえか?」
「アイツなら出ていったよ、盾野郎を叩き割るとか言ってさ」
「え~、しょうがねえなあ・・・」
同じ頃、アゼル、ボンゴラ、ツドウの三人はワープゾーンでアジトの近くに到着し、異救者に変異した。
「今入った緊急案件によると、アダウチオニと思われる闇異が街で暴れてて、応援を要請してるよ」
「黒に考えれば、人々の奪還とアジトの破壊が優先だが・・・」
「おれが行きます」
リチャウターが自ら率先して、アダウチオニに対処すると提案した。
「無謀だぞ」
「無茶はしない、二人がみんなを取り返しここに来るまで時間を稼ぐんだ」
「それにさっきの戦いでコズドは、アゼルに刺された傷より救手パルマを受けたところを押さえていた。おれの技が有効なんだと思う」
「リチャウターには聖女様ほどじゃないけど、浄化の力があるからね」
「・・・すぐに追いつく」
「ボンゴラ、気をつけて」
「みんなのこと、お願いします」
リチャウターは二人と別れ、アダウチオニの下へ向かった。
夜の街はあちこちで煙が立ち、サイレンが鳴り響き騒然としていた。
アダウチオニが街で暴れ、異救者たちを返り討ちにしていたからだ。
「出て来い盾野郎!!恨みを込めて叩き割ってやる!!」
その時撃破された異救者たちが、長い腕をした大きな手に掴まれ次々と遠くへ運び出された。
救手異救者リチャウターが、現場に到着したのだ。
「この人たちをお願いします」
「すまん、頼んだ!」
リチャウターは軽傷の異救者に負傷者を任せ、アダウチオニと対峙した。
「浅刺コズド、おれが相手だ」
「舐めてんのかテメェ・・・!」
リチャウターは平手で構え、アダウチオニは大きな斧を構え向かい合う。
そして間もなく、両者は接近し戦いが始まった。
アダウチオニは斧を縦に振り落としたが、リチャウターは紙一重で右に避け左脇腹に狙いを定めた。
『救手パルマ!!』
『怨衣!!』
アダウチオニは赤紫のオーラを纏ってリチャウターの技を軽減し、裏拳で反撃するが後ろに避けられてしまった。
追撃しようとするも、左脇腹が痛み攻撃を一時休止した。
「チッ・・・!」
(・・・コズドは元々闇異の攻撃や呪いに耐性があって、あのオーラを纏うことでさらに強くなっているんだ)
(バーニングストレートが効かなかったのも、きっとそれが原因だ!)
(でも浄化の力があれば、あの防御を打ち破ることが出来る。動きが遅いから、少しずつ削って時間を稼ごう!)
リチャウターは無理に攻めず、攻撃をかわし受け流すことを優先し、隙あらば救手パルマで反撃を続けた。
アダウチオニは攻撃が当たらない上、ちまちまダメージを与えられて苛立ちを募らせていた。
「叩き割る前に、吹き飛ばしてやる!!」
アダウチオニは斧にオーラを流し、『憤怒爆破』の構えに入った。
『救手アーム!!』
リチャウターは両腕を長く伸ばし、アダウチオニの両足を掴んだ。
「フンッ!」
そのまま力強く引っ張ると、アダウチオニは体勢を崩し後ろに倒れ始めた。
「なっ!?」
『憤怒爆破』は中断され、アダウチオニは仰向けに転倒した。
「この野郎・・・!!」
軽傷の異救者は、負傷者を手当しながら戦いの様子を見守っていた。
「黒火手団の実力者は、カネリファイヤだけじゃないのか・・・!」
アダウチオニは起き上がり、苛立ちながら考えを巡らせた。
(このまま埒が明かねえ・・・奴の動きを止めるには・・・!)
その時、自分が持っているある物で、現状を打破できると確信した。
「動くな!動けばコイツらの命はねえぞ!!」
「それはっ!?」
アダウチオニはヒトリバコを取り出し、閉じ込められた人々を人質にとった。
「・・・アジトに持ち帰ったんじゃないのか?」
「だったら見せてやるよ」
アダウチオニがをヒトリバコを少し開けると、中から数人の一般市民が現れその中にウロがいた。
「くろびてだん!」
「ウロ君!」
リチャウターは『救手アーム』で一般市民を助けようとするが、アダウチオニがヒトリバコを閉じ再び開けたことで、人々は吸い込まれてしまった。
「くっ!」
「これでわかったか、絶対に動くなよ?」
「一度でも動けば箱を握りつぶす、中の連中もつぶれるからな」
「向こうにいるテメェらも!手ぇ出したらわかってるな!?」
「うぅ・・・!」
アダウチオニは、離れた場所にいる傷ついた異救者たちにも警告し、ゆっくりとリチャウターに近づいた。
「今まで食らった分の恨みを込めて、じっくり痛めつけてから叩き割ってやる!」
人質を取られてしまったリチャウター、ここから逆転は出来るのか!?
To be next case




