表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/92

案件14.カネリ、風邪をひく

 4月17日朝5時2分、なんとあの激熱(げきあつ)カネリが風邪をひいてしまった。

 自室のベッドで横になり、顔を真っ赤にして鼻水を垂らし、ゲホゲホと咳き込んでいる。


 アゼルとボンゴラはマスクを着用し、カネリを介抱していた。


「体温42.9℃、(ブラック)に風邪をひいたな」

救世記念祭(きゅうせいきねんさい)の日に風邪をひくなんて残念だね」


 これ程の高熱であるにも関わらず、二人が落ち着いて対応しているのは、カネリの平熱が40℃だからである。


 闇異(ネガモーフ)の力に目覚めると、生身の肉体に影響を及ぼすことがあり、カネリは常人よりも熱さに強くなっているのだ。


「うるせぇ・・・絶対に行くぞぉ・・・絶好の稼ぎ時だろがゲホッゲホッ!」

「そんな身体じゃ無理だよ、また来年もあるから」

「そもそもシャドスター案件以降、無謀な数の案件を引き受けたからだ」


 アゼルとボンゴラに1000点以上差をつけられたカネリは、追いつこうと1週間不眠不休で案件をこなし続け、そのツケが回り体調を崩してしまった。


 家事代行、ゴミ拾い、土木バイトのヘルプなど死に物狂いで働き、90点前後のスコアを獲得したが、記念祭の運営サポート案件は最低でも100点である。


「風邪の原因は、過労による免疫力低下だな」

「色んな人と関わったから、うつされたのかも」

 

「おれ残るよ、カネリのことほっとけないし」

「本気で言ってるのか?」


「ボンゴラ・・・オレに構わず行けよ。マナキに会いたいんだろゴホッ!」

「そうだけどさ・・・」


「行けっつってんだろ!さもないと・・・カゼうつしてやるぞ!!」


 カネリはボンゴラの前で、わざと激しく咳き込んだ。


「わかったよ!でももし体調が悪くなったりしたら、すぐ連絡するんだよ」

「薬や食料を宅配で送ってやる、後で換金してもらうからな」

「・・・どうも」


 異救者(イレギュリスト)は、手持ちのスコアをお金に換えて生活費を確保する。

 1点で1000イェンもらえるが、お金をスコアに換えることはできない。


 5時23分、病気のカネリを事務所に残し、アゼルとボンゴラは会場へ向かった。

 宅配を待つカネリは、ベッドで静かに目を閉じた―




 8時11分、アゼルとボンゴラは既に聖地ルニジールに到着し、記念祭の準備の説明を受けていた。


「襲撃予告!?」

「いつどこから現れるかはわからない」


「君たちは不審者や怪しいものを発見したらすぐ報告してくれ。そして襲撃予告はくれぐれも他言しないように」


 説明が終わり、スタッフたちは記念祭の準備に取りかかった。


 聖地ルニジールの面積は『東京都』より少し狭く、中央に記念碑が立っているだけの広大な平地だが、記念祭の期間中はメインステージや多種多様な屋台が設置され、多くの人で賑わうのだ。


「こんな状況で祭りを始めて大丈夫なの?」

「かと言って中止にすれば、テロリストの思う壺だ」


「むしろこれ程の精鋭達を前に、襲撃が成功するのか(ブラック)に怪しいぞ」

「100周年だからね、去年とは比べ物にならないスタッフの数だ」


 アゼルとボンゴラが周りに目をやると、数多くの名高い実力者や話題沸騰の新人異救者(イレギュリスト)が参加していた。


(所持スコア5千万以上の『英雄アルテマン』に、チーム合計で8千万以上の『ゴーセイバー』、邪霊族(じゃりょうぞく)を壊滅させた『祓魔師(エクソシスト)ロゼザリア』、錚々(そうそう)たる面子が来ているな・・・)


「『異世界人タズネ』に、『魔異少女隊(まことしょうじょたい)エブリマジー』だ。おれたちの同期で有名な異救者(イレギュリスト)も結構来てるね」


「何も起こらければいいけど・・・」




 9時37分、カネリは悪夢にうなされていた。


『カネリ!こんなことも出来ないのか!それでも黒理家(くろすじけ)の人間か!』

『落ちこぼれめ!兄のアゼルとは大違いだ!』


 カネリは幼い頃の夢を見ていた。優れたスパイを輩出する黒理家(くろすじけ)に生まれたが、不器用なカネリは家の方針に合わず肩身の狭い思いをしていた。


 みんなを見返そうと必死に努力したが、報われることはなかった。


『カネリ、お前のような出来損ないは不要だ。黒理家(くろすじけ)から追放する』

『待てよ、勝手に決めんな!オレはまだ―』


「こんなもんじゃねえ!!!」


 カネリは叫ぶと同時に、ガバっと起き上がり夢から覚めた。


「・・・クソッ、ヤなこと思い出した・・・ん?」


 カネリは自分の身体の違和感に気づいた、熱と咳がおさまっている。

 なんとたった4時間近く寝ただけで、風邪が完治したのだ。恐るべき生命力である。


「いよっしゃーーー!激熱(げきあつ)カネリ、ふっかーーーーーつ!!!」


 その時、ちょうど事務所のインターホンが鳴った。


「お、アゼルが頼んだヤツだな!」


 治ると同時にお腹を空かせたカネリは、急いで玄関を開けた。


「お疲れー・・・ホタビ!?」

「もしかして・・・カネリ!?」


 配達員の女性温屋(ゆたかや)ホタビは、カネリの知り合いのようだ。




 10時5分、カネリはホタビが届けた3日分のレトルトお粥やうどん、豆腐、バナナ、スポーツドリンクなどを全て平らげ、お腹がパンパンになった。


「ふいー、食った食った!」

「大きくなったねカネリ、こんなところで会えるとは思わなかった」


「ホタビは仕事サボって大丈夫なのか?」

「好きな時間にやるバイトだから、気にしなくていいよ」


「・・・ごめんねカネリ、あの時何も出来なくて」

「気にすんな、もう過ぎたことだ」


「それよりお前、今どうしてんだ?」

「わたしは看護師の勉強をしながら、さっきみたいなバイトをしてるの」


「そっか、夢は変わってねえんだな」

「カネリも救世主の夢、変わってないんでしょ?」


「たりめぇよ!【レッカさん】と約束したからな」

「懐かしいねレッカさん、【バズレイダ】にいた頃を思い出すなあ―」


 ホタビが語るカネリの過去、バズレイダとは、そしてレッカとはどのような人物なのか!?


To be next case

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ