案件1.我ら黒火手団(くろびてだん)!
ルニディムが亡くなってから、およそ100年がたった。
とある国の高層ビルに囲まれた広場で、人々が平和を満喫している。
人類は長い年月をかけ、文明の再建に成功したのだ。
しかしその中でただ一人、様子のおかしい人物がいた。
「リア充どもめぇ・・・」
男は苛立ち、身体には禍々しいオーラがまとわりついている。
オーラは薄暗い水面に浮かぶ油のような虹色で、見るからに危険な雰囲気だ。
「爆発しろぉおおお!!!」
男は叫ぶと同時に禍々しいオーラにのみ込まれ、爆弾のような頭の怪物に変異した。
「オレの名はリアフルボム!リア充は爆発しろぉ!!」
リアフルボムと名乗る怪物は両手から爆弾をばらまき、爆発で広場の地面に大穴を開け、高層ビルの外壁を吹き飛ばした。
「キャアアア!」
「闇異だあああ!!」
人々の平和は一瞬で打ち砕かれ、パニックになり逃げ惑う。
救世主ルニディムは、己の命の犠牲にして人類滅亡を阻止したが、闇の根絶までには至らなかった。
闇に取り憑かれた人が、【闇異】という怪物に変異し暴れ回る。
リアフルボムは、満たされた人々に嫉妬する男の成れの果てなのだ。
「お前らも爆発しろぉ!」
リアフルボムは、近くにいた男女のカップルに爆弾を放った。だがその時、
『救手アーム!!』
カップルの目の前に、巨大な手が現れ爆発から守ったのだ。
「なにっ!?」
巨大な手が小さくなり、白いボディにピンクのマフラーを巻いた、新たな怪物が現れた。
「この手で、救ってみせる!!」
「なんだお前は!?」
この白い怪物は【異救者】。闇異でありながら、その力で人助けをする者たちである。
リアフルボムは次の瞬間、身体から炎を放ち右半身にアザがある異救者に、背後からボディをつかまれた。
「オレ達は異救者の!」
炎の異救者は勢いをつけ、リアフルボムを上空へ放り投げた。
さらに黒いコートをまとい、ガイコツのような顔の異救者が高く飛び、
「黒火手団だ!!」
と言いながら、刀身が黒いサーベルでリアフルボムを一刀両断した。
黒い異救者が空中から一瞬で着地すると同時に、リアフルボムが大爆発を起こした。
薄暗い虹色の爆発の中から、男が現れ落ちてゆく。
リアフルボムは撃破されたことで、闇の力を失い元の人間に戻ったのだ。
そして白い異救者が、両手で彼を受け止めた。
先程のカップルを含む広場の人々は、黒火手団と名乗る三人の異救者を称賛した。
「ありがとう!」
「助かった!」
「新人か!?」
戦い終えた黒火手団は、身体にヒビが入り崩れ落ちるように人の姿へ戻った。
「こいつの迎えが来るまで俺が黒に監視する、負傷者の手当と瓦礫の撤去は任せたぞ」
リアフルボムだった男を拘束している少年は、黒い異救者の正体、黒理アゼル。
冷静かつ知的な印象で、黒いジャケットを着こなし、体格は細く黒髪に赤が混じっている。
左目が黒く瞳が赤いのは義眼で、左手足を失い黒い義肢で補っている。
「わかった、カネリ行くよ」
アゼルに返事をしたのは、白い異救者の正体、手差ボンゴラ。
優しそうな人柄で、髪は白く肌は褐色、動きやすい深緑の和服を着ている。
団子鼻とピンク色のマフラーが特徴だ。
「ちょっと待て、ここはバッチリ決めねえと・・・」
称賛する人々に応対している少女は、炎の異救者の正体、激熱カネリ。
アゼルの双子の妹だが、赤髪に黒が混じり、体格は恵体で右半身に火傷のようなアザがある。
上着をマント代わりにし、タンクトップを着ていることから、活発な人物だと思われる。
「オレ達はゲキアツルーキー、黒火手団!」
「困った時は、いつでも呼んでくれよな!!」
こうして黒火手団は、華々しいデビューを飾った。
この作品を閲覧している皆様も、彼らの活躍にご期待下さい!
To be next case