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秦の誓い  作者: rona
第3章 昭襄王の時代
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趙の武靈王、胡服と騎射(騎馬戦術)を教える

 同じ、周の赧王たんおうの八年(B.C.三〇七)、趙の武靈王ぶれいおうが北の中山ちゅうざん国の地に攻め込みました。趙の兵は房子ぼうしを攻略し、だいの地方まで侵入します。北は無窮むきゅうに至って広大な草原地帯にたどり着き(無窮とは窮まりの無い地点、という意味)、西は黄河に至って、黄華山こうかさん(黄河の側にある山)の上に登りました。


 武靈王は肥義ひぎという重臣と、胡服こふく騎射きしゃを国民に教えることをはかります。武靈王はみなに言いました。


「愚者が笑うことは,賢者が深く考えるところである。世のものをって、我を笑ってもいい、えびすの地と中山ちゅうざんは、わがものになるだろう!」


 そして胡服を着たのです。


 国人たちはみな胡服することを欲しませんでした。公子のせいやまいと称して朝廷に顔を出しませんでした。王は使者を派遣してうていいました。


「家においては父母ふぼき、国においては君に聴くという。今、寡人わたしきょう(命令の文か)を作り服を胡服にえたのに、公叔こうしゅく(弟か?)は服を着ない。吾れは天下がこの君臣が一致しないことを議論されるのを恐れる。


 国の制度を作るには常となることがあり(必要で?)、民の利益となることを示すことを根本とする。せい(正)に従うことが常(つね)となり、令が行われるのを最上とせねばならぬ。


 徳を明らめるには、まずいやしいものに論じられ、政に従うにはとうといものに信ぜられることが大切だ。


 つまりだ、徳が下々《しもじも》に及ぼうとすることは、まず下民かみんに論じられ、卑賎ひせんなものがその徳に感じて徳が広く及んでいくことで知ることができる。


 法が行われることは、貴く近いものから始める、だからまず貴いものに信じられなければならない。貴く近いものが信じることで、法が行われていくことを知ることができるのだ。


 だからこそ公叔のただしさしたって、皆が胡服の功をげることを願うのだ。」


 公子の成は再拜稽首(地に頭をつける敬礼)して申し上げました


「臣が聞くには、中国とは、聖賢せいけんの教えられたところ、礼楽れいがくの用いられたところ、遠方の人のたりおもむいくところ、蛮夷ばんいのっとならうところだともうします。今、王はこれをてて遠方の服をかさね、いにしえの道を変え、人の心にさからっておられます。臣はどうか王に、よく考えて(熟図じゅくとして)いただきたいのでございます!」


 使者はこのことを報告しました。


 武靈王は自らおもむいて説得を行いました。


「吾が国の東にはせい、中山があり、北にはえん東胡とうこがあり、西には樓煩ろうはんしんかんの境がある。今、騎射のそなえがなければ、いったい何をもってこれらを守ろう?


 先時さきに、中山が齊の強兵きょうへいに負け、わが地に攻め込んで暴虐ぼうぎゃくくし、るいがわが民に及んだ。水を引いてかくを囲み、社稷しゃしょく神霊しんれいも危ういところだった。鄗は守りを破られる寸前だった。先君はこれをはじとし、そのために寡人は服を変え騎射を学び、騎射で四境しきょうなんに備え、中山へのうらみに報いたいと思う。そうであるのに、しゅく(あなた)は中国(中原の国々)の俗に従い、服を変えるという名をにくみ、鄗を囲まれたあのはじを忘れるのか、寡人の思うところをとしている!」


 ここで公子成は命を聴き、そこで王は公子成に胡服をたまいました。そして明日つぎのひ、この服をきて朝廷にえっしました。そしてこれから胡服を着る令が出され、騎射が趙では学ばれることになったのです。


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