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秦の誓い  作者: rona
第2章 恵文王の時代
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張儀、各国に説く

 張儀は帰って報告しました。秦王は六邑で封じ、武信君を号させました。


 そこで張儀はまた東にいき齊王に説いて申し上げました。


「連縦策を説く人が大王に説くには必ず申すでしょう。


『齊は三晉に蔽われており、地は広く民はおおい。兵は強く士は勇敢で、雖有百の秦が有るといえども、また齊をどうすることができようか』と。


 大王はその說を賢であるとし、その実際を計られないのです。


 今、秦と楚はむすめを嫁がせつまを娶り、昆弟の国となりました。韓は宜陽を献じました。梁は河外を放棄しました(河外とは、これまでに述べましたが、秦では黄河屈曲以東の地、梁では黄河屈曲以西を河外といいますが、張儀は秦の立場でこの場合は話しています)。趙王は入朝し、河間(黄河にはさまれた土地)を割いて秦につかえました。


 大王が秦につかえなければ、秦は韓、梁に仕向けて齊の南の地を攻めさせるでしょう。趙兵をくして、清河を渡り、国が一日にして攻られれば、秦につかえようとしても、できませんぞ!」齊王はそこで張儀の説いた内容に従いました。


 張儀は齊を去って、今度は西へ行き趙王に説いて申しました


「大王は天下を収め率いそして秦をしりぞけました。秦兵はあえて函谷關を出ないこと十五年でした。大王の威は山東の国々に行われ,敝邑わがくに・秦も恐懼しました。


 そこでぶきを繕い兵を研ぎ、田作につとめ粟(穀物)を積み、うれいて居り恐れてり、あえて動搖し心乱れて、動きを見せることはなかったのです。


 ただ秦の大王の意思があってこれらの状況を督過みのがすするだけでした。


 今、秦の大王の力で、巴、蜀を征服し、漢中を合併し、両周(東周・西周)の地域を包囲し(赧王たんおう元年(B.C.三一四)に韓、魏が連衡策に応じたことを指すか、韓・魏は両周を包んでいる)、白馬のわたしを守ります。


 秦は僻遠ではございますが、そうであっても、心忿いかり怒を含むの日は久しかったのです。今、秦に敝甲つかれたへいあって兵軍を澠池びんちに疲れさせました。


 どうか願わくば河を渡り、漳水をこえ、番吾にり、邯鄲の城下に会して、どうか願わくば甲子に合戦しましょうではありませんか。殷の紂王の事蹟を正すのです。」


 周の武王は殷の紂王を伐つにあたり、癸亥きがいに商(殷の首都か)の郊外にじんしました。甲子こうし昧爽あけがた、紂王はそのぐんひきいること林のようで、牧野ぼくやというところで会戦しましたが、前の徒はさかしまにし、その後ろの兵を攻めそしてげました(北と背は同じか)。そして遂に殷に勝ち、非道の王・紂王を殺したのです。張儀はそれを引き趙をおどしています。紂王を出し、趙を威すとは、趙を侮るも甚だしいと、胡三省は注しています。


「謹しんで使臣ししゃをして先に左右に聞かさせました。


 今、楚と秦とは昆弟の国となりました。そして韓、梁は東藩の臣を称しており、齊は魚鹽ぎょえんの地を献じました(当時、齊は海産物が多くとれ、鹽(塩)がよくとれました)。これらは趙の右肩を断ったことになります。そもそも右肩を断たれて人と闘い、そのとうを失ってひとり居り,危いことが起こらないように求めるとしてもできるでしょうか!

 今、秦が三將軍を発し、その一軍が午道を塞ぎ、齊に告げて清河を渡らせ、邯鄲の東に軍をおき、一軍を成皋に軍をおかせ、韓、梁をしむけて河外に軍させます。一軍は澠池に軍させ、四国と約束して一つとしそして趙を攻めれば、趙の支配する土地をわけて四つにすることでしょう。

 わたしがつつしんで大王のために計りますに、莫如秦王と面してお互いに約束し、そして口で互いに結びつき、常に兄弟の国となることです」


 趙王はそこでそのようにしました。


 当時において、趙は山東で最も強く、また連縦策の盟主でした。張儀が趙に説くには、もっとも言葉を費やして、力説をしたようです。


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