第8話 戦い
こんばんは
なんとか2本目を投稿することができました。
今回、少しだけ暴力的表現が含まれます。できる限り減らそうとはしましたが苦手な方はご注意ください。
「勇者様……」
そう言って馬に跨ってやってきたのはいつもの元気さを失っていたイグザだった。
「イグザ、どうしたんだ?それにこれは何が起きているんだ? 」
「うんとね、昨日町外れの訓練場で勇者様が0の悪魔を呼び出したでしょう。それが誰かに見られていたみたいで国王軍がその悪魔を討伐するために1万以上の兵士を引き連れてやってきたの。それで王子と私達親衛隊も見られてたから私達も攻撃されて、王子とラルとカイはあそこに見える櫓で戦っているの。私は王子に勇者様に個の手紙を渡してそれで逃げてくれって」
イグザは今にも泣き出しそうだったが手紙を渡されたのでとりあえず読むことにした。封筒に入った手紙には字のうまさが残った走り書きで
『ミハマ、現状はイグザに聞いたと思う。今回の父の挙兵の狙いは私と勇者であるミハマの殺害でしょう。これほどの人数の兵はイグザひとりでしか抜けられない。ミハマ、私の最期のお願いです。この腐った国を変えることができるのはミハマあなたしかいません。どうか生き延びてこの国を変えてください」
「勇者様、お乗りくださいっ」
「お前はそれでいいのか、イグザ。俺はここで逃げて3人を見捨てたくはない」
「ッハ、いや、イヤです」
ティポタも手伝ってくれるか?
《それは問題ないが、あれだけの大軍ミハマのMPでは確実に足りない》
「イグザ、時間はないが作戦会議だ。まずイグザはどれくらい強いんだ? 」
「私は斥候。悔しいけれどほとんど戦力になれないわ。相手を見張ることぐらいしかできないの」
「イグザ、俺は【0の悪魔】を使うことで敵は確実に減らせるし敵の注意をこっちにそらすことはできるがMPが確実に足りなくなってしまう。なんとかならないか」
「ごめん勇者様、回復魔法は使えないの」
困った。こう話している間にもウスカンさん達が攻撃されているのに。守れないのか、おれは。
《ミハマ、イガウの実はいくつある?行けるだけやってみてはどうだ。やらなければ何も始まらない 》
ん!そうか、ティポタナイスだ!これなら行けるかもしれない
「イグザ、ものを探すのは得意か? 」
「えっ、うん? 」
「じゃあ大至急イガウの実を探してくれないか。それで………………ふうにしてほしんだ」
「わかったわ。じゃあ気をつけてね」
「悪魔だ!! 」「あれが……」「気をつけろ」
俺はいまティポタを体に纏わせ目立つように闇のオーラを放ちながらイグザに借りた馬に乗って大軍を前にしている。砦を狙っていた兵士の大半の注意を引くことができた。
「行けっ!やつは平和を乱す悪魔のしもべだ。どんな手を使ってもたおせ」
《来るぞ、だいじょうぶか? 》
「ああ『我が両腕に盟友の力を』うぅ。ガブッ」
手の部分のオーラがより黒に染まっていき手を合わせて横薙に振るうと接近していた兵士がまとめて吹っ飛んでいった。がまだまだ安心はできないなにせ今倒した敵は相手の総戦力の0.1パーセント程度なのだからな。だがこれを地道に繰り返すしかないな。
「イガウの実が減ってきた。MP消費を減らしたい」
《了解した。力を込めすぎないように近づいてきたものだけを狙え》
戦闘開始から600人ほど倒した頃、ついに持っていたイガウの実の底が見えてきた。
《ミハマもう少ししたらポイントAだ》
「頼むぞティポタ!『我が手に盟友の力を』」
右手にティポタの力をうけて地面に転がっているイガウの実を回収した。
《ミハマ、このままだとウスカン達がやられてしまうかもしれない。少々無茶になるが一気に攻め入れる手段がある。だがミハマのMPとHPを8割ぐらい消し飛ばすと思うがやるか? 》
「ああ、盛大にやってくれ。ウスカン達は絶対に守ると決めたから」
《それじゃあ『我が口に絶対なる神の力を』というがよい。気絶しないように気をつけろ》
「『我が口に絶対なる神の力を』」
《恐怖を司る神ウズイン様よ我が盟友に力を》
〘久しいなティポタよ。人間に組することがまたあろうとはな。いいだろう力を貸してやろう〙
途端、俺の体のいたる所に切られたような傷ができ、MPのなくなった倦怠感が襲ってきた。痛みに悶ていた俺はその後それを上回る恐怖を体験した。その恐怖は頭に浮かぶような可愛らしい恐怖などではない本能に突きつけられた本当の恐怖だった。
「ひれ伏せ、愚民共」
たったの9文字だけだった。俺の口から発せられたとは思えない地獄の底へ引きずり込まれるかのような9文字が放たれたあとこの戦場に立っていたのは俺だけだった。